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PMと開発チームで解決策の手戻りを防ぐ、松竹梅フレームのススメ
こんにちは、プロダクトマネージャーのたけまさです。
この記事は「SmartHRのプロダクトマネージャー全員でブログ書く2024」への参加記事です。25人が持ち回りで毎週記事を投稿します。ぜひご覧ください!
今回は「プロダクト開発で手戻りを防ぐ松竹梅フレーム」を紹介します。昔一緒に働いていたエンジニアが、私との会話でよく使ってくれていたものを型にしました。この方との仕事は認識齟齬や手戻りがなく、とてもスピード感のあるものでした。
この経験をもとに解決策の検討手段として、様々なチームとの協業に使うようになりました。HowのオーナーシップをPMから開発チームへ移譲する場面でも、非常に効果を発揮します。
松竹梅フレームとは何か?
PMが「解決する課題の範囲」(開発スコープ)を定義し、開発チームと共に解決策の着地点を探るためのフレームです。
これは「実装コスト観点で松竹梅3つの解決策を置き石とする。解決策の幅をグラデーションで把握する。適切な着地点を決める。」という方法です。
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解決する課題
こんな2つの悲しい場面を見たことはありませんか?認識がズレたまま、狭い視野で解決策を個別検討したときのアンチパターンです。
・PM「MTG隙間と残業でなんとか解決策をまとめたぞ…」
・開発TM『あ…それはXXな理由で実現できないです…』
・PM「あ…別のアイデア検討します…」
・開発TM『あ…リリース日は伸びないですよね…』
・PM「この問題が解決できればOKで、よしなにお願いします」
・開発TM『こんな解決策でどうでしょう?』
・PM「あ…その解決策はXXな理由で無理です…」
・開発TM『あ…制約あれば事前に情報をもらえると…』
運用方法とステップ
松竹梅の順番は?
聞き慣れた日本語ネイティブの方でも、実際に使う機会はお寿司やうな重を頼むときくらいですよね。外国籍の方と会話するときは以下の伝え方をしていました。
松…High-Cost Plan
竹…Mid-Cost Plan
梅…Low-Cost Plan
運用方法
上記のアンチパターンを防ぐために、「3つの解決策を置き石として、解決策の幅をグラデーションで把握。適切な着地点を探る」。以下は運用イメージです。
ステップ1:要件と着地イメージの共有
・PM「これが課題として解決する範囲です。解決時のリターンから逆算すると、今回は小規模で解決したい気持ち。具体的な解決策を松竹梅で検討してほしい。」
ステップ2:解決策の比較、推し案の提案
・開発TM『松竹梅でこんな解決策がありそう。それぞれメリットとデメリットはこう。小規模で解決するなら、推しは「梅」案かな。』
ステップ3:PM&開発TMで着地点のすり合わせ
・PM「梅案が良さそうですね。竹案のA部分だけでも実現するとユーザーのクリックを1回減らせそう。この部分は梅案に追加できます?」
・開発TM『できますよ。そこの追加は+3日くらいの開発で可能です。』
・PM「 +3日なら投資対効果も懸念ないので、今回は「梅案+A」の解決策にしよう。」
・開発TM『OK。A部分は後出しもできますよ。同時リリースします?』
・PM「後出しのメリットないので、今回は同時にリリースしましょう。」
効率よくフレームを使うためのコツ
検討期間は最大1〜2日の粗い共有がおすすめ
このフレームは、選ばれない2案が必ず発生します。
選ばれない2案の精緻化に時間をかけても、開発可能な期間を失います。
ラフな状態でも大きな方向性やメリット/デメリットの確認は可能です。比較のために最低限必要な検討だけして早く共有することをおすすめします。
どの案を最初に考えるのか
最初に直感的に浮かんだ案を「竹」にするのがおすすめです。
竹から小さく工夫した2案目が「梅」。さらに小さくなる3案目があれば、それを「梅」にして階段をずらせば松竹梅ができます。
松(High-Cost Plan)が選ばれることはあるのか
過去経験ベースですが「松」案が実際に選ばれることは極めて稀です。ほぼ梅竹に決まるので、「松」検討に多くの時間を割くことは注意が必要です。採用案には以下のような傾向がありました。
・梅:現状とあるべき姿のギャップが、小さい場合に採用。
・竹:現状とあるべき姿のギャップが、大きい場合に採用。
・松:竹の1.3~1.5倍の工数でも、重大な2つ以上の課題を1アイデアで解決できるなど、明らかに投資価値がある場合。
「幹枝葉と松竹梅」の違い
似たような比喩で「幹枝葉」がありますが用途が違います。
枝幹葉は「何をやるか(What)」が論点
ユースケースや課題の重要度に重みをつけて、開発スコープの範囲を比較する。
松竹梅は「どのようにやるか(How)」が論点
同一の開発スコープ内で、実装コストなどで解決策の度合いを比較する。
おわりに
なんだか、うな重が食べたくなってきましたね。
3年前にこのフレームをまとめてから、私はワイヤーフレームすら作成することがなくなりました。どの開発チームでもHowのオーナーシップを担ってもらって、楽しみながら解決策を一緒に考えています。
最後に同じチームだったotaniさんがエンジニア視点で、PMから開発チームへHowのオーナーシップ移譲について紹介した記事があります。ぜひご覧ください!エンジニア主導の仕様検討: はじめの一歩を踏み出す
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