📘️ Book Club：スティーブ・ジョブズから習うプレゼンの極意。「説得力」の重要性とストーリーの作り方

2022年2月7日 05:28

デザイナーとして働く上で、あらゆる局面で「説得すること」が求められます。例えばプロジェクトを進める上でチームメンバーやクライエントにデザインのアイデアを伝えて相手の心を動かしたり、ワークショップのアウトカムを公表する場面でも、どのようなプロセスを踏んで、どのような結果に辿り着いたのか説明する上で、チーム全員を納得させたりしなければいけない場面がよくあります。

そういった場面で私はよくスライドを使用して、わかりやすいプレゼンを作ります。相手が納得しやすい内容にするためには、いくつかのポイントがあります。

相手が納得しやすい、説得力のあるプレゼンとは？

プレゼンとは、企画や意図に対する理解を促すために効果的な説明を行うことを指します。つまりプレゼンとは「説得」のためのコミュニケーションの一形態であり、他人を「説得」するための材料であると言われています。

私もよく他のメンバーのプレゼンを観察していますが、自分にとってメリットのないプレゼンだと、いつの間にか他のことを考えてしまいがちです。私もですが、ほとんどのデザイナーは、情報を提供するためにプレゼンテーションを行います。そのために聴衆は自分が必要としていない情報だと思ってしまうっとシャットダウンしてしまいがちなのです。

では相手が納得しやすく、説得力のあるプレゼンにするにはどうしたらいいのでしょうか？

デザイナーとして、スティーブ・ジョブズのプレゼンをよく参考にしますが、彼のプレゼンに引き込まれて行くような印象を受けます。なぜそのような印象を受けるのでしょうか？スティーブ・ジョブズのスピーチには説得力があり、説得力は影響力を支え、コミュニケーションを助け、確かに多くの専門的なシナリオを容易にすることができます。

また、説得力があることは、ビジネスケースを一線を越えて取得しようとしている人を助けます。しかし実際には、それよりもはるかに広い場面で使えるライフスキルです。

今回はスティーブ・ジョブズから習う「説得力」の重要性。プレゼンテーションをするときに気をつけたいことをテーマに、説得力のあるプレゼン・スクリプトに取り入れられっているいくつかの一般的な要素をご紹介させていただきたいと思います。

PowerPointで作業している場合でも、他のデザインソフトウェアで作業している場合でも、これらの各コンポーネントをプレゼンテーションに組み込むようにしてください。これらの概念のいくつかについては後で詳しく説明しますが、今のところ、アイデアを開発するときはそれらを念頭に置いてください。

ストーリーを作成する大切さ

ストーリーを作成することは、説得力、またカリスマ性を備えたアイデアを売るための最初のステップです。大まかに構成を見てみると、スティーブ・ジョブズのプレゼンは三幕構成に構成されていて、そのプレゼンは「体験を生み出すこと」を目的としています。

説得力のあるプレゼンは、論理展開が明確にされています。ある主張をするためには、必ず「なぜそう断言できるのか」という根拠も一緒にないと説得力が生まれません。この根拠と主張の筋道がきちんと通っていると、聞き手に「なるほど」と思ってもらいやすくなります。

注意ポイントは、根拠は、推測ではなく事実に基づいたものであることが大切です。そして、その事実は多角的な視点でみなければなりません。ある特定の偏った事実を取り上げただけでは、信憑性が低くなるためです。

スティーブ・ジョブズのような効果的なコミュニケーターは、効果的に計画を立て、説得力のあるメッセージと見出しを作成し、ドラマを構築するために、最初に共通の敵を紹介します。

聴衆の関心がどこに向かっているのか理解しよう

プレゼンを説得力のある内容にするためには、あらかじめ相手が指摘しそうなポイントを抑え、事前に対策をしておく必要があります。

まずは情報収集するなどして準備をしておくことがとても大切です。
できるだけ相手の立場になって物事を捉え、気になりそうなことを探り出し、実際に質問された場合にもしっかりと回答できるようにしておくか、専門外の質問になりそうな場合は、カバーできる専門家に同席してもらうことをお勧めします。

