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教員の給料が増える?それは適正?ニュースから読み解く

教員界隈ではこのニュースの話題でもちきりです。

文部科学省がまとめた公立学校教員の処遇改善案の概要が21日、判明した。残業代の代わりに一律支給されている「教職調整額」を、基本給の4%から13%に引き上げる方針で、実現すれば約50年ぶりの改定となる。教員のなり手不足が深刻化していることを踏まえ、文科省は処遇改善を図り、人材の確保につなげたい考えだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/712b377b429fffe968417ee306e611a623a4c9f5

1. 教職調整額とは?

教員は「教職調整額」という形で、残業代をもらっています。この「教職調整額」は、基本給の4%が一律で支給されています。つまり、教員全員に基本給の4%が追加されているのです。この制度は1971年に決まり、それ以来ずっと変わっていません。

2. 教員の長時間労働の問題

しかし、現在の学校現場では、教員の長時間労働が深刻な問題になっています。例えば、小学校や中学校の教員の多くは、月に45時間以上の残業をしています。この45時間というのは、国が定めた「残業の上限」ですが、多くの教員がそれを超えて働いています。

3. なぜ教員はこんなに働いているの?

授業の準備だけでなく、部活動の指導、保護者との連絡、学校行事の準備など、教員の仕事は非常に多岐にわたります。そのため、仕事が終わらず、遅くまで働かざるを得ない状況が続いています。

4. 教員不足の問題

このような過酷な労働環境が原因で、教員になりたいと思う人が減っています。実際、教員採用試験の倍率(受験者数を採用人数で割った数)は、昔に比べて大幅に下がっています。例えば、2000年度には小学校教員の採用倍率が12.5倍でしたが、2023年度には2.3倍にまで落ち込んでいます。つまり、昔に比べて教員になりたい人が少なくなっており、その結果、全国で教員が足りない状況が生まれています。

このように、長時間労働や過酷な労働環境が、教員不足や教育の質の低下につながっているため、今回の処遇改善案が提案されています。

5. 教職調整額の引き上げ

まず、現在の「教職調整額」は基本給の4%ですが、これを13%に引き上げるという提案がされています。これは、教員の働き方に見合った報酬を確保し、処遇を改善する目的があります。この引き上げが実現すれば、1971年以来約50年ぶりの改定となります。この変更により、教員の給与が大幅に増えることが期待されています。

6. 若手教員を支援するポストの新設

次に、新たなポストとして、若手教員を支援する役割が設けられます。若手教員は、まだ経験が浅く、指導力や業務の効率化に課題を抱えることが多いため、これをサポートする先輩教員を配置する方針です。この新ポストに就く教員には、月額6,000円の手当が支給される予定です。これにより、若手教員が安心して仕事に取り組める環境を整えることが狙いです。

7. 担任手当や管理職手当の増額

さらに、学級担任や管理職に対する手当が増額されます。学級担任には月額3,000円、校長や教頭などの管理職には月額5,000円から1万円が追加で支給される予定です。学級担任は子どもたちとの日常的な関わりが多く、業務が非常に多忙で負担が大きい職務です。そのため、この手当の増額は、そうした負担に対する報酬としての意味があります。

8. 小学校の「教科担任制」の拡大と教員増員

「教科担任制」とは、特定の教科を専門に教える教員が担当する制度で、現在は小学校5年生と6年生で導入されています。これを3年生と4年生にも拡大しようとしています。例えば、数学は数学の専門教員、英語は英語の専門教員が担当することで、授業の質を高める狙いです。この制度の拡大に伴い、全国で1,750人の教員を新たに採用する計画です。

9. 目的と今後の見通し

今回の提案は、教員の働き方改革と教員採用状況の改善を目指しています。具体的には、長時間労働を改善し、給与を見直すことで、より多くの人が教員として働きたいと思うような環境を整えることが目的です。

文部科学省は、教職調整額の改定を2026年から実施する計画を立てています。そのため、まず来年度の予算に関連経費を組み込み、法改正を進める予定です。また、教員の長時間労働の是正にも力を入れており、最終的には教員の残業時間を月20時間程度に抑えることを目標に掲げています。

これらの取り組みが実現すれば、教員が無理なく働ける環境が整い、教員の負担が軽減されることで、教育の質の向上にもつながると期待されています。

10. 教員不足とその対策

現在の教員不足の背景には、長時間労働や給与水準の低さ、職場環境の厳しさが影響していると考えられます。特に、過酷な労働条件が原因で教員を目指す人が減少しており、結果として採用倍率も低下しています。この問題に対応するため、今回の処遇改善案では、教員の給与や手当を増やし、より働きやすい環境を提供することで、優秀な人材を確保しやすくする狙いがあります。

11. 給与や手当の増額だけでは教員不足の問題は解決しません。

教員が抱える多様な業務や長時間労働を改善するためには、業務負担の軽減や組織全体での支援体制の強化も不可欠です。たとえば、部活動の指導を外部の専門家に委託するなど、教員が本来の教育活動に集中できる環境を整える必要があります。

総合的に見て、この改定が実現すれば、教員の待遇が大きく改善され、教育現場の人材不足を解消する一助となるでしょう。ただし、その効果を最大限に発揮するには、教員の働き方全体を見直し、現場での運用を的確に進めていくことが求められます。


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