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医師と僧侶のカケコミ相談室 第16回 日本人の誇るべき特性とは?

脳神経外科医の道下将太郎と、京都「両足院」副住職の伊藤東凌が、みなさんからのお悩み・質問・疑問へ回答する「医師と僧侶のカケコミ相談室」。
カケコミをはじめた経緯、無料公開のQ&Aはこちらです!

数日前、人気のかき氷屋さんを目指してトレイルランニングへ行ってきました。前半は山、後半に少し市街地を抜けるとお目当てのお店。気温34度、無風の山の中はまるでサウナ。ロードに出るとアスファルトの照り返しで足が焦げそうな暑さ。夏が終わる気配がありませんでした!

夏が長く秋が短くなり、「秋が無くなった」とか、「日本の四季は二季になる」など、気候変動が大きな話題になっています。今、もう1のつ大きな話題といえば自民党総裁選。過去最多9人が立候補し、9月27日投開票。候補者の1人小泉進次郎氏は環境大臣で、以前ニューヨークで行われた英語での会見で「環境問題に取り組むことは、きっと楽しくクールでセクシーでしょう」と発言したことが話題になりました。

環境問題に取り組むのがセクシーってどういうこと?と世間がざわついたのをよく覚えています。日本では、セクシーという言葉は性的に魅力的、官能的という意味で使われ、それ以外の使い方はほぼされません。けれど、アメリカではクール(カッコいい)や、イケている!というような意味にもなるそう。

同じ会見に出席していた、国連気候変動枠組条約の事務局長を務めていた人物が、セクシーという表現をしたのを引用したという背景もあるようです。環境問題に取り組むのはカッコいいことだよ!と言いたかったのかもしれませんが、日本人には理解できず、セクシーという言葉が独り歩きしすぎたのかもしれません。

世界がグローバル化する中、言葉も国境を超えて使われています。日本には昔からカタカナ語、和製英語がありますが、新しい単語もどんどん入ってきて、共通理解が進まないまま使われている言葉も増えていますね。
InTripとカケコミ相談室には、「ウェルビーイングの実現、向上」というテーマがありますが、ウェルビーイングという言葉・概念も新しいもので、よく分からないという人も多いでしょう。

今週のQ&Aではまさに、「ウェルビーイングという言葉の響きに違和感がある」という疑問に、東凌さんが答えています。今後も国を超えた交流が増える中、どんなふうに言葉を捉え、日本語に向き合っていけばいいのか、日本語の歴史を振り返りながら説明しています。私は、ものすごく腑に落ちました。互いの文化、言語への尊敬、理解を深める努力…。詳しくはQ&Aをお楽しみください!

そして今週のアプリ「InTrip」では、「リーダーの孤独を支えるフォロワーシップ」というテーマの記事を配信します。日本のリーダーが決まろうとしている今、タイムリーな内容です。こちらもぜひ覗いてみてください。

アプリInTripはInstagramでも情報配信中です!

Q1 日本文化、日本語が廃れていることが気になります。何でもカタカナ語で話す人が増えていて、「ウェルビーイング」という表現にも違和感があります。東凌さんは僧侶という伝統文化を背負っている立場ですが、やはりカタカナ語を多用しているように思います。日本独自の文化や言葉が失われていくことをどう感じますか?

Q2 最近副業をはじめ、2つの仕事で頭の切り替えがうまくできないことがあります。東凌さんも複数の仕事をしているいようですが、頭の切り替えをどうしていますか?

Q3 38歳、フリーランス、男性。結婚する気はなく、家族を持たず1人で老後を迎えることになると思います。男性の1人暮らしは死亡リスクが高くなると聞いたことがありますが、豊かな老後、最期を迎えるために必要なことが知りたいです。

Q4 3年前からランニングをはじめ、大会にも出ています。強度の強い練習をすると風邪をひきやすくなったり、ケガをすることも。本を読んで勉強したり練習会にも参加していますが、いまだにちょうどいい練習量やペースが分かりません。基礎体力不足でしょうか。


Q1 
日本文化、日本語が廃れていることが気になります。何でもカタカナ語で話す人が増えていて、「ウェルビーイング」という表現にも違和感があります。東凌さんは僧侶という伝統文化を背負っている立場ですが、やはりカタカナ語を多用しているように思います。日本独自の文化や言葉が失われていくことをどう感じますか?

A1
「他国の文化を尊敬し、柔軟に取り入れるのが日本らしさです」東凌

日本は、海に囲まれた島国であるという地政学的な理由から、他国の侵略を受けず発展を遂げ、長い年月をかけて文化と伝統を築いてきました。おっしゃる通り、豊かで独自性の強い文化、伝統があることに、私も深い感謝の念を抱いています。
相談者さんは、日本独自の文化や伝統、特に言葉が失われていくことに危機感を抱いているようですが、長い歴史を振り返ってみると、その考え方に偏りがあることに気付くと思います。

まず、日本文化の成り立ちを確認してみましょう。日本は、近隣の中国や韓国から伝来した文化や技術を、縄文時代から多く受け入れてきた国です。日本語は中国語を取り入れてできた言葉で、中国伝来の漢字を「真名」と表現し、日本に元々あった大和言葉を「仮名」と表現しています。他国の言葉を真(しん)の文字とし、自国の言葉を仮りの文字と称するのは、それだけ相手国への尊敬があったということです。そして、真名でも仮名でも表現できない外来語をカタカナで表現しています。

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脳神経外科医・道下将太郎&京都「両足院」副住職で「Newsweek」世界が尊敬する日本人100に選出された伊藤東凌が、みなさんからの質問・…

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