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ゼロから覚醒 読解力完成現代文と開発講座の違い+対象者

柳生先生が長文対策の参考書として、読解力完成現代文(以下「Final」)が出版されました。柳生先生が開発講座にかわるものとして作られた参考書ということで、どちらに取り組むか迷っている方も多いと思います。その方々ために二つの参考書の違いやどういう人が開発講座もしくはFinalに向いているかも話していきますので、選ぶ際の参考にしてくだされば幸いです。

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細かい違いについて

共通部分での細かい違いからいくつか話していきます。どちらもマクロ的な読解方法、要約、読む際の頭の動かし方について学べる参考書になっています。一つ目のマクロの視点に関してどちらの参考書でも説明されているのですが、意味段落の分け方の説明や段落同士の関係性についてFinalの方は扱いが薄かったのでもう少し説明がほしいなと感じました。覚醒マップの所で何の説明もなく意味段落が分けられているので、疑問に思う方は多いのではないでしょうか。開発講座に関してはしっかりと説明されています。二つ目の要約に関しては柳生先生の方が細かくルール立てられており、非常に真似しやすい物になっています。ですから、要約ができるようになりたいのに、開発講座などの要約系の参考書をやっても上手くできるようにならなかったという方は一度やってみるといいと思います(要約はダウンロード特典です)。最後に、読む際の頭の動かし方に関しては開発講座の方がfinalよりくわしく書かれています。Finalの方は開発講座で書かれている頭の動かし方の説明を"あえて"少し薄くし、解説の本文の下部分にビジュアル的に整理してある形になっています。ここで注意しておいてほしいのですが、この頭の動かし方については開発講座の方が詳しいから、開発講座の方がいいとは単純に優劣がつけられない思います。実際問題として開発講座の解説を読みきれていない方はかなりいらっしゃるからです。そのため、そういう方に関しては開発講座の詳しい解説がかえって毒になってしまう可能性があります。そういった方には文だけで書かれてある開発講座より、ビジュアル的に整理されて書かれいるFinal方がわかりやすく吸収しやすく使いこなしやすいのではないでしょうか。

開発講座=読解力完成現代文ではない?

ここまで開発講座とFinalを比べて話してきたのですが正確には開発講座=Final+フレームで読み解く現代文(以下「Next」)だと考えています。

理由としては開発講座はマクロ的な視点に加え文同士の関係についても詳しく書かれておりFinalとNext両方の働きを兼ねているからです。もし開発講座=Final+Nextと捉えるならば、文同士の関係についてのくわしさはNextに軍配があがります。しかし、この点もなのですが先程の読む際の頭の動かし方で開発講座の方が詳しくても単純に優劣がつけられないと話したのと同じでNextの方が詳しいからといっていって単純にNextの方がいいとはならないと思います。あまりにもガチガチに理論だっていると拒否反応を示してしまうので、程よくゆるい方がいいという方もいるからです。おそらく、英語で富田先生の100の原則とかが苦手なタイプはフレームで読み解く現代文よりも開発講座の方が合うと思います。デカルトの困難は分割せよではありませんが、開発講座の本文解説を読みきれない(読み切れても殆ど吸収できていない)受験生が多い事を考慮して、マクロ的な視点はFinalにミクロ的な視点はNextにというように分けて出版されたのだと思います。したがってFinalをやっていて文同士の関係についてもう少し説明が欲しいなと感じる方がいらっしゃれば、Nextをやってもらうといいと思います。

