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先っぽ|陶芸家・山口真人さんとの「器の会」

乃木坂しん」の店主・石田伸二と支配人の飛田泰秀が日々考えている日本料理への想いやこれからのことなどを、どのメディアよりも早くお伝えする「乃木坂しんの先っぽ」。今回は、6月11日(金)から14日(月)の4日間にわたって乃木坂しんで開催された陶芸家、山口真人さんとの「器の会」の様子をお届けします。

レストランにとっても大切な
即興性の高いイベント

器の会」は、乃木坂しんで、初夏(5月)と晩秋(10月から11月)の年に2回開催されているイベントです。浅草にある器ギャラリー「とべとべくさ」の伊藤貴志さんとの共同企画で、お一人の作家さんの作品を店内で展示するだけでなく、その作家さんの器だけを使った期間限定の特別な献立を用意する、ギャラリーと食事会の複合イベントです。

器の会には、2つのタイムスケジュールがあります。1つは、山口さんの器を使った季節の献立(コース料理)をカウンターで食べる「食事会」のコースです。

普段の乃木坂しんでは、さまざまな作家さんの器に料理を盛り付けていますが、器の会では、今回の山口さんだけの作品に盛り付けたように、一人の作家さんの器だけで献立を作ります。しかも、料理長の石田のもとに、ひと通りの器が届くのは1週間前。献立作りの時間はそう多くはありません。

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そのためふだんの献立ではしないような大胆な盛り付けになるのはもちろん、期間が短いからこそ生まれる即興的な盛り付けなど生まれるのが器の会の特徴です。同時に、普段は1カ月かけて献立を深めていく2人にとって、この即興性はこのイベントでなければ体験できない大切なものでもあるです。

メインになる器を決めてから始まる器の会

第9回目となる器の会でコラボレーションをしたのは、愛知県瀬戸市に生まれの陶芸家、山口真人さんです。山口さんとは、2017年、ちょうどオープン1周年を記念して開催した「器の会」の初回でもコラボレーションをお願いしていました。じつに4年ぶり2回目の共演になります。

乃木坂しんは、2016年6月11日にオープンして、今年で何とか5周年という区切りの年でもあります。だからこそ初心にかえるという気持ちでも、山口さんにお願いしたいと思いました」(石田)

器の会は、4年で8回を重ねてきたわけですけど、やっぱり初回の山口さんで始められたのは大きかったし、いろいろと助けていただいたとも思っています。恩返しとまではいいませんが、その意味と、そこから成長した乃木坂しんをお見せできたらいいなと思ってお願いしました」(飛田)

すでにnoteで公開している水無月の献立は、月替わりの6月の献立を紹介しております。その内容は、今回の器の会のものです。

器の会では、届いた器のなかから毎回中心になる器を決め、それから全体を構成していくことが多いです。今回の器のなかでは、鮎の塩焼きを盛り付けた織部の大皿は、石田が「この器に鮎を泳がせたい」と、すぐにイメージが決まったといいます。

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食事中は、山口さんご本人もカウンターに立って、お客様の質問にお答えしていきます。料理だけでなく、器についても話を聞けるというのは、お客様にとってもとても貴重な機会。毎回、お喜びいただいております。

当日の食事会の様子の一部が乃木坂しんのYoutubeチャンネルで公開していますので、のぞいてみてくださいね!

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使ってみてわかる器の美しさ

もうひとつのタイムスケジュールは、店内の個室で開催した特設ギャラリーです。食事会にいらしたお客様はもちろん、ギャラリーだけを観にご来場いただくこともできます。

毎回、予約不要で、時間内であればいつでも内覧できるようになっており、その場で作品の購入も可能です。山口さんは、この日のために織部、志野、黄瀬戸など美濃焼を中心に、茶器・花器・酒器・食器を展示してくださいました。

器だけを見るのもよろしいと思うのですが、さらに料理が盛り付けられた器を見て、その上でもう一度器だけをみていただくと、印象がかなり違うと思います。そういう点で、器の会では、食前にギャラリーで観た器に、料理が盛られてでてくるので、他になかなかない企画ではないかと思います」(石田)

今回の特設ギャラリーは、人気の山口さんの作品とあって、4日間で展示した器がほぼ完売したのも、山口さんの器で料理を食べた経験によって、作品がより魅力的に映った結果なのかもしれません。

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(真剣な表情で花を活ける山口さん)

二人から感じていることはたくさんある

器の会の食事会に出席した山口さんは、2回目の器の会は、「何も考えずにつくった」といいます。

初回のときから『器の会』は、作家が好きな器をつくって、それに石田さんがお料理を盛り付けるという説明を聞いていました。

今回は、言われたとおりに、何も考えずにつくった。鮎を盛り付けた大皿などは、出来あがってみて『どう使うんだろう?』と頭をよぎるほど、あまり相手のことを考えずに、勝手につくらせてもらっています。

もちろん、あまり大きな器ばかりでは献立で使えないだろうなと、先附や前菜に使えるものも必要だろうとサイズ感だけは気にしたというのはあります。そういえば今思い返すと、初回の時はもう少し気を使ってつくっていたかもしれません(笑)。でもそれくらい、本当に何も考えずにつくっています。

『器の会』をやらせてもらって、なかなか言葉ではいえないことなのですが、お二人から感じていることはあります。料理が盛り付けていくのをみて『こんな風に使うのか』といったような、感覚的なことを得ているように思います

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(器の会開催の記念に、山口さんと)

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次回の器の会は、年明けを予定しています。10回目にコラボレーションする作家さんは、杉本貞光さんです。大茶人の立花大亀老師に師事をしましたことでも知られる杉本さんは、桃山文化の茶陶を30年以上に及び続けていらっしゃいます。

コラボレーション自体、とても光栄なこと。石田と飛田の2人も今から楽しみにしています。また開催日時などの詳細がわかりましたら、noteでも告知さえてもらいますね。

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乃木坂しん
東京都港区赤坂8-11-19 エクレール乃木坂1F
☎03-6721-0086
ランチ(水〜土) 12:00〜15:00(13:00LO、*前日までの予約制)
  おまかせ10,000円、15,000円、18,000円
ディナー(月〜土) 17:30〜23:00(21:30LO)
 おまかせ 15,000円、18,000円、28,000円
※消費税、サービス料10%別
※緊急事態宣言中などは、夜の営業時間を変更して営業しておりますので、店舗までお問い合わせください。

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次回のnote更新は「乃木坂しんの先っぽ」の6月に開催した器の会のレポートをお届けします。アカウントのフォローもしていただけるとうれしいです!

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構成・文・撮影=江六前一郎
編集協力=吉川大智

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