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30年目のステイホームを終えて

 西暦2050年、ある一人の男性がメディアの脚光を浴びることになった。

 2050年の春、西賀茂の山裾の道路で、男性が倒れているのを、地元住民が発見。男性は、長いひげに、白い布をかぶっただけの質素な姿で、見ように寄ってはタイムスリップしてきた縄文人、あるいは伝説の仙人のようであった。男性は空腹と遭難で弱っており、彼を発見した住民はすぐに通報し、病院に搬送された。翌日、意識を取り戻した男性は、当初ひどく怯えた様子であったが、徐々に落ち着きを取り戻し、身元を供述し始めた。その結果、驚くべき事実が明らかになり、これがメディアの耳に入ったことで、彼は一躍有名人になったのである。

 その、驚くべき事実とは以下のような内容である。彼は、京都市北部の山間地に小さな小屋と畑を持っており、この30年間、誰とも会わず、自給自足の生活を送っていたという。しかし、ある日、あまり山では見ない珍しい白いウサギを見かけ、興味から追いかけた結果、森に迷い込んでしまい、彷徨ううちに里に降りてしまった。まるで不思議の国のアリスのような話だ。

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