📘️ Book Club：「How Might We」とは？アイデアを引き出すデザイン思考メソッド

2021年12月2日 05:22

「How might we」テクニックとは？

「How might we～？」は「どうすれば私たちは◯◯できるか？」という日本語に訳される短い質問文を制作することです。それによって解くべき問題を定義します。

「How might we」テンプレートは、1970年代にProcter＆Gambleによって最初に導入され、IDEOによって採用されました。この手法はデザイン思考で人気があり、世界中のデザインファームやデザイン教育機関で使われています。

「How might we」ステートメントはデザイン思考のメソッドで、新しいアイデアをブレインストーミングしたり、問題に対処したりするために使われています。HMWと書く場合もあります。

皆さんも何度か「How might we」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、今回は「How might we」について細かくご紹介したいと思います。

いつ使われているの？

例えばあなたはインセプションや、リサーチからの洞察、テーマ、または問題領域を機会または代替案に変えたいと考えています。先に進むには現在の問題を再構成する必要があります。

「How Might We」の作成は、プロジェクトまたは戦略的イニシアチブの開始時にチームによる共同演習として行われることがよくあります。 How Might We メソッドは、参加者が「How Might We」で始まる質問として、既知の課題を単純に言い換えるデザイン思考活動です。

上手く機能しそうなアイデアを生み出す「might」

では「can」や「should」ではなく、「might」を使用しているのは何故なのでしょうか？

「〜できる」、「〜するべきである」といった単語を使うと、問いかけられた側は「本当に～ができるのだろうか？」そして「～すべきなのだろうか？」というように考えてしまう可能性がでてきます。

しかし「might」（〜できそうである）という言葉であれば、人はそのような判断を先延ばしにし、自由に意見が出せるようになると言われています。より自由なアイデアの創出を促すための「might」であるということです。

「How might we」の具体例

「How might we」を用いた質問文は比較的容易に思えますが、より良いアイデアをもたらすために、発見した問題、または洞察から書き始めましょう。
そして解決策を提案することは避けてください。

作成された質問文は単純なものに思えますが、「How might we」を構成するそれぞれの単語が持つ意味により、メンバーに伝わりやすく、より良いイデアを引き出すことができます。

下記は「HMV」を用いて作成した質問文の例です。

Insight: Users are often unsure about which form to complete when they file their taxes.
洞察：ユーザーは、税金を申告するときにどのフォームに記入するかわからないことがよくあります。
HMW (poor): How might we tell users which form to complete to file their taxes?
HMW（悪い例）：どのフォームに記入して税金を申告するかをユーザーにどのように伝えることができますか？
HMW (good): How might we make users feel confident they are filing their taxes correctly?
HMW（良い例）：ユーザーが税金を正しく申告していることをどのように確信できるでしょうか。

NN Group:

Insight: Users often spend a long time checking their submissions for mistakes.
洞察：ユーザーは、提出物に間違いがないかどうかを確認するのに長い時間を費やすことがよくあります。

HMW (good): How might we make it quick and easy for users to check their work for mistakes?
HMW（良い例）：ユーザーが自分の作業に間違いがないかどうかをすばやく簡単に確認できるようにするにはどうすればよいでしょうか。

HMW (better): How might we support users to efficiently draft submissions that they’re happy with?
HMW（より良い例）ユーザーが満足している提出物を効率的にドラフトするために、どのようにサポートできますか？

NN Group:

「How might we」を作成するためのヒント

→ 発見した問題、または洞察から始めましょう。

「How might we」を作成する上で、根本的な問題や、発見した洞察に対処しないアイデアをもたらす可能性があるので、チームが発見調査を実施したら、上位の調査結果が何であったかについて話し合いましょう。

→ 質問で解決策を提案することは避けましょう。

思考を制限し、「How might we」の質問に解決策を埋め込むのは簡単です。しかし、そうすることで可能性が制限され、アイデアが少なくなったしまいます。

→ 「How might we」を広く保ちましょう。

質問を書くときは、もっと幅広い方法で書き直すことができるかどうか自問してみましょう。広ければ広いほど、より多くのアイデアを生み出すことができます。ただ解決しようとしている問題を見失うほど広くなりすぎないように注意してください。

→ 「How might we」を望ましい結果に集中させましょう。

根本的な問題そのものではなく、問題の症状を解決することを避けるために、質問が望ましい結果に焦点を合わせているかどうかを自問してください。

→ 「How might we」の質問を積極的に表現しましょう。

HMWの質問を積極的に述べることで、より多くのアイデアを生み出し、創造性を高めることができます。

「How might we」ステップ

→ 準備が大切です。

関係者がユーザーのニーズ、ビジネスドライバーを理解していることを確認しチームメンバーを選択します。

次に問題ステートメントを定義します。現在の問題の説明、洞察、調査から収集したテーマなど、調査したい内容を決定します。

→ アクションアイテム

問題ステートメントまたは洞察を再構成して、「How might we」ステートメントを作成します。HMWのバリエーションを作成します。チームとして、できるだけ多くのことを考え出し、ビジネスとユーザーの両方の問題を組み合わせ、機会に対処するリストができるまで、これらを改良します。

先ほども述べましたが、ステートメントが制限されすぎていないことを確認してください。優れた「How might we」により、さまざまなソリューションが可能になります。
優れた「How might we」は、明確な焦点を持ったソリューションを提供するのに役立ちます。複数の「How might we」から始めて、進めたい「How might we」を決定できます。

→ 次のステップ：

最高の「How might we」を優先します。これらには、ビジネスとユーザーの目標が含まれている必要があります。

「How might we」でより自由な発想を

「How might we」はGoogleやFacebookでも用いられている手法であり、人々のより自由な発想を促すと期待されます。

ブレインストーミングを行う機会があるという方は、ぜひ一度「HMV」を導入してみてはいかがでしょうか。

考慮事項

人間中心である必要があります。
有意義にブレインストーミングできるように、真のニーズに話しかけてください。
退屈で安全なHMWを使用しないようにしてください。
間違った方向に進み、時間を浪費する可能性があります。
例えば：
「どうすればウェブサイトを再設計できますか？」
「どうすればアプリをもっと楽しくすることができますか？」
バリエーションを思い付くのに問題がある場合は、壁のスペースをビジネス上の問題、ユーザーのニーズ、機会の3つのセクションに分割し、各セクションに重要なポイントを記入するようチームに依頼してください。

より優れたアイデアを作り出すためには？

各チームメンバーが貢献している必要があります。
チームメンバーは「How might we」に触発されたと感じています。
各チームメンバーがブレーンストーミングは集中的で意味のあるものだと感じます。

注意事項

広すぎるまたは狭すぎる「How might we」
安全または退屈な「How might we」
アイデアを刺激しないHMW-これは、狭すぎるか広すぎる可能性があることを示しています。

［参考資料］

私も、色々勉強中なので、皆さまの、ご意見・ご感想をお聞かせください。お読み頂きまして、ありがとうございました。

メルボルンを拠点にプロダクトデザイナーとして働いています。主にデジタル・プロダクトの制作に携わっています。

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