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[詩集]まなつび

眠り


夜に、心の鏡の前で、前面から向かってみると
昼には沸かない、嗚呼、嗚呼、嗚呼と
溜め息みたいな何か

そこで、言いかけたり、言いかけなかったり、
それでも夜を楽しいと思える僕がいるらしい

でもそれは例えば、夕日が幕を下ろす頃や、
気怠い普通の朝にもあったりするのです。

そのひとときだけの感