読解力完成現代文の長所、短所

読解力完成現代文が確実に勝っている点は見てもらえれば明らかなのですが、小説、随筆、複数テクストが扱われていており、尚且つ文学的文章の要約についても扱われている点です。これら点は開発講座では扱われていないので、読解力完成現代文が完全に勝っている点だと思います。そもそも小説、随筆、複数テクストについて扱っている参考書は少なくかなり貴重だと思います。それに対して劣っている点は意味段落の分け方について説明がないことです。意味段落の把握は全体の趣旨を踏まえて系の問題で非常に大事です。そしてこの意味段落の把握には段落間の関係の把握が不可欠なのですが、読解力完成現代文の方は段落間の関係について説明が薄いです。それらの事からも、どうしてもこの部分では開発講座に軍配に上がってしまいます。できれば今話した点について説明してほしかったのですが、解説が厚くなりすぎてしまい読み切れない受験生が出てくると考えて、あえて書かなかったかもしれません。もし情報量的な部分も考慮するならば、読む際の頭の動かし方についても開発講座の方がくわしいです。しかし前述したように詳しいからといって、受験生によっては詳しい=いい物とはならないので単純にこの部分は短所とは言えないと思います。

どちらの参考書を使えばいいか

池上の短文から始めるとNextでも言える事なのですが、Finalは開発講座と"単体"で比べてしまうと正直"内容的"に劣る部分が出てくると思います。しかしNextと一緒にで使うことでFinalは真価を発揮します。Nextを見た時に池上先生のものと比べて様々な内容を詰めてしまったせいで、一つ一つの説明薄くなってしまい、実際にその技術を身につけるには演習不足だなと感じていました。しかし、今作のFinalを行う時に、覚醒チェックとしてNextの内容が出てくるので、Nextで感じていた説明不足と演習不足はカバーでき、参考書同士の繋がりも見えやすくなるのでデメリットは完全になくなります。このようにそれぞれを単体で比べてしまうと劣っている部分が出てきますが、セットで使うことでデメリットは殆どなくなり、美味しくいただけるようになるので、Nextをやった方は是非そのままFinalに進む事をオススメします。逆に池上の短文からはじめる→FinalやNext→開発講座は、ゼロから覚醒シリーズの良さがかなり減ってしまうのであまりオススメはできません(どれもいい参考書なので相対的にオススメできないという意味です)。共通テストでしか現代文を使わず小説、随筆、複数テクスト対策がしたいという方や、あまり勉強が得意ではなく各参考書の技術が別個になりがちな人も前述した事を理由に開発講座よりFinalをやって頂いた方がいいと思います。一方私大受験生で、現代文に小説、随筆が出てこない方や、文章を読む事を苦に感じず長い解説を読み切れるという方は開発講座の方がいいと思います。加えて2次試験で趣旨を踏まえて答えなさい系の問題が出る方も意味段落の把握が重要ですので、意味段落の把握についてしっかり説明されている開発講座の方がいいと思います。
目安として判断基準を挙げてきましたが、正直にいって趣旨を踏まえて答えなさい系の問題が出ない所以外は読解力完成現代文で全く問題ありませんので、自分の好みや状況に合わせて好きな方を選んでください。

想定される質問

主張部分にマーカーが引っ張ってあるけど、どうやって主張と判断するのかの説明がなくてわかりませんという質問が来そうなので答えておきます。そう思われ方はゼロからシリーズを途中からやったり、復習に手を回せていない方ではないでしょうか?どうしてここが主張であるかを判断する方法は、シリーズ一番初めの参考書ゼロから覚醒始めよう現代文の第1部に書かれています。※数カ所第2部の内容のものがあります。

出版されてからかなり時間がたち、内容を忘れてしまっている方も多いのでないでしょうか?この本の第一部を復習してもらえれば、どうしてここが筆者の主張とわかるのかという疑問は解決すると思います。必要性を感じで復習してもらえば吸収率は前と比較にならないくらいいいと思いますので、焦らず今から復習して貰えば問題ないです。こう思うとゼロから覚醒シリーズはNextの技術を定着させようと思ったらFinalが最適であったり、Finalに正しく取り組めば前作の2冊の復習と演習ができるといったように、シリーズでやって初めて各々が相互に作用し合い真価を発揮する参考書だとつくづく思います。教科は違いますが数学のtypeと最高の演習の関係にかなり近い気がします。今話したどうしてそこが主張になるのかの判断方法は再掲されている本文に覚醒チェックという形で明示してあってもよかったような気がします。

受験生の参考に少しでもなれば幸いです。


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