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効果的な 1 on 1(ワン・オン・ワン)が難しい理由

最近、いろんな会社で 1 on 1 が流行り言葉のように使われていいますが、効果的な(意味のある)1 on 1 ができているマネージャーはどれだけいるんだろ?

前職も今も外資系ですが、1 on 1 は必ず行われます。日系企業だと大体1ヶ月に一回か、四半期に一回程度が多いみたいですが、私の経験上、外資では週一か隔週であります。ただ、「意味のある効果的な 1 on 1」ができていると部下が感じているケースは周りでもなかなかいません。

それだけ、1 on 1 が難しいということだと思いますので、今日は、それについて描きたいと思います。

効果的な 1 on 1 ができていない理由

日系・外資に関わらず、効果的な 1 on 1 が根付かない理由をいくつか紹介します。

その1:スモールトークの文化の欠如

日本企業には「スモールトーク」の文化があまり根付いていないような気がします。小さな「何気ない会話」を上司と部下で毎日、頻繁に行っているかどうか。そのスモールトークの文化が無いと、いきなり1ヶ月ぶりに 1 on 1 したところで、お互い会話に困るケースが多いと思います。

その2:タスク化

前職でも現職でもそうですが、「毎月必ず実施してください」とか「四半期に一度は行うように」という指示がトップダウンで降りてくることが多いです。そうすると「回数」が目的になってしまい、やる意義が伝わっていなかったり、マネージャーが腹落ちしていないケースが多いのではないでしょうか?

「効果的な 1 on 1 が定期的に行われている」よりも「実施した実績」でマネージャーが評価されるので、1 on 1 がチェックリスト(タスクリスト)の一つになってしまいます。

その3:意義の腹落ち感

1 on 1 がタスクになってしまうのは、部下と上司で 1 on 1 をやる意義や期待している効果(上司側と部下側もそうですが、会社側の期待値も含む)が明確ではないからでは無いでしょうか?また、意義や効果に対して懐疑的だと、当事者にとって本気で取り組めないと思います。

その4:やり方のノウハウと仕組みの欠如

そもそも、効果的な 1 on 1 をやるためにはマネージャーは事前準備に何を行い、双方でどのような期待値の設定をし、どのような対話(*会話ではない)を心がけるか、どのように終わるのか、などと色々な知識や経験が必要です。

しかしほとんどの会社ではマネージャーにこのようなトレーニングを行うことは少ないと感じますし、やっていたとしてもフォローアップしてくれる仕組みがありません。(少なくとも私が働いた企業や知り合いに聞いても、そんなトレーニングを事前にやってくれる企業を聞いたことがありません)

この環境の中で「1 on 1 をやりなさい」というのは乱暴だと思っています。

その5:フィードバック文化の欠如

その4で書いた通り、1 on 1 は対話じゃなければなりません。会話ではない。そして効果的に行うためにはマネージャーも部下もお互いフィードバックしなければよりより 1 on 1 に進化できません。

ここで、お互いというのがポイントです。上司からも部下からも双方向で「ここが良かったけど、次回はこうやって欲しい」などのオープンな会話が非常に重要です。

なかなか部下からフィードバックはしづらいと思うので、ここは上司から

「昨日(この前)の 1 on 1 だけど、もう少し〇〇さんの期待に応えるために、もう少しこうやって欲しいとかありますか?せっかく貴重な時間をもらっているから、〇〇さんにとってもっと有意義な時間になって欲しいんだよね」

と言えると部下からしたらフィードバックしやすくなるんじゃないでしょうか?

その6:継続性とチェックインの欠如

1 on 1 で大事なのは、次回までに取り組む課題や方向性をお互いに合意することです。そして、次のセッションの途中で軽いチェックイン(進捗確認や声かけ)があるか無いかでだいぶ違います。特に2週間以上、間を開ける場合は、このチェックインがかなり効果的になりますが、ほとんどのマネージャーは怠ります。

諸刃の剣

1 on 1 は魔法の杖ではありませんが、継続的に且つ効果的に行えば個人とチームとしての成長が見込めますし、最終的には所属組織への貢献度が加速度的に上がります。

また、従業員のモチベーションアップにもつながり離職率低下や、チームの活性化にも寄与します。年次の人事評価も納得性があるものに変わる可能性が高くなります。

一方で、1 on 1 はきちんと行わないと逆効果にもなりかねない、諸刃の剣です。上司に対する信頼が薄まり、モチベーションダウンにもつながります。チームの士気が下がり、アウトプットの質の低下や離職率が上がるなど、リスクは高いです。

だからこそ、マネージャーに対する 1 on 1 の事前トレーニングが非常に重要で、ここの「チェンジマネジメント」が中途半端だと、むしろ 1 on 1 はやらない方がいい可能性が高いです。

そこに真面目に投資する会社が今後は伸びてくると思います。

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