見出し画像

映画:「パラサイト 半地下の家族」と「万引き家族」

はじめに:「パラサイト 半地下の家族」をやっと観た

「パラサイト 半地下の家族」は、第92回アカデミー賞で6部門にノミネートされて、作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞の4部門を受賞した時から観ようと思って観ていなかったのだけど、「愛の不時着」のソ・ダンの母親(成金マダム社長)役をやっているチャン・ヘジンさんが半地下の家族の母親役をやっていて、「そのギャップがさすが女優」というコメントをどこかで目にして、ギャップ感に興味を持ちつつ思い出したように今回観てみることに。

日本の「万引き家族」と韓国の「パラサイト 半地下の家族」

観終わって。
どうしても「万引き家族」を連想せざるを得ないのは私だけだろうか。

「万引き家族」も第71回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞、米国アカデミー賞では外国映画賞にノミネートなど、海外で評価された作品。どちらも格差社会や貧困の中での家族を描いたものですが、半地下の家族は血の繋がりがあり、万引き家族は血の繋がらない家族。

もはや、是枝裕和監督の作品が好きか、ポン・ジュノ監督の作品が好きかの問題でしかないですが、私個人は「万引き家族」の方が好みです。

「産んだら誰でも母親になれるの?」
「でも産まなきゃ母親になれないでしょう。」

この台詞は色々と考えさせられる。
私が産まれた時代は、核家族が「普通の家族」だと刷り込まれてきたし、疑っても来なかったけど、すこし前の日本は養子縁組や子供を連れての再婚、親戚のもとで育てられることはそれなりにあったのだと思う。私の祖父はなかなか子供が出来なかった両親が養子を迎えた後に産まれ、ひとりっ子だった祖母の家に入ったということを大人になってから聞いた。「血の繋がった子供だけど、なんとなく肩身の狭い思いをしながら育ったのではないか?」と両親から聞いて、分かるような分からないような気持ちになったことを覚えています。

万引き家族のあり方を肯定するものではないけど、「血の繋がり=家族=普通」という考え方は、多様な家族のあり方を切り捨てていないだろうか?と、ふと思うんです。

韓国の格差社会事情

今まで韓国や北朝鮮という国の事情を真剣に考えたことがなかったけど、BTS沼に強烈に落ちた私は、韓国や北朝鮮の事情や歴史もなんとなく知りたくなりつつあって。

半地下の家族を観て、なんとなく韓国事情を調べてみると。
このような半地下にひっそりと暮らす貧困家庭が推定80万人はいるらしい。韓国が超競争社会であることはなんとなく知っていたが、もしかすると私が思っている以上に超格差社会なのではないか?と思ってきている。そして、その格差は一代だけでなく何世代も続き這い上がれないという状況を産み出しており、BTSのメンバーが「僕たちはソウル出身ではない」ことを言っている場面を何度か見ていますが、これは韓国の現実を物語っているのかもしれません。

さいごに:「パラサイト 半地下の家族」ぜひご覧あれ。

分かりやすい配役でテンポ良いコメディ感は、エンタメ映画として面白いです。格差社会をテーマにしているにも関わらずライトに観ることができるブラックコメディで、超金持ちと超底辺家族のコントラストやパラサイトする超金持ち一家の豪邸の地下にも超底辺の別夫婦の夫(すいません、ちょっとネタバレ)が暗い地下室に住んでいるコントラストも分かりやすく超格差感を描いてて、むしろ極端に描いていることでコメディ感が増していて、面白い映画であることは確かです。

それにしても韓国のエンタメパワーは目線が国内向けではなく、グローバルで戦うつもり満々で作られていることに感嘆せざるをえない。
今後、確実に人口減少していく日本は、ちゃんと負けを認めてグローバルで戦うのか、それとも身の丈に合った経済活動を選択するのか、どちらに向かうのだろう。と、また別のことを考え始めそうなので、この回はそろそろ終わりにしたいと思います。

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?