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幸せが不登校の顔してやってきた

「不登校を受け入れられない」「子どもに怒りをぶつけてしまう」「自分を責めてしまう」と悩んでいませんか?

実は私がそうでした。そして大抵のお母さんが同じ悩みを抱えています。なぜなら、今まで信じていた世界がガラガラと崩れていくから。

これは、私が不登校の苦しみから抜け出し、不登校に感謝するまでの5年間のお話です。

「不登校に感謝なんてできるの?」はじめは私もそう思いました。そんな方もよければ最後まで読んでみてください。不登校に感謝できる日が思いのほか早く来るかもしれません。



不登校のはじまり

UnsplashのHello I’m Nikが撮影した写真 ARIGATO

我が家の生活が大きく変わったのは、娘が中学1年生、息子が小学4年生の夏休み明けでした。突然、二人とも学校に行かなくなったのです。

それまでも時々腹痛を訴えて学校を休むことはありましたが、私はそれを大きな問題とは考えていませんでした。

その時期、私は自身のシステムエンジニアのキャリアではじめての業務を任されていました。前任者からの引き継ぎはほとんどなく、すべて手探りの状態で業務をこなす、かなりハードな日々。

私自身が仕事で手一杯で、子どもたちの精神的な状態に目を向ける余裕がありませんでした。学校を休みがちなのは単に体調が悪いからだと思い込もうとしていました。

夏休みには家族で北海道旅行に行き、新学期からは子どもたちが元気に学校に行ってくれるだろうと思っていました。ところが娘が数日続けて学校を休み、それにつられたのか息子も休むようになったのです。そしてとうとう二人とも学校に行かなくなりました。


生きることがツラい

最初は何とか学校に行かせようとしました。

起きてこない娘の布団をはぎ取り「学校に遅れるでしょう! 早く起きなさい!」と責め立てたり、玄関先で動かない息子には「どうして学校に行かないの!」と泣きながら怒鳴ったり。

学校に行かない子どもたちに言いようのない怒りを感じていました。子どもたちが自分を苦しめているとさえ思いました。

でも頭ではわかっていたのです。

「子どもたちは悪くない」

子どもを責める自分がイヤになりました。そして今度は自分を責めるようになりました。もともと家事や子育てに苦手意識を持っていたので「私はやはり子育てには向いていなかったんだ。母親失格なんだ」と自己嫌悪に苛まれるようになったのです。

今思えば、たかが学校に行かなくなっただけのことなのに、当時の私は世界が崩壊していくような感覚に襲われていました。

生きることがツラくなり、天国にいる祖母に「どうか私を今すぐあの世に連れていってください」と祈りました。

ツラいのは子どもたちのほうなのに。
泣きたいのは子どもたちのほうなのに。

もしかしたら子どもたちも思っていたかもしれません。

「消えてなくなりたい」と。


不登校支援に頼る

怒ることにも責めることにも疲れ果てた私は、システムエンジニアの仕事を辞めることにしました。そして家にいるならと、ずっと飼いたかった犬を家族に迎えることにしたのです。

これが家族にとって大きな転機となりました。

子犬の存在が、家の雰囲気を一気に明るくしました。尻尾を振りながらあっちにいったり、こっちにいったり。その姿を見るだけで心が和み、家族の会話も増えました。

仕事のプレッシャーから解放されたこと、そして可愛い子犬を迎えたことで心に少しだけ余裕が出てきました。

そんな中、とある不登校のお母さんのブログで、息子さんが学校に戻ったという話を見つけたのです。

そのお母さんは不登校支援の助けを借りたと書いていました。私はかすかな望みをかけて不登校支援の専門機関に連絡を取りました。

そしてついに子どもたちは学校に戻ることになります。

不登校になってから1年後のことでした。



再び不登校に

多くの方々のご支援のおかげで、子どもたちは学校に戻ることができました。しかし、その後もさまざまな困難が待ち受けていました。長くなるので今は語りませんが、いじめ問題に対応する際は本当に大変でした。

娘は私立の女子高校に進学しましたが、学校へ通うのが難しくなり、通信制高校への転学を選びました。今は専門学校でイラストの勉強をしています。

息子はといえば、中学2年で再び不登校になり、その後は一度も学校に戻っていません。この春、中学を卒業し、現在は何もせずに家にひきこもっています。

ここでひとつ、お伝えしておきたいことがあります。

私がお世話になった専門機関では、多くの子どもたちが順調に学校に通い続けているということ。

私たち家族に対しても誠実に向き合ってくださり、今でも心から感謝しています。

ただ私自身が、子どもたちを無理に学校に行かせたくないという考え方に変わっただけなのです。



ありがとうに出会う

UnsplashのBarbara Krysztofiakが撮影した写真  ARIGATO

子どもたちが学校に戻っても、なぜか私の心は晴れませんでした。子どもたちを学校に戻すことが本当に正しい決断だったのか、自問自答する日々。「もしまたいじめがあっても学校だけでは対応が難しいだろうな」「もし私が子どもだったら、今の学校には行きたくないだろうな」

※学校に通うことを否定しているのではありません。楽しく通えているのならそれに越したことはありませんから。

そんな時、ふと目にしたブログに、こんなことが書かれていました。


「ありがとうの言葉の力で幸せになれる」


最初はあまり信じていなかったのですが、ブログを読むにつれてそれが真実ではないかと思い始めました。

「だまされたと思ってやってみよう」

だって「ありがとう」を言うだけなんですから。難しいことは一切ありません。

すると不思議なことに、だんだんと心が平穏になっていきました。
そして、いろいろなことを許せるようになったのです。

いい加減な対応をした先生
いじめをした生徒
不登校になった二人の子ども
父親として優しすぎる夫
そして母親失格の私

すべての経験が私を成長させてくれた。
無駄なことなどひとつもなかった。


「ありがとう」の言葉のおかげでそう思えるようになりました。


そして不登校にも感謝するようになりました。


  • 不登校のおかげで仕事を辞めることができた

  • 不登校のおかげで愛犬を家族に迎えることができた

  • 不登校のおかげで多くの出会いがあった

  • 不登校のおかげで多くの学びがあった

  • 不登校のおかげで感謝の大切さを知った


「幸せは不幸の顔をしてやってくる」


まさにそのとおりだと思います。不登校のおかげで、日々「ありがとう」が言える自分になりました。すべてが今の幸せにつながっています。


子どもたち、不登校になってくれてありがとう。



人生は続く

これからも人生は続いていきます。娘は専門学生になりましたが、早くも就職活動に悩み始めています。一方、息子は家で元気に過ごしていますが、何かを始める気配はまったくありません。

それでも大丈夫。「ありがとう」を唱えていれば、きっと何とかなります。

最後に、今年はじめに息子が引いたおみくじの言葉で締めくくりたいと思います。


「歩」

全てを人生の修行と想い歩みつづけよ

道なき道を雨の日も風の日も何が起ころうとも

立ち止まることなくただただ前へ

あなたの足跡には花が咲き新たな道が生まれるだろう


2023年1月のおみくじ


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
「明日、ありがとうと言ってみようかな」そんな風に思ってもらえたら幸いです。
不登校に悩む方々の心が少しでも軽くなることを願っています。


【追記】
電子書籍を出版しました。
不登校に悩む親御さんが少しでもラクになればという思いで書きました。
お読みいただけたら幸いです。


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