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「おんなのこ」と「おんなのひと」の違いを絵本から学ぶ

娘たちの寝かしつけには絵本を3、4冊読み聞かせている。
慌ただしい平日に本を読み聞かせる時間を確保できるのはありがたいと解釈し、週に1回のペースで図書館から数冊ずつ絵本を借りる日々。

先週借りた3冊はどれもホームラン級だ。
借りたときも家に来てから1週間経っても娘たちの心を掴んで離さない。

その中でも、娘たちには内容的に不発でしょうねと思っていたこれが案外ナンバーワンヒットだったりするから、子どもというのは本当に分からない。

背表紙に「桜木紫乃」の文字を見つけて手に取る。おぉ、あの「ホテルローヤル」の。
手にして表紙を見た瞬間に、うわこれ好きな感じーとぐっと心を掴まれ、
分厚いなこれ、とぱらぱらとめくってみると文字数は少ないので読み聞かせはできそうと判断。
でもこの内容は…ウーン、娘たちが楽しいものではないかもなぁ。
いつもならここで棚に戻している。
自分が読みたいものだったら軽く一読して。
でもこれ、私が腰を据えてじっくり味わいたい絵本じゃないかな。
そんな気がした。
これは私の絵本として借りよう。
そんな風に思った絵本は久しぶりだったな。
結果、娘たちの絵本ゾーンに置いていなかったのに発見され、その晩から何度もリクエストされるのだが。


絵のテイストが好きのはもちろんのこと、
穏やかで、少し切なくて、寂しいことだけど悲しさはなくて、愛おしくて、生きるって美しいなと感じる。

とりわけ私の心に刺さったのはこのページ。

ねえママ
おんなのこと おんなのひとは ちがうの?

「おんなのこはね だれかにまもってもらうひと
 おんなのひとはね じぶんをまもれるひと
 わかる?」


わかんない

「いつか あなたを わすれても」 作:桜木紫乃 絵:オザワミカ

おんなのこは だれかに まもってもらうひと
おんなのひとは じぶんをまもれるひと

くあ~~~。そうなのかあ。
実に端的。そして真理ではないか。
いいなあ。最高。
すてき。

ジェンダーとしての女を表現していないところも好きだし、
かといって女の人のことを強いとか信じるとか愛とかで語ってないのも絶妙。

誰かに守ってもらうひと、という表現もいいよね。
守ってほしいなぁという依存や弱さではなく、守られるべきという決めつけでもない。

このママみたいにスッとこんな言葉出るー??
って急に自信喪失しそうになるけど、同じ娘を持つ母として、娘たちを不安にさせないためにも、自分が見失わないためにも、こういう認識をしておくのは思っている以上に大切なのかもしれない。


そうか、女の人って自分を守れる人なのか。
自分を守る、かあ。
ご自愛とか自己肯定感とか自分を認めるとか甘やかすとかなんかそういうアクティブな表現ばかりが心にあったけど、
「自分を守る」ってもしかして結構大切なのではなかろうか。

今よりプラスの方へより良い方へと意識すると、
ちょっと先や遠い向こうの目指すべきところや理想にばかり心がいき、
現在の自分に足りないところや伸ばすポイントにばかり目がいく。

自分を守る。
そう思うと急に心がラクになる。
ぎゅうっと、トントン、大丈夫だよって。
そう声をかけてるイメージ。

この視点はなかったな。
いい言葉だなぁ、守るって。

絵本から学ぶことって少なくないけど、ここまでドラスティックに考え方を揺さぶられたのは久しぶり。


桜木紫乃さんの作品ちょっと読んでみようかしら。
ってさっそく調べたら、
次女が産まれる前に借りてこれまた大ヒットだった「サチコさんのドレス」も桜木紫乃さんなのね。

この絵本もよかったのよ。
晩ごはん以降は子供にブルーライト見せないって決めてたのに、読み聞かせながらスマホ取り出してCanpanellaのショーのyoutube全編観たもんね。


絵本の文章量でこんなにパワーのある言葉を紡ぐことができるなんて。
そんな人を知れてしまったなんて。

しばらくは桜木紫乃さんに漬かりますね。

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