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きつねとぶどう


子ぎつねがお腹が空いたと泣くので
母ぎつねは、ブドウを思いつくのである。
巣穴からはだいぶ離れていたけれど
母ぎつねは無事、子ぎつねの待つ巣穴の近くに戻ってきた。

ブドウが重くて一休みしたときに
猟師と犬たちの声がする。

子ぎつねを逃がさなくては と
母は「逃げなさい、山の奥へ」と叫ぶのである。


何年も経って、母を探しながら生きていた子ぎつねは
昔の巣穴のそばで、ブドウを見つける。
ブドウはとてもおいしくて、
子ぎつねはいろいろと腑に落ちるのである。

物語の最後は


「おかあさん ありがとうございました」



これも、「ビワの実」に載っている坪田譲治の作品である。
坪田譲治の作品はどこか悪い意味でない違和感がある。
なにかふしぎな、うすいうすい紙一枚隔てているような。

忘れられないのはそのせいもあるのかと思う。

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