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かしこさラボ【分析編1:語彙力と論理性】

さて、あなたはどのような人を賢いと評価するだろうか。

ここからは、賢さを構成している要素について深掘りしていくが、それとともに自分の賢さの判断基準バイアスが、どのあたりにあるのかを把握していただけると幸いだ。まずは「語彙力と論理性」の分析から始めていこう。

①語彙力

人間は、目の前にある現象を言語化して理解しようとする。ゆえに語彙が豊富なほどより正確に現象を把握できることになり、相手にも正確に情報を伝えることができることになる。語彙力は論理性の土台だ。

また、「愚者は経験から学び、賢者は書物や歴史から学ぶ」という言葉があるが、時間に有限性がある限り書物からの追体験は不可欠であり、それを可能とするのも語彙力ということになる。


【日本語について】

日本語は極めて特殊な言語である。特に、言葉の種類の多さ

熟語や外来語のおかげで、おおよそ同じ意味を表す言葉を日本人は3種類以上覚えることになりかねない。さらに、漢字に音訓が存在して同じ文字が複数の意味を持つことが日本語を複雑にする。しかも、古文や漢文まで。

ただ、表記に複数の選択肢を持つということは、それぞれの表記の不得手を補完できるなど、使い分けを可能とする利便性があるうえ、日本人の頭を鍛える。日本の多様性を支える材料ともいえる。語彙をコミュニティの性質に応じて使い分けることが、高度なコミュニケーション能力を生み出す。

【いま求められる語彙】

「共感」を生み出す語彙
「安心」を生み出す語彙
「実利」を生み出す語彙

・擬態語・擬音語などを駆使した直感的語彙
・SNSのサイズや読者レベルに合わせた語彙
数的基準を重視しつつ感覚とすり合わせる

を例にすると
擬態語「しとしと」「ぽつぽつ」
擬音語「ざあざあ」
気象庁の分類「小雨・弱い雨・やや強い雨・強い雨・激しい雨・非常に激しい雨・猛烈な雨」の7段階、1時間あたりの雨量が何ミリメートルの範囲にあるかの区別や、「大雨注意報・大雨警報・土砂災害警戒情報・大雨特別警報」といった避難行動が必要かどうかの判断材料


【ポジションと語彙】

ポジションに繋がらない語彙は、著しく敬遠される傾向がある。

世の中では「マニア」「オタク」という言葉が良く使われるが、自分の所属しているコミュニティから外れる語彙については、オタクという枠に入れて意識から遮断する。利益をもたらす場合には、その習得に乗り出す。

また、ポジションを守るための語彙も存在する。

初心者には理解できない専門用語を多用して、議論の内容をオブラートに包む。多くの人が門前で引き返す。結果、一部の人間がポジションを独占的に維持できるという構造である。SNSの書き込みを見ていると、傾向は強まっているように思う。

誰しも、自分に理解できない語彙は好ましくは感じないだろう。しかし、こういった語彙との向き合うには使ってみることだ。その語彙への反応を見ることで、相手の個人の思考などを判断することができ、コミュニケーションの一助とはなる。


②論理性

辞書的に言うのであれば、論理性の定義はおおよそ以下のようになる。

「問いに対して、主張と根拠をセットにした答えを提示すること」
「その際、体系的に整理し、矛盾や飛躍のない筋道を立てて考えること」

論理性は、まさに理性そのものであり、かしこさの血肉に当たる。しかし、情報を発信する側になる機会がかなり増え、受け取る側にいると見えなかった苦労を実感することも多くなっている。

【論理性を支える材料】

・正しい語彙・文法を用いる
・論理構造を明らかにする工夫
  因果関係の明示
  具体と抽象を駆使
  チャート化・図式化
  MECE(もれなしかつダブりなし)
・科学的根拠を添える

特に「抽象化」や「図式化」を学び、実社会でのスキルに応用できるという点において、次の本はかなり有効なものと思う。


ただし、言葉は現実世界を完璧に表現しうるものではなく、社会情勢も変化していくので、どこまでの完成度で許容するかの線引きが難しい。「完璧であることより、まず終わらせることが重要だ」

「逃げ恥」ってことで…。 

 【2】スピードと正確性
 【3】情報収集能力
 【4】コミュニケーション能力
 【5】判断力
 【6】行動力
 【7】創造力
 【8】シンかしこさ

(2022/8/26・改) 
記事が長すぎたので「子育てと語彙」「教育における論理性」「雨という語彙の深堀り」「論理性を支える材料の詳細説明」の部分はカットしました。いずれ単発記事で編集し直して出すことにします。


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