お得に生きる

入社1年目の後輩は、なかなか不器用なタイプでよく上司に叱られている。

控えめな性格なこともあって、必要以上に強く詰められているなと感じることもあり、しんどそうな時は声をかけてあげたりもする。まだまだ覚えることも沢山あり、なかなか大変だとは思う。

ただ、少しもったいないと思うのが、叱られたことを「叱られたという事象」としか捉えていないことだ。叱られて、落ち込んで、何とか耐えて、また叱られる、ということをひたすら繰り返している。

確かに、注意され続けると話を聞く気力もなくなり、ただその時間が過ぎればいいという感覚に陥ってしまう気持ちもわかる。余計な罵詈雑言も混じっていたりして、本当に腹が立つ時もある。ただ、その感情だけに流されてしまうのは勿体無いと思うのだ。

語弊があるかもしれないが、叱られたときほど「元を取ろう」と考える方が、精神衛生上良い気がする。つまり、理不尽に叱られたり、詰められたりしたという圧倒的なマイナス事象から、無理やりにでも、自分にとってプラスになることを絞り出そうというマインドセットだ。

偉そうなことを言いながら、私自身も少し前までは直属の上司や先輩、たまに営業所にやってくるマネージャーから、仕事の進め方や成果の出なさに対して詰められることも多かった。「お前も普段そんなことできてないだろ!」と、腹が立つことも多かったが、冷静になって向こうの言い分を咀嚼してみると、確かにその通りだ、ということも確かにある。どれだけダメそうに見える先輩でも、1割くらいは真っ当なことを言っているのだ。

そして、その1割を何とかして絞り出して吸収し、自分のモノにした方がお得だ。残りの理不尽な9割に目を向けて、飲み会で同期と愚痴を垂れるのは気分的にはスッキリするがトータルでみたら損をしている。叱られたというマイナスイベントに加えて、飲み会のトーク時間も奪われてしまう。

だったら、叱られたという事象そのものはなるべく無視して、その中で少しでも学んだことを自分の行動に取り入れて行った方が良い。

物事を前向きに捉えようとするのは、お得に生きるということなのかもしれない。

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