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野生ならではの、凛とした植物たち。 ~フランス農場レポート vol.2〜

野枝アロマは、2017年から定期的にフランスの農場、精油メーカー、BIO製品の展示会などを訪れ、その地の植物に触れながら、今現在の生きた情報を取材させていただいています。

今回は、野生の芳香植物栽培にこだわるニコラさんの、冒険心に満ち溢れた農場レポート第2弾です。

 何とも野生的なラベンダー畑!

こちらはラベンダー・アングスティフォリアの畑です。
いわゆる「南仏プロヴァンスの素敵なラベンダー農場♪」といった雰囲気とは全く異なるワイルドな光景に、ただただ圧倒されてしまいます。

この年は5月に雨がとても多く、根が死んでしまったラベンダー・アングスティフォリアも多かったそう。
標高が高く、斜面が急なので、どうしても畑の下の方に水が溜まりやすく、水はけの悪いエリアができてしまうのです。

でもそれも、自然の中で野性として育てる上で避けては通れないことなので、ある程度はダメになってしまう植物があることも考慮に入れて育てているそうです。

花が咲く前のラベンダー・スピカ。

こちらはラベンダー・スピカの畑。
スピカはアングスティフォリアよりも後に咲くので、まだ花は咲いていません。
ラベンダー・スピカは5ヶ所から野生のものを採ってきて、その中で1番育てやすく香りが良いものをセレクトし、ここまで2年半かけて増やしてきました。

明らかに違う、2種類のラベンダー。

花が咲いていれば、アングスティフォリアとスピカはすぐに見分けがつくのですが、咲いていないとわかりにくいですよね。
そんな時は葉っぱの太さと色でチェックできるそうです。
太くて緑が濃い方がアングスティフォリア、細くて緑が薄い方がスピカです。

精油とハーブウォーターを採り終わった後も、有効活用します。

こちらは、水蒸気蒸留が終わった後のラベンダー・アングスティフォリア。
肥料にしたり、近所の家畜の餌として使ってもらったりして有効活用しています。

咲き始めたばかりのカモマイル・ローマン。

そしてこちらは、カモマイル・ローマンの畑です。
この時期は咲き始めでしたが、「あと3週間もすると、この辺り一面が真っ白になるほど花が咲き誇るんですよ」とおっしゃっていました。

カモマイル・ローマンは精油にするために大量の花が必要になるので、この農場で精油にするのはごく少量。
残りは植物油につけこんで香りを出す「マセレーション」で、主にトリートメントオイルとして製品にしています。

フランスのカモマイル・ローマンは、八重咲きのものもポピュラー。

このカゴの中の花から、3~4リットルのマッサージオイルが作れるそう。
大々的に販売するわけではなく、近所でアロマトリートメントやテラピーをするアロマセラピストさんたちに直接販売をされています。

植物をこよなく愛するおふたり。

ハーブ専門家の奥さまと共に。
奥さまは植物学の学校を卒業後ハーブ店に勤務し、その後ニコラさんと出会い、今はニコラさんの育てた植物を使って商品開発をし、地元のセラピストさんたちに流通したり、マルシェに出店したりされています。

ニコラさんは植物の研究が好きすぎて、放っておくと寝る間も惜しんで栽培の実験や研究をしてしまうので、最近では自分で働く時間のリミットを決めるようにしているそう。
私がお邪魔した、1年のうちで1番忙しい5月~7月は週に60時間まで。
・・・といっても、週休1日だとして1日10時間働くわけですから、完全にワーカホリックですよね(笑)。
その代わり、冬は植物がほとんど育たないので、週に25時間しか働かないとのこと。

野生味溢れる、力強い香りの精油たち。

おふたりとも、とにかく貪欲に植物の研究をしているという感じで、野生の芳香成分を豊富に持つ植物を、いかに自分の畑に根付かせ、品質の良い精油やハーブを生み出せるのかを日々研究していらっしゃるという印象を受けました。

自分のライフワークである芳香植物の栽培を、ストイックかつ楽しみながら行っている、とても魅力溢れるご夫妻でした。

次回お邪魔する時には、この冒険心と探究心に満ち溢れた農場がどのように成長しているのか、今から楽しみです!

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