ほんとのところあなたは何を売ろうとしていますか？
これが最も重要な質問です。たとえば、世界的なコーヒーショップチェーン・スターバックスのCEOであるハワード・シュルツは、コーヒーを販売していませんでした。彼はサードプレイスを作り出し、販売しました。

💡サードプレイスとは、家庭（第1の場所）でも職場（第2の場所）でもない第3のとびきり居心地の良い場所のことです。ストレスの多い現代社会においてリラックスできる居心地の良い場所、その場所をサードプレイスと呼びます。

また、金融の第一人者であるスーズ・オーマンは、信託や投資信託を販売したのではありませんでした。彼女は「経済的自由の夢」を売っていたのです。同様に、スティーブ・ジョブズはコンピューターを販売しませんでした。彼は「人間の可能性を解き放つための道具」を売りました。

見出しは短くて覚えやすく

視聴者の注意を引くことを目的としているため、短く（140文字以下）、覚えやすく、例えば英語の場合は『主語-動詞-目的語』の順序で書く必要があります。

スティーブジョブズがiPhoneを発表したとき、彼は

‘Today Apple reinvents the phone!’
「今日、アップルは電話を再発明しました！」と叫びました。
とても強力な見出しでした。

ソーシャルネット・ワーキングは私たちのコミュニケーション方法を変えました。Twitterの投稿に合う見出しを作成することは、より具体的で記憶に残り、アイデアをより説得力のある形で売り込むのに役立ちます。

スティーブ・ジョブズは、メディアが見出しを作成するのを待ちませんでした。製品の詳細を説明する前に、そして説明を終えるとすぐに、彼はそれを自分で書き、彼のプレゼンテーションでそれを数回繰り返しました。スティーブ・ジョブズが作成した見出しは、ユーザーの視点から書かれたものであるため、効果的に機能したのです。

熱意を伝えよう

私たちはスティーブ・ジョブズを忘れることがないでしょう。彼のプレゼンからは熱意を感じたからです。

私たちはアップル製品のファンというよりも、商品というツールを使って世界を変えたいという彼の信念の最大のファンになるのです。

彼のプレゼンからは、紹介する製品が世界を変えるという信念と、それを広めたいという情熱が伝わってきます。ジョブズは、製品を「素晴らしい」と思う気持ちをたくさんな方法で表現しています。話し手のイキイキした行動や声で、聞き手は話し手の熱意を直観的に感じ取ります。聴衆は熱意に気づくのです。

重要なメッセージを３つに絞ろう

３つのルールとは？聴衆に伝えたい3つのメッセージを書きましょう。
なぜ3つなの？

ジョージ・ミラーの研究によると、短期記憶に7〜9桁以上を保持するのは困難だと言われています。スティーブ・ジョブズは、「３つのルール」がコミュニケーション理論の最も強力な概念の1つであると考えてえいました。プレゼンで、３つのシーンや３つの機能など、３つの要素やメッセージで説得力を生み出す３点ルールを厳守し、聴衆を魅了しました。

3つは魔法の数です。すべての優れた映画、本、演劇、またはプレゼンテーションは、3幕構成になっています。 3つの重要なメッセージのそれぞれの下に、個人的なストーリー、事実、例、類推、比喩、およびサードパーティの支持を追加して、物語を強化します。

アナロジー思考を用いよう

アナロジーは日本語で「類推」と訳されるように、互いに「似ている要素」を見つけ出した上で応用することを指示します。アナロジー思考とは、物事を抽象化し、類推を用いて構造的に類似した他の事柄に当てはめて考える方法のことです。

