見出し画像

残酷で痛々しいけど、それが妙にハマる【Saw】

ずっと気になってたけどなかなか観る気になれない映画ってあるじゃない?
私の場合はそれが『ソウ』シリーズだったわけ。
この映画ってホラー映画っぽいんだけど、「怖い」っていうよりは「痛い」って感じで、観てるだけで自分の体も痛くなってくるような気がしてなかなか観れなかったのね。
でもとうとう観てしまったわ。
観たい作品がなかったというのもあるし、ピンとくる作品もなかったので、じゃあ…ということで観始めたらなんだかハマっちゃって。
気づいたら全作品一気見してたわ。

この映画、ただ痛いだけなのかと思ってたけど、ちゃんとストーリーもあるんだなって当たり前なこと思っちゃった。
それも全シリーズを通してどこかしらが前の作品とつながってたりして、一辺倒的じゃなく重層的に話が展開してたから、わりとちゃんとした設定になってるんだなって感心した。
残酷なゲームに選ばれた人たちもランダムじゃなくて、過去にジグゾウと関わりがあった人 (主にジグゾウを逆なでした人) だったり、背徳的だったり、他人を搾取してきた人だったり、今までの生き方を罰して更生させるため、という一応理由があって選ばれているということ。
今までの行いを自分の体を犠牲にしたり差し出すことによって罪の重さを感じ、もう二度と昔のようなことをしないための戒めとする。
とはいえやってることはなかなかのサイコパスぶりなんだけど、観ているとなんだか引き込まれちゃう。

ただ危険なのは、こういう作品を観た場合に、自分もジグゾウ側に回ってみたい、という気持ちが起こってくる人がいるんじゃないかということ。
私みたいな残忍性を秘めているような人間は、ちょっとそそられちゃうのよ、これが。
映画版もドラマ版も『ハンニバル』は大好きなんだけど、これもかなりの残忍性だったりグロテスクな描写が強い。
でもだからこそ惹かれるものがあるというか。
『ソウ』だってゲームに参加されられる側より仕掛ける側の方の視点で観と興奮するじゃない?
そういう面でもしかしたら、意識下に眠っていた危険な一面を呼び覚ましてウズウズしだす人種もいるかもしれないと思って。

シリーズの構成だったり、まさかあの人がこんなところで出てくるなんて! みたいな展開もあって、ストーリーとしてもすごく面白かった。
主要な人物もほとんど死んでしまうし、誰が生き残るのかというところも楽しい。
時間差のトリックにやられたりして、人気が出るのもわかる。
ゲームの内容なんてとんでもないものばかりなんだけど、でもそれが意外とくすぐられてしまった。
残酷すぎるけど、だからこそそれがいいと思ってしまったから、私にもジグゾウの気質があるかもしれないわ。

Saw / 2004

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?