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【若手ビジネスパーソン向け】マルチタスクは良い悪い?!

現在、約30名のマーケティング部員を抱え、日々人材育成に悩みながら過ごしている。当初、マーケティングのフレームワークなどのテクニカルなトレーニングを要望されることが多かったが、最近は「日々困っていることを相談したい」というアジェンダに変化してきている。個人的には、「目的意識が強くなったのではないか?」と好意的に受け止めている。

いくつかの悩み相談がピックアップされたが、今回は”マルチタスク”についてだ。「日々たくさんの仕事がふって湧いてくるが、マルチタスクをうまくできなくて困っている」というものだ。

この類の悩みはみんなが抱えており、ビジネス書などでも様々な意見があるが、個人的には賛成派である。ただし、マルチタスクのみを捉えるのではなく、仕事の進め方「段取り」から考える必要があると思っている。

1)仕事の進め方について
みなさんは、仕事を請け負った時、どのように仕事を進めているでしょうか?

私は請け負った際、①Backgroundの確認 ②Objectiveの確認精査 ③Deliverableへの期待値をまずは確認するようにしている。ここがズレると無駄な労力を取られることになるからだ(Step0)次に、請け負った業務に対して、Deliverableの完成度が30%程度(感覚値)で上司に提出して方向性を確認する(Step1)、方向性が間違っていなければ50-70%の完成度まで高める(Step2)に進め、完成(Step3)を目指す。

Step0については当然のことであるが、Step1については実践していない人が多いと感じる。よくあるケースとして、完成度が70%程度の段階で提出(自分の評価だが)して上司の期待値との齟齬が判明してやり直しになるパターンだ。性格上、粗々なものを出せないという人もいるが、効率性を考えるとStep1は重要だ。次にStep2だが、実は重要だ。経験値を積んだ上司こそ個人的な好み(Power pointであれば、視覚化の方法やWordであればNarrativeなのか箇条書きなのか…など)があり、そこに合わせる必要がある。一気に100%近いところまで資料を作り込んでしまうと大きな痛手を負うことになる。

上記を前提に置いたうえでマルチタスクに対する私の考え方を述べる。

2)マルチタスクはシングルタスクの積み重ね

みなさんが、多くのタスク(ボール)を抱えている場合、上司や依頼主にボールを投げ返すまでに至らず、どんどんボールを持った状態(テンパっている状態)になっているのではないだろうか?私の経験上、高い完成度にならなければボールを投げ返すことができない人が多く(例えば70%の出来までがんばるためなかなか完成しない)どんどん仕事が溜まっている状態になっている人が多い

一方、業務を一晩でも寝かすことで違う角度から見ることができブラッシュアップにつながる。ステップ2以降では寝かせることはOKだが、ステップ1で業務を寝かせてしまう(=これが悪いマルチタスクであるという理解)と業務が溜まり結果的にスタックしてしまう。

ケンブリッジ大学のBarbara Sahakian教授の研究によると、人は1日に最大35,000回の決断をしているという。私は日常業務の95~98%程度は即決できると考えている。この数字は与えられた職務や業務量、個人個人のMaturityに依存するため、あくまで感覚地である。

一方、「優秀である」「頭が良い」という一つの大きな構成要素として決断する力は捉えられているのではないだろうか。

それではこの力をどのように鍛えるのだろうか?個人的には2つ重要なことがあるのではないかと考えている。一つは「経験値の量」だ。多様かつ多量の経験を積むことで脳に成功談や失敗談が蓄積され、無意識のうちに回答を導き出せるようになる。もう一つは「経験値の質」だ。大失敗のリカバリーや人事異動などインパクトの大きな決断を積み重ねることでその人の丹力が鍛えられ、勇気をもって決断することができるようになる。

「仕事の報酬は仕事」と、ソニー創業者の一人である井深大氏は言った。私はまさにその通りだと思う。Life work balance、働き方改革など仕事を制限する動きが加速する中、若い世代は経験を積み機会を無意識のうちに制限されている。

人材育成におけるこの難しさをどうやって克服するのか、考え続けて行かなければならない。

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