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ディスプレイの向こうの戦場―ウクライナ、ガザ地区とテレヴァイズド・カタストロフ

テレヴァイズド・カタストロフ――多くの方にとって馴染みのない言葉かもしれませんが、きわめて身近な事象であり、悩ましい問題です。

「テレヴァイズド=テレビで放映された/カタストロフ=大惨事」というのは、メディアが報道する災害や戦争が視聴者に心理的なダメージをもたらす現象を指します。

今まさにウクライナとロシア、イスラエルとガザ地区で繰り広げられている戦争は、テレヴァイズド・カタストロフの典型例です。

日本に住む人々が、遠く離れた地で起きている戦争の映像を通じて感じる心の傷は決して軽視できないものです。
テレビやインターネットが伝える衝撃的な映像は、見る者の心に重い影を落とします。特に子どもたちの犠牲になる戦争の残酷性は、無関心でいることを許さない程の強烈なメッセージとなるでしょう。

このような報道は、確かに問題意識を高め、行動を促す可能性があります。しかし、それと同時に、情報の過剰な露出はサバイバーズ・ギルトのような心理的負荷を生み出すことも考えられます。
メディアが与えるメンタルヘルスへの影響は、日常生活や対人関係にも長期的な悪影響を及ぼす可能性があります。

メディアはその報道の仕方で、視聴者の感じる心の負担を減らす方法を模索する責任がありますが、一方で、私たち視聴者も、情報を選り分け、自分自身の精神的健康を守る方法を考える必要があるのかもしれません。

テレヴァイズド・カタストロフは、日本に住む人々にも、今まさに無視できない影響を及ぼしつつあります。
そのため、報道される情報に対しては、一方的な視点や感情に流されることなく、多角的な視野で理解する必要があります。テレヴァイズド・カタストロフという現象を認識し、その影響を最小限に抑えつつ、現実の問題に対してどのように行動すべきかを考えることが求められています。

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