大人だって絵本:なぜか愛おしく切ない「こんとあき」
大人になり、子供に読み聞かせるようになって、
改めて 絵本のすごさに魅了されています。
大人になるにつれ、経験による捉え方の違い、感じ方
そして子供のときから薄れるピュアな世界観
新たな視点や感情で読む、数ページに込められた物語に、大人になった今でもワクワクを感じます。
私のお気に入りの絵本について書きます。
今回は、
『こんとあき』
林 明子 作 福音館書店
きつねのぬいぐるみ「こん」と、その持ち主であり家族の女の子「あき」
2人の冒険物語です。
この本、なぜか切なくなるのは、私だけでしょうか。
子供が生まれて久しぶりに読んだときには、親になったという心境もあるのか、とても胸が苦しくなったことを覚えています。
冒頭、こんがうたた寝している間に赤ちゃんがこんの元へ来るシーン
とてもステキ。
赤ちゃんが舞い降りてきたかのようです。
離れて暮らすおばあちゃんが、生まれる孫を楽しみに、こん作り準備しておいてくれたんだろうな。
2人はいつも一緒です。あきの成長に寄り添い、大切な存在になっていきます。
ぐんぐん成長していくあきと、ぬいぐるみがゆえに古びていくこん。
この差にも切なさを感じるのかもしれません。
命あるものと、作られたもの。
そして、その修理のために、おばあちゃんの元へ出発する2人。
不安なあきに、こんは何度も
「だいじょうぶ だいじょうぶ」
と安心させるための言葉をかけます。
急いで電車に飛び乗ってしっぽが挟まれているのに
「だいじょうぶ だいじょうぶ」
野良犬に捕まり、ボロボロになりながらも、消えそうな声で
「だいじょうぶ だいじょうぶ」
なぜ、安心させるために言っている「だいじょうぶ だいじょうぶ」が胸苦しく感じるのでしょうか。
あきを守ることを使命感として命を宿された
この小さなきつねのぬいぐるみの、強さ、優しさに胸打たれるからでしょうか。
私が好きなシーンのひとつ、
「ちょっとすなに あしあとつけるだけなら」
と降りた砂丘。
波の音、海の音、舞ってくる砂ぼこり、砂のあたたかさ、
まるで目の前に砂丘が広がっているような感覚になります
子供と砂丘へ行った時、同じ言葉をかけた思い出もあります。
電車のドアにしっぽが挟まったこんに、今の時代、挟まったまま電車って出発しないでしょ!
って大人になった今ツッコミたくなってしまう気持ちはちょっとしまっておきます。
読むたびに、胸打たれ、さらに毎回、冒険にドキドキしながら読みきかせています。
子供の読んでと何回も持って来る本のひとつです。
子供が好きな本は、
子供自身が、出会い好きになるというパターンと
読み聞かせる人が好きだから、自然と読む回数が多くなったり、感情が入ったり、ゆったりした気持ちで読んだりと、与えて側の要素もあると思います。
この本も、私が好きで、あるとき娘にお土産で買ってきた本です。
それだけで特別感が増しますよね。
よかったら、また手に取ってみてください。
ありがとうございました。
福音館書店さんの公式HPには、なんとこんの作り方がのっています。なかなか本格的なのでトライできていませんが…
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