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今月もひとり歌会(2023年8月)

月が終わると、毎日詠んだ歌を整理する「ひとり歌会」。誰のフィードバックも得ず、詠んだ歌を見ながら一人、仕事や生活をふりかえる。

近況

読書量も多かった。映画も見た。物語も書いた。いろいろやったはずなのに、月末には何もなかったような気分だ。短歌に向き合った時間が少なかったからかもしれない。何かあった出来事はnoteに書いてしまって、切り取りたい気持ちや、出来事を写真に撮るように、取り出すことをしなかった。

今月の歌(32首)

8/1火
雲が無い空が光って空鳴って魔王が降り来る前日のよう
8/2水
アオハルの場面を見れば歌心湧くけど いい歌できるわけじゃない
8/3木
飲み会の後のラーメン屋の魅力 人である身で抗えるのか?
8/4金
数打てど的に当たらず点増えず射的ではない短歌の話
8/5土
土曜日の朝から長い行列の近所のパン屋の売り場は遠い
8/6日
傘といえば雨に差すものではなくて陽に差すものと言われる日がくる
→傘といえば雨に差すものではなくて陽に差すものに変わる日がくる
(「塔」短歌会9/20締切投稿①)
8/7月
オムライスをずっと好きなままいてほしい 父は焦がさぬように火にかけ
8/8火
「背中に蝉ついてますよ」と小学生女児がおじさんに声かける勇気
へそ出しの女性を見ても酷暑なら(暑いもんね)で済ませてしまう
(「塔」短歌会9/20締切投稿②)
8/9水
今朝薬飲んだっけ? と四十代 五十、六十代が心配
8/10木
自分だけ止まった世界にいるみたい 5億年ボタン押して二日目
(「塔」短歌会9/20締切投稿⑥)
8/11金
待つ間、一杯だけとビール飲む 小一時間後にもうウイスキー
8/12土
硝子製の箸置きに鳥を彫りつける 時間が余り葉を咥えさす

8/13日
何もない日曜の床に寝そべって彼女が焼いた餃子の香り
8/14月
自転車が飛び出して来て「事故れ」と呪う やつにも親も子もいるだろう
→クラクション鳴らされて「事故れ」と呪う やつにもあるか親に子に友
(「塔」短歌会9/20締切投稿⑩)
8/15火
だらしない肉のたるみに気がついて今日会うために腕立てをする
(「塔」短歌会9/20締切投稿⑧)
8/16水
四年間続けた仕事に結晶が生まれていたので祝杯をあぐ
8/17木
何したか覚えていないお盆中 手帳に白い空間がある
8/18金
行きつけのラーメン屋で「冷やしラーメン」のボタンを押して「大盛り」も押す
→行きつけのラーメン屋で「冷やしラーメン」のボタンを押して「大盛」を押す
(「塔」短歌会9/20締切投稿④)

8/19土
二連チャンラーメン屋に行く「罪悪感」は「空腹」より強いスパイス

8/20日
「風ぬるい」「月細い」「ツリーぴかぴか」二語文で話す四十七歳
→「風ぬるい」「月細い」「ツリーぴかぴか」暑さで大人も二語文になる
(「塔」短歌会9/20締切投稿③)
8/21月
旧友と語らい飲んで食ったあと「なか卯」のうどんやさしくありぬ
8/22火
夜だって息詰まりそうな蒸す空気 涼やかな夏はフィクションにだけ
→夜だって息詰まりそうな蒸す空気 涼やかな夏の夜はフィクション
(「塔」短歌会9/20締切投稿⑤)
8/23水
107年ぶり二度目というパワーワード次の107年後の野球
8/24木
レシピには卵が3個、2個を割り、1個を流しへ放ってしまう
8/25金
有休は仕事をしない日だけでなく、昼にビールを飲める特典
8/26土
道に落ちたおおきな葉っぱをヒキガエルと見間違え、叫び、子を驚かす
8/27日
書きつけよう 思いついた歌の文句が、トイレの水と一緒に流れる
8/28月
ポケモンと仲良くなってと諭される睡眠外来の診察室にて

8/29火
上司との別れの会でくすぶった気持ちをもらいタバコで燻す
→上司との別れの会でくすぶった気持ちをもらい煙草で燻す
(「塔」短歌会9/20締切投稿⑨)
8/30水
探してる本見つからず漁っては、前に探した本が見つかる
8/31木
起床時に「つかれた…」と言ってしまう睡眠は何を回復してくれるのか
(「塔」短歌会9/20締切投稿⑦)

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