アナロジー思考を用いると問題解決や意思決定に活用でき、またその質を高めることができると言われて積ます。またメタファーはアナロジーの一種であり、比喩表現のことを指します。アナロジー思考では、全く違う分野の物事に着目するため、イノベーションの可能性を高めると考えられています。

20世紀に巻き起こったシュルレアリスムを代表する画家サルバドール・ダリは「真似をしたがらない者は何も生み出さない」という言葉を残しています。またモダンアートの先駆者、スペインの巨匠パブロ・ピカソは「優れた芸術家は真似をするだけだが、偉大な芸術家は盗む」と語り、それをスティーブ・ジョブズは引用しました。

デモンストレーションをしよう

あなたのプレゼンしたい製品やサービスはデモンストレーションすることができますか？
もしそうなら、それをプレゼンテーションに含めてください。あなたの聴衆はあなたの製品やサービスを見て、触れて、体験したいと思っています。

スティーブ・ジョブズがOSXオペレーティングシステムの新しいバージョンであるLeopardを発表したとき、彼はLeopardに300の新機能があると言いました。彼は、Time Machine、Boot Camp（Mac上でWindows XPおよびVistaを実行）、およびStacks（ファイル編成）を含む、議論およびデモンストレーションするために10を選択しました。スライドに機能を単にリストする代わりに、彼は座って聴衆にそれらがどのように機能するかを示しました。

パートナーを紹介しよう

スティーブ・ジョブズは、Intel、Fox、SonyのCEOなど、Appleの成功に貢献した人々とステージを共有することがよくありました。 2005年にスティーブジョブズがマドンナのすべてのアルバムがiTunesで利用可能になると発表したとき、ポップスター自身が突然iChatを介して登場したのでした。

顧客の証拠とサードパーティの承認

製品のサードパーティによるレビューはありますか？

すでに述べたように、可能な場合は常にそれらを使用してください。
採用担当者が参考資料を求めるのと同じように、顧客はサクセスストーリーを聞きたがっています。これは、中小企業にとって特に重要です。あなたの顧客が彼らが尊敬する個人からの支持を見るとき、それは彼らが彼らの購入決定についてより快適に感じるようになります。満足している顧客から直接聞くよりも説得力のあるものは何でしょうか。

ビデオの使用

広告、従業員の声、製品を使用している人々のシーン、さらには顧客の支持を表示できます。プレゼンテーションにビデオを含めると、とても目立ちます。ただし、2〜3分よりもはるかに長く実行されるクリップは避けてください。

フリップチャート、小道具、ショーアンドテル

スライドはストーリーを伝えません。スライドはストーリーを補完します。重要なのは、学習者には3つのタイプがあります。

視覚（大多数の人がこのカテゴリに分類されます）、
聴覚（聴取者）、
運動感覚（感じたり触れたりするのが好きな人）です。

みんなにアピールする方法を見つけましょう。

まとめ

これらすべての要素をプレゼンテーションに組み込むと、聞く価値のあるストーリーを伝えるのに役立ちます。

たとえば、2008年にスティーブジョブズがMacBookの新しいラインを発表したとき、彼は1枚のアルミニウムを切り出し、新しいフレームの例を配って、観客がそれを見て触ることができるようにしました。

スティーブジョブズのプレゼンは、説得力のある議論を作成するためのアリストテレスの古典的なポイントの計画に従って作られています。

聴衆の興味をそそるストーリーを提供
解決または回答する必要のある問題や質問を提起
提起した問題の解決策を提供
具体的に説明

ソリューションに記載されている一連の行動を採用することのメリットと、行動を促すフレーズを記載すること。スティーブにとっては、「さあ、外に出て購入してください」と言うのと同じくらい簡単でした。

私も色々勉強中なので、皆さまのご意見・ご感想をお聞かせください。
お読み頂きまして、ありがとうございました。

メルボルンを拠点にプロダクトデザイナーとして働いています。主にデジタル・プロダクトの制作に携わっています。

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