鈴木祐「最高の体調」と部門間のコンフリクト

「営業が無茶な案件をどんどんとってきて、製造現場が困る」「量産工程が納期に間に合わせるのに必死なのに、品質管理が通さない」「とにかく急いで商談をまとめたいのに、法務がうるさくて契約がまとまらない」

どんな職場でもこんな事は起きているのではないかと思う。
僕はいま40代だけど、30代はとくにこうしたコンフリクトに直面することが多かった気がする。その度に、キリキリと胃を痛めていたように思う。

最近、少しブームに送れて「最高の体調」を読んだ。この本はたくさんの方が要約動画を出したりまとめてくれているので詳細は割愛するが、ザックリ言ってしまうと

「人類の歴史はとても長く、明日食べるものにも困る飢餓状態であることの方が常態的だった。だから、体脂肪など貴重なエネルギー源は極力蓄える体質になっているし、未来への不安などには弱い。長い歴史に対して、飽食の時代になり長生きになり人生設計を考えなければならない時代はほんの数代でしかないので、現代のそうした状況に人体の設計は追い付いていない。いまあるほとんどの体調不良はいわば、人類が生存する歴史の中で急に環境が変わったことから起きる「文明病」である。
→だから、腸内環境や睡眠などをよくする積極的はたらきかけが大事である

というような内容であったと思う(→だから、以降が大事だったわけだけれど)

それを読んでいてふと、人類が古来から持っている、よからぬ菌が入ってきたら免疫が動き出して、その結果体内で免疫と最近のたたかいがおきて熱が出て、鼻水が出て、のどが腫れて…みたいなことって、とても健全な動きなのだなと改めて思った。

体脂肪だとかストレスや睡眠不足にはその対抗策が人体の方にないので、ある程度補ってあげなければならないという話だったと思う。

そう考えると、部門間のコンフリクトというのは、会社という「体」にとってはとても健全な動きなのだなとあらためて思った。

細菌が入るのが怖いから活動しない…それはそれで文明は衰退してしまうから(2020年以降の世界にとっては記憶にあたらしいところ)、細菌自体を取り込んででも活動を続けることは大事だ。
でも、その細菌が過剰に入ってきたときに、免疫が働いて撃退するにあたり熱を出したり症状が出てしまうこともとても大事なこと。そのあたりが全く働かないがゆえにナチュラルに危険なレベルまで体脂肪がたまっていってしまうという「文明病」との差をみればそれは明らかに健全なこと。

部門間のコンフリクトというのも、「それぞれが、それぞれの役割をちゃんと果たしている」から起きることだと思う。
営業が無茶だとおもえるくらいどんどん案件をとってこなければ、会社は衰退してしまう。でも、実際に無茶な量を全て受け取っていたら、製造現場は疲弊し、社員は退社し、或いは最悪な場合は過労で倒れ、組織はズタボロになる。納期を守ることを優先して不良品を許容していたら、いずれ会社は評判を落とし、そのうち信頼を失うだろう。かといって、納期が遅れても信頼は失う。
お互いがお互いの部門の仕事を果たして、コンフリクトが起きるからこそ、会社は健全な方向に進んでいく。コンフリクトが起きないですべてが通っていく方が実は粛々と組織がむしばまれていく。

大切なのは、起きた症状に対してきちんと対処療法をしたり、症状が発生するほどの大きなコンフリクトになる前に食生活を管理したり運動療法をしたり、部門を超えた全体的働き、或いは外部からのサポートなどを経て、そのコンフリクトの必要性を認識しておくことで、過剰な爆発に至らなくすることなのではないだろうか。

それはつまり、「お互いがお互いの役割が大切であることを知っておく」ことなのではないかと思う。お互いがお互いの役割が大切であることを知ったうえで、それでも営業はたくさん案件をとってきた方が良いし、現場は受けきれないものはきちんと主張する。そこで建設的な議論をする、対話をする、そうやって健康は保たれる。

コンフリクトや衝突すべてを悪として、うっとうしいものとしてとらえてしまうことが一番危険なんじゃないか、というのを、己のおなかをながめながら「最高の体調」を読んで思ったわけです。

そして今朝は起きたとき、夏バテしていたのかすごくだるかったけど仕事前にジムに行けて、おかげでだいぶすっきりしたので満足しております。
体が眠いと感じることも大事、体がだるいと感じることも大事。だからこそ運動をするということも大事。すべての大事さをうけとめて何がいいか考える。こういう働きかけが大切ですね。

それでは今日も仕事を頑張りたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?