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なぜパーセプション(認識)を変えるのか? 変わるとどうなるか? #マープス

無料のオンラインマーケティング講座「マープス」は第15回です。

先週につづき、今回もゲスト講師回。PRストラテジストの本田哲也さんがゲストです。

今回は、本田さんの著書『パーセプション 市場をつくる新発想』から、「パーセプション(認識)」について学ぶ回です。

「参加してる皆さんは、読んでますか?」という本田さんの質問に、
「真面目なんで、ほとんど読んでいらっしゃると思います」という池田さんの回答。

(ごめんなさい。読んでません… ちゃんと読みます)

「パーセプション(認識)」とは?

パーセプション(認識)について、これまでのマープスで紹介されていて、今回も取り上げられた例では「ソロキャンプ」「ポカリスエット」がありました。

もともと家族で楽しむものだった「キャンプ」が、おひとり様需要が喚起された後、「キャンプも一人でいいんだ」という「認識」が生まれたことで、「ソロキャンプ」市場が生まれました。

また、スポーツ飲料だった「ポカリスエット」が、生活の様々な場面で、体調を整える飲み物として「認識」されたことで、スポーツをやる人以外も手に取れる商品に変化しました。

今回は、認識が変わった例として、朝マックの例もありましたね。もともとランチが多く、たまにディナーに使われていたマックですが、朝もマックでいいんだ、という「認識」が広がったというお話がありました。

他には、ウーノが「第一印象は変えることができない」という認識を変え、「第一印象は自分で作れる」という新しい「認識」を作り、そのための商品として、男性用BBクリームを売った例が挙げられていました。

パーセプションの他の概念との関係

消費者の接点の順番として、
・「カテゴリーエントリーポイント(消費者の脳内の入り口)」があって、
・「パーセプション(認識)」があって、
・購入時に「想起され」
ます。

パーセプションチェンジによって、先ほどの「キャンプ」の例がどう変わったかというと、

「一人でアウトドアを楽しみたい」というニーズがあった場合、

・従来のパーセプション:キャンプは家族やグループで行くもの
・新しいパーセプション:キャンプは一人で行ってもいいもの

と変化した結果、

既存のカテゴリーエントリーポイント(CEP):「旅行」「登山」「サイクリング」に「ソロキャンプ」が追加されました。

「ポカリスエット」の例では、「スポーツ飲料」から「健康を維持するための飲み物」にパーセプションチェンジしたことで、「風邪を引いた時に飲む」というカテゴリーエントリーポイントが加わりました。

似た商品、同じような品質の商品が市場に溢れた現在では、知ってる(認知)だけでは購入されなくなってしまったので、よりパーセプション(認識)の重要性が増しています。

パーセプションの種類

「事実や具体的な事象」「受け手のリテラシー(経験や価値観)」といったものの他、パーセプションには、以下のような種類が紹介されていました。

グループ:
「ポカリスエット」のようにスポーツ飲料というカテゴリーから「健康を助ける飲み物」に変わる

タイミング:
ESGとSDGsという概念の登場で、社会や環境への取り組みが重要になった

コントラスト:
スカイツリーができた後の東京タワーは、一番高い塔ではなくなった。
比較対象ができることで、変わってしまうこと

などです。

「パーセプション」は、商品の周りだけでなく、企業、ブランドのパーセプションもあります。

パーセプションの変え方

パーセプションは何のために変えるのか? という質問がありました。

「パーセプション(認識)」を変えることが目標じゃありません。その先に「行動変容(ビヘイビアチェンジ)」があります。その行動変容を助けるための商品、ブランドが存在します。消費者の行動を変えたい、そのネックに、パーセプションが変わらないことが原因になっていることがある。だから、パーセプションを変えるのです。

必ず、認知→認識という順番で変わるわけではありません。両方が同時に変わる場合もあります。広告などによって、知られると同時に、消費者の認識が変わる。

また、あまり知られていないから、まずは認知を広げよう、という取り組みがうまくいかない場合もあります。間違った認識のまま、知られてしまうことで取り返しがつかなくなる場合があります。正しい認識で認知を広げていくようにコントロールする必要があります。もちろん、簡単ではありませんが…。

どうやって変えるか?

また、講義の中、視聴者からの事前質問の中に、
「新しいパーセプションで、既存のパーセプションが変わるのがこわい。既存のリード、売上を削ってしまうのでは?」という質問がありました。

実際には、そう簡単に変わらないそうです。その人の中にすでにあって、外から見えないものだから、変えるのが難しく、変えることが難しいから、「パーセプション(認識)」についての問題が存在していると言います。すでに既存の売上がある製品については、「パーセプションをつくる」「パーセプションをまもる」を一緒にやる必要があります。そうしないと息が長い商品は世代交代せずに、市場から消えていくことになります。複数のパーセプションが消費者の中で両立することは普通にあるそうです。

また、事前質問の中で、
「パーセプションを変える施策を行う場合、投資対効果が見えずに反対される」というものがありました。

そういった場合は、変えるべき、パーセプションを提示して、それを具体に落とします。

売上を上げたい
 → この「認識」買えないとダメなんじゃない?
 → 何人くらいの認識を変えればいい?
 → 今の市場の20%の認識を変えるためには?
 → このくらいのリーチが必要だね
 → このリーチを獲得するための施策は?
といった具合です。

パーセプションを確認する方法

アンケートしかないそうです。「どういう認識をお持ちですか?」という自由回答形式では、回答が得られないので、選択式で回答させるそうです。

こう思われたいというパーセプション、実際にこう思われてるんじゃないか? というパーセプションを複数並べて、そう思わない/あまり思わない/そう思う/だいたいそう思う のような度合を選んでもらうことで、どういうパーセプションを持たれているか、そしてその変化を見るそうです。

イメージとパーセプションの違い

「イメージ」と「パーセプション」は違うけど、隣接しています。

駄菓子のラムネの例では、もともとは子供のお菓子でしたが、二日酔いに効くという口コミが広がったことで、大人のパートナーに変化しました。

口コミを利用して、森永製菓も、大人用のパッケージにしたり、キャンペーンを張った結果、売上を2倍にしたそうです。この時、「ラムネは子どもの食べ物である」は、イメージではありません。もっとはっきりした認識です。

例えば、人の印象で、「おまえってこういうやつだよな」という「認識」があった場合、眼鏡をかけて、服装変えても、急に周りの人が持つ認識は変わりません。「あの人変わったよね?」と周りの人が言い出すまで、継続的な取り組みが必要です。ここでPR的なアプローチが必要になります。

BtoBの商材を例にすると、お客さんが発注する時、企業イメージが、かっこいいから、先進的だからという「イメージ」で、発注しようとは思いません。どういう課題がお客さんにあって、何が障害になっているか、という「(事実に基づく)認識」があって、初めて発注にいたります。

感想

今回、「パーセプション(認識)」にフォーカスしてもらって、だいぶ「パーセプション」の概念をつかめたような気がします。マープスの講義を通じて、たくさんの概念を聞くことで、混乱がありましたが、一つの概念にフォーカスをしていただくことで、だいぶ見通しがよくなったし、なぜPR思考が大事か? という最近見るテーマについての理解も深まりました。

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