📘 Book Club ＃デザイン学習 #UX – UXスペクトルとは？ UXデザインを取り巻く変化

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→ mediumの記事 「The Vandalisation of ‘UX’」UXの破壊のまとめ

UXのセマンティック・ドリフト

現在、ユーザー体験をデザインすることを、UX Designと表現されています。ユーザーに商品やサービスを購入してもらい、使用していただき、それを使い続けてもらうことを目的にしています。そしてより良い体験のデザインを心がけることがUXデザインの役目ですが。近年、”体験”と”デザイン”の幅が格段に広がってきています。

現在UXという定義に、セマンティック・ドリフトと呼ばれる傾向がみられてきています。一つのフレーズの意味が時間の経過とともに変化するということです。もともとあったUXの定義は反映しなくなりました。実際にUXをめぐる流れは非常に活発です。UXデザインは、定義と役割分担を整理し直すべき時期にきているのかもしれません。

企業の最終目標はビジネスとして利益をアップすること、またユーザーに満足してもらうことです。そこで商品やサービスの見た目をよくすること、使いやすさの改善を改善すること、ユーザーが手にして嬉しい体験、より心地の良い、楽しい体験の演出まで多くのシーンで「UXデザイン」が施されるようになってきています。

簡単なUXの歴史

「UX」のストーリーは、宇宙の理論に似ている

→ 最初は何も存在しなかった…
最初はUXの暗黒時代でした。 ユーザー・エクスペリエンスは、以前は開発者によって定義されてのですが、ほとんど何も考慮されていませんでした。 何らかの形で機能している限りで良かった…

→ そしてビッグバンがきました…
HCI（ヒューマン・コンピュータ・インタラクション）のルネッサンス時代の到来です。 初期の実践者は多分野で非常に優れてうて、認知心理学、デザイン、人間工学、またコンピューティングといったのさまざまなスキルを持っていました。高度な戦略的思考と優れたデザインを好みました。

UXの開拓者ドン・ノーマンはUXデザインのレジェンドです。1960年代以来、彼はHCI（ヒューマン・コンピュータ・インタラクション）を先導してきました。また、ユーザー中心デザインの提唱者でもあります。

UXの最も重要なことは、UXはプロダクトとその周辺のすべてとして定義されていることです。プロダクトに関して最高のエクスペリエンスを提供するためにビジネスがどのように連携するかを含みます。

たとえば、UXにはインターフェース・デザインだけでなく、エンターキーを押したらどうなるか、プラグを差し込んだりする感覚はどうか、オンラインで購入したり、カスタマー・サービスを利用したり、商品を箱から取り出す感覚なども含まれます。UXは、完全なエンド・ツー・エンドの体験を検討することを目的としています。

💡エンド・ツー・エンド「端から端まで」を意味する言葉で、略してE2Eと呼ばれることもあります。

要約すると、UXは、証拠に基づく人間中心の研究とデザインのループとして定義され、客観性と創造性を組み合わせて、ニーズに基づいて最適化されたエクスペリエンスを提供します。 これは、結果的に経験に影響を与えるすべてのレベルを考慮するフルサービス・アプローチです。

UXデザイナーが責任を負うレベルのマップ

優先順位はプロジェクトによって異なりまが、すべてのレベルはユーザー体験に影響を与えるため、UXプロジェクトですべて対処する必要があります。 UI、インタラクション、および製品レベルが見落とされている場合、サービス・デザインレベルは空白を埋めることはできません。

💡サービス・デザインは、ユーザーや顧客のニーズにより適したサービスをデザインすることです。サービスに関係するすべての行動や設備、意思伝達、人々、素材を精査し、サービスのクオリティだけでなく、サービス提供者と顧客のインタラクションを改善します。

UX体験の旅のどのレベルでも品質に矛盾があると、障壁が生じます。 UXデザイナーは、これらのさまざまなレンズを通して問題を調べ、必要に応じてギアをシフトする必要があります。

UXのサブディシプリン

UXサブディシプリンの危険性は、実践者の思考をサイロ化する素因です。 これらの焦点を絞った見解は、これらすべてのレベルを考慮に入れるという「UX」の基本的な哲学を弱体化させます。

💡サブディシプリンは業務分野の下位区分を示します。

💡サイロ化するとは、企業の情報システムなどで、他部門との連携や情報共有がなされないこと。また、そのような状態。

サービス、インタラクション、プロダクト、インターフェイス・デザインに同等の注意を払う必要があり、これらはすべてUXパッケージの一部として提供されます。 

UX実践者はかつてジェネラリストであり、プロセスの一部としてお互いをどのように理解するために、デザインとリサーチの両方に平等な目を向ける必要がありました。 しかし、このパラダイムは意図的に変更されました。

