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人間とはなにかを気づかせてくれる「ひとりぼっちの宇宙戦争」by藤子・F・不二雄

「タケコプタ~!」でおなじみの「ドラえもん」

の、生みの親である藤子・F・不二雄せんせい。

実は不二雄先生、SFへの造詣も深く、「少年SF短篇」というSF漫画の短篇集も出しています。

そのなかの1作品、『ひとりぼっちの宇宙戦争』

どういう話かというと、とある惑星からやってきた宇宙人がランダムに選んだ少年と、彼そっくりのクローンロボットが戦い、少年が勝てば地球は現状維持、負ければ地球は植民地化される、という、たった一人の少年に地球の未来を託したSF戦争もの、なんですね。

しかも少年がクローンロボット戦っている間、地球の生物はすべて静止し、誰も戦争が起こっているとは知らない。だから作品タイトルが「ひとりぼっちの宇宙戦争」なんです。ちなみにこのストーリーでいう「勝つ」とは「相手を殺す」という意味。少年漫画だけど、実は残酷な行為をさせているんですよね。

さてこの少年とクローンロボット、体力も体格も知力も同じ。そのため戦いは互角に進みます。しかし、クローンロボットになく、少年に持ち合わせているものがあります。それが「感情」。

クローンロボットと戦いの末、瀬戸際まで追い込んだ時、彼は憐れみを感じ「だめだっ、殺せない!」と躊躇します。

そんな少年の優しさにクローンロボットは「反逆」という仕打ちで、彼に剣を向け、切りつけます。

少年は思う「自分には感情があるから殺せない・・・」

そんな時、この戦いを傍観していた宇宙人は言います

「きみだけの武器がある」と。

いったい「武器」とはなんでしょうか?

それは「いざ!」という時に出てくる「火事場の馬鹿力」。少年は自分を振るい立たせ、最後は盾をも貫く力でクローンロボットを刺し殺しました。

ここで、人間とロボットの違いに気づかれます。

それは人間は苦しい時になると、自分の持てる以上の力を発揮し、大きく成長できる。自分はここまでの人間なのだから、と線引きをしてはいけない。自分の殻を破り、困難を乗り越える力があるんだよ、と漫画は教えてくれました。

人間とはなにか?

それはどんな時も、自分の枠を飛び越える力をもったもの。

ではないでしょうか。


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