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PANK PONK magazine vol.11 ペットの名前 前編

「すけさん」と「かくさん」だった。
小学校低学年の頃に親に買ってもらった、二羽の白と黒の手乗り文鳥。じいちゃんとよく一緒に観ていたので水戸黄門が好きだった。
残念ながらすぐに死なせてしまったが。
弟に抱かせてと請われて抱かせてあげたら加減が分からずに潰してしまった。その時に命の儚さを知った。弱いものは守らなければならない。それが自らを強く高めていく理由だ。強さは発揮しないためにある。もしもこの先自分に子どもができることなどあれば文鳥を買ってあげたいと思う。たぶんすぐに死なせてしまうだろう。でも僕はその時に命の儚さや大切さ、失ってしまうことの悲しさを学んだ。だからいじめとか良くないと心から思う。

そのあとはスズメを10羽以上飼っていた。最初は春先に巣から落ちたスズメを保護して飼っていたら「はまちん(小学生の時のあだ名だ)に持っていくと保護してくれる」と噂になり学校中から落ちてるスズメが僕のところに集まってきた。両親が共働きで登校中に餌をあげれないのでダンボールに詰め込んで学校に行ってた。授業中もお腹がすいてピヨピヨ鳴くのでその時は授業中だろうと餌をあげにいく権利を掴んでいた。何十羽もピヨピヨピヨと僕に餌を求めて口を開けてくる。あげるもあげないも僕次第。神になった気分。頼られるのはいい気分だ。
スズメもなつくのだよ。知ってたかな?飛んだあと戻ってきて肩にとまったりしてかわいかったな。
しかしその後留守の間に野良猫に惨殺されてしまった。(一羽は可愛すぎてまだ飛べないくらい小さい時にお腹に乗せて寝てたら寝返りしてしまって殺してしまった。。)

いつだっだか覚えてないけど冷蔵庫から卵を取り出して抱いて寝てた時期もあった。お腹にポケットのついたぬいぐるみを持っていてそこに忍ばせて寝てた。一週間くらい毎晩抱いてたのだけどまるで変化がなくて温度が足りないのかな?と思い白熱球を腹に当てて寝出したが結局、生命が誕生することはなかった。この世には有精卵と無精卵があるということを知らなかった。その時に親かじいちゃんに教えてもらった。じいちゃんが畑でニワトリ飼ってて、卵もらったので卵かけごはんにしようと思って白米の上で割ったら出来かけのひよこが出てきたことあったな。そのあとはしばらく卵割れなくなってしまったよ。

一方で僕が文鳥とかスズメとか一般的にかわいいとされるようなペットを飼っているなか、隣の家のふたつ歳下のキムラユウスケ君はなんと「ナメクジ」を集めて飼っていた。「なんてぶっ飛んだ奴だ!」と完全に敗北感を味わった。ナメクジとは雨あがりの通学時に塩を持参していじめる対象であって愛でる対象であるという発想が僕にはなかった。今もそうだが自分は自分が持ってなかった発想を人が持ってると悔しいと感じる。お金とか会社の地位とかはどうでも良いんだけど。

そのあとはしばらくペット飼ってなかったのだけれども高校一年生の時に子犬を保護して飼い始めた。まだすごくちっちゃくて僕の指にちゅっちゅっちゅっとしゃぶりついてきてキュートだった。
名前なんだっけな。思い出せない。1か月くらいで死んでしまったのだよ。家の裏庭で飼ってたのだけど家の周りが、あまり車も通らないまわり田んぼの田舎だったのでヒモを長くしてある程度道路にも出て遊べるようにしてたのだけれども、朝起きたら車に轢き逃げされてた。その時はまだ息があったのだけど、触れると一気に現実が襲ってきそうで怖くて出来なくて(親に泣き顔見られたくなかったし)すぐに布団に戻ってフテ寝した。あの時きちんと撫でて最後を看取ってあげたかった。きちんと自分の手で埋めてあげれなかったことは未だに後悔してる。書いてたら涙目になってきてしまった。

そのあとこの世のすべてが嫌になって学校も行かなくなった。そしたら親がどこかからまた子犬を拾ってきて飼い始めた。僕は親の意図があからさまに透けて見えてすごく嫌な気分になったので名前もつけてあげなかった。親か弟かわからないが「さくら」という名前を付けたけど僕はその名前も気に入らなかったし、死んだ犬を他の犬で代用させよう、みたいな感じも気に入らなかったので勝手に「ワンタ」とか「イヌ」とか「おい」とか呼んであまりかわいがってあげれなかった。
「さくら」には前の犬のことも親の意図も関係ないのに。さくらは15年くらい生きたけど僕もそのあと上京したし、最初のわだかまりもあってあまり遊んであげれなかった。僕の家族は僕以外は動物好きじゃないしあまり楽しく生きれなかったかもしれん。これもまた後悔してる。5年前くらいに亡くなったのでこの時は仕事をほっぽり出し実家の裏の山に僕の手で埋めた。

25歳くらいの時からスズメを虐殺された恨みで嫌いだったはずなのに、とある理由で僕のニャンダフルライフが始まるのだが長くなったので後半に。律儀に全部書かなくて良いと思うけど全員書かないと失礼と思ってん‥

ビーチボーイズ/ペットサウンズから「ゴッドオンリーノウズ」

いつだってきみを愛してるとは
言えないかもしれないけど
空に星がある限り
僕の気持ちを決して疑わなくても大丈夫
そんなことないように安心させてあげるからね
きみがいなくなったら
僕がどうなってしまうかなんて
神様だけが知っているんだ

人生ではじめてミニシアターで観た思い出の映画「ブギーナイツ」で最高!のラストシーンでかかる。ちんこがデカいだけか取り柄の青年(マーク・ウォルバーグ。最初はディカプリオに白羽の矢が立ったがタイタニックの撮影とかぶってて降板したらしい。わーお)がポルノ業界で成り上がり転落していくビルドゥングスロマン。
カントリー好きでオーディオマニアのドン・チードルのファッションが最高に笑える(時代とともにサン・ラぽい服装からランDMCぽく変化していく)
それまでは大作映画しか映画館で観たことなかったので客が3人しかいなくてびっくりしたのを憶えている。
今はその映画館で週二だけバイトしてるが客3人なんてざらにある。コロナの前からね。

Photo 浜吉竜一


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