💡ジェネラリストとは多様な専門性を活かして総合的判断する人を指し、スペシャリストとは特定の専門分野に精通している人をいいます。

🤔今までのビジュアル・デザイナー

多くのビジュアル・デザイナーは、インターフェイスを美しくするだけでなく、デザイン戦略を学びたいと望んでいますが、ほとんどが心理学、人間工学、およびコンピューティングにほとんど関心がなかったのです。したがって、抵抗を最小限に抑える方法は、これらの要素を学せず、UI / UXと呼ばれるUXデザインからスペースを切り開くことでした。

UXのキャリアは誰にとっても範囲外ではありません。適切な分野で十分なドライブ、知識、スパークがあれば、それを実現できます。しかし、UI / UXは半分の尺度のように見え、単に同じ市場価値を保持していません。
UI / UXデザイナーはデザイン・ツールで美的であるが次善のインターフェースを作成することに焦点を合わせています。

現在、サブディシプリンは表面上ますますサイロ化されています。それらは異なる方向に分裂しています。 新しい状況に対応して、デザインとリサーチの分割を業界が推進しています。まるで、それらが相互に排他的なスキルであり、織り交ぜられていないかのようでが、人々はサービス・デザインのような完全に全体的なアプローチを求めています。

「UX」という用語はセマンティック・ドリフトのおかげで概念的に狭められていますが、人々はUXの本来の約束を果たすためにサービス・デザインに目を向けています。 しかし、それを定義することはとても難しいのです。

サービス・デザインは全体的なビューですが、それは閉鎖的な見方でもあり、逆に、インターフェースとプロダクト・デザインは非常に集中的で還元主義的になり、視野を超えて残りのビジネス・エコシステムを見失うことになります。 UXの真の定義の美しさは、レンズをシフトし、水平思考を促進し、すべてのレベルに転送可能な原則を適用する傾向です。

たとえば、インターフェイス・タッチポイントのパフォーマンスの低下は、満たされていないサービス・レベルのニーズに基づく誤解に起因する可能性があります。しかし、全体論的アプローチはインターフェースの問題を見逃す可能性があり、還元主義的アプローチはサービス・レベルの問題を見逃す可能性があります。

UXデザイナーは、リサーチとデザインを横断できる場合だけでなく、レンズを調整して、より広いエコシステムの一部として、またインターフェースの一部として同じ問題を確認できる場合に最も価値があります。

一人の「UXデザイナー」が全てを請け負うのは到底難しいです。各デザイナーそれぞれのフォーカスポイントに合わせ、例えば「UXリサーチャ」「プロダクトUXデザイナー」「UXストラテジスト」など、UXチームにおけるさらなる役割分担が必要になってきています。

参照　
UXデザインを取り巻く7つの変化
Brandon K. Hill

ポイント
→ UXは、あらゆる場面でのチェックリスト・アプローチと考えます。

→ ユーザーの失望を避けるために、すべてのレベル（UI /プロダクト/インタラクション/サービス）でエクスペリエンスを最適化すことが必衰です。

→ サブディシプリンが出現して、UXが変わりました。 UI / UX、インタラクションデザイン、プロダクト・デザイン、サービス・デザイン。これらのぼやけたラインは役に立ちません。サブディシプリンはUXの一部ですが、指定された領域に焦点を合わせるリスクがあり、見落としが発生します。

→ どの領域の見落としもよくありません。これは、ユーザー・エクスペリエンスの制限要因になります。したがって、完全なUXスペクトルを適用することが、あらゆるプロダクト/サービスにとって最も安全な方法です。

💡UXスペクトルとは、主要なUXプラクティス領域に対してデザイナーをプロファイリングするためのすっきりとしたインタラクティブなビジュアル・フレームワークのことです。

→ 誰もがUXはインタラクション・デザインだと考えています。これは、ユーザーエクスペリエンスのパズルのピースの1つにすぎません。

→ 狭い分野（リサーチ、インターフェース、サービスなど）で強力なUX業界に参入する可能性があります。チームメンバーの大部分が「UXデザイナー」的考え方と役割を担う必要すが出てきています。より多くの分野をカバーするためにスキルセットを拡大することに取り組んでください。

→ UXは非常に包括的であるため、定義するのは困難でした。あいまいさを取り除く試みは、時間の経過とともに「UX」の責任を積極的に単純化し、狭めてきました。

→ UXのサブディシプリンは、多くの場合、不必要に、UXとは別のものとして定義されます。

→ UX、UI / UX、およびサービス・デザインの未来は、ユーザーのためにより完全なサービス分野への統合、またはますます専門的でニッチな分野がUXの殻から出現し続けることです。

The Vandalisation of ‘UX’

参考記事
→ Design of Everyday Things — Don Norman
→ UI/UX Forum
→ SD blog proclaiming UX is narrow 
→ SD blog discussing the UX hole in SD 
→ The Dribblisation of Design
→ Visual Design is not a thing

私も、色々勉強中なので、皆さまの、ご意見・ご感想をお聞かせください。お読み頂きまして、ありがとうございました。

メルボルンを拠点にビジュアル・デザイナー、UXスペシャリストとして働いています。 主にデジタル・プロダクトの制作に携わっています。