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中島岳志『思いがけず利他』読んでモテるまちづくりについて考えた話。

 中島岳志『思いがけず利他』読みました。面白かったです。

 本書の解説するところの、ジャックアタリのいう「合理的利他」の危うさは、まちづくりやってても理解できるところであった。拙著「モテるまちづくり」で提案したモテまち理論で言う「インストゥルメンタル」にモテようとする態度で、行為の受け手の「受け取り方」を支配しようとする行為で、つまり、モテない。

 合理的利他とは、いわば「短期的に経済合理的な人」を利他へ促すための方便として、一時的に有効な手段だったと思う。だけど、やっぱ方便なんだよな。利他を始めたら、手放すべきものの一種で。仏教説話の言う「川を渡った後、舟を頭の上に乗せて歩く者はいない」ってやつなんだな。

 利他行為は、一見相手のためになる善なる行為に見えて、時として人を縛る呪いともなる。その暴力性に僕らはしばしば鈍感だ。

 その行為が真に利他か否かは受け手が事後的に意味づけるものであるとするなら、なんでも好意的に感謝して受け取るのは、社会的余剰を最大化する公共的な態度だといえる。逆になんでも悪く捉える人は社会的余剰を消費してしまう。

 受け取り手に、贈与を装った交換を要求しているのか、本気の贈与かは案外バレるものなのかもしらないね。

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