見出し画像

点数くらべ

テスト何点やった?
大学生になってこの話題になることはなくなったけれど、高校生まではテストの度に持ち出される話題だった。
多分、学校に通っていると誰しもが一度は遭遇すると思う。

高校1年生の時のクラスメイトは、やたらとテストの点数を聞いてくる子が多かった。

中学生の頃の私といえば、勉強が苦手だった。
進学塾に中学1年生の頃から通わせてもらっていたのに、勉強に力を入れることができず、卒業するまで塾内の成績が低い方だった。
無理やり塾で勉強していたので、中学校では「中の上」という、平均点より数点上の微妙な立ち位置にずっと存在していた。
そんな中学生だったので、テストの点数なんて聞いてくる人なんているわけなかった。

そんなこんなで中学校を卒業して、高校に入学した。
入学式の次の日にいきなりテストがあった。
楽しいJKライフを想像していたので入学して早々のテストにうんざりした。
別に成績に入ることもなかったし、気楽に受けた。
アンケートのような調査のようなものがあって、平日の勉強時間や休日のスマホの利用時間なんかを問われた。
それも見栄を張ることなく、もちろん正直に答えた。

テストの結果は、すぐに返却された。
テストの点数や順位、アンケートの結果などが紙に書かれているものを渡された。
結果は、点数も順位も中学生の頃と同様で平均だった。
やっぱ、どこへ行っても平均か〜。
ショックとかそんな感情はなく、当たり前のこととして受け入れられた。

休み時間になると、クラスの話題はテストの点数についてだった。
テスト何点やった?」とやたら聞いて回る子が何人かいた。
入学したてだから、周りが何点ぐらいなのか気になる気持ちは分かる。
私が休み時間に話していた女子グループでも、その話題になっていた。

話題を持ち出した子は自信がありそうだったので、できるだけ私の点数は内緒にしたかったけれど、そういう訳にはいかなかった。
相手の点数を聞いてしまった、というより聞かされたからには、自分の点数を公開するしかない。

当たり障りのない点数を公開して、なんとも言えない雰囲気を作り出した。
なんとも言えない雰囲気とクラスメイトの反応が「その程度の点数か」ということを物語っていた。

「点数を聞いてきた自信に満ち溢れたクラスメイトは、私の点数を聞いてどんな気持ちだったのだろうか?」
そんなことが、その後頭から消えなかった。

今まで勉強を避けてきたので当たり前の結果だけれど、
悔しいという気持ちになった。
悔しいとか負けたくないという気持ちが初めて湧き上がった。
この感情によって突然私にエンジンがかかったのである。

少しづつ勉強に取り組むことにした。
中学生の頃は塾に頼ることができたけれど、高校生になって頼ることはできなくなったし、自力でなんとかしたかった。
苦手なことなので、最初は思うようにいかないこともあったけれど、相当悔しかったのか全力で頑張れた。

時は流れて高校生初の中間テストになった。
必死に頑張ったので、どうにか納得のいく点数をとりたかった。
結果として、勉強法が上手く当てはまった教科は点数が爆上がりした。
最初のテストだから簡単だったかもしれないけれど、
「やればできるじゃ〜ん♪」という気持ちになった。

高校生初の中間テストでの成功体験に味を占めた私は、ここからどんどん成長する。
入学早々テストの点数を聞かれてすごい嫌な気持ちになったけれど、この件がなければ私は成長するタイミングを失っていたことになるので、クラスメイトには感謝している。

高校入学のタイミングで成功体験を得られたことは本当に良かったと今でも思う。
勉強の習慣がつき始めたことも良かったことだけれど、勉強はただのきっかけであって、それ以上に自分に自信がついて良かったと思う。
あと、努力をすること。
「自分は平均程度の人間」なんて思っていた時は、努力をしたことがなかった。努力をしても周りの人には敵わないし、無駄なことだと心のどこかで思っていたからだ。
でも、努力をすることで得られる感情は最高であることに気づけた。
本当に良かった。



この記事が参加している募集

#スキしてみて

525,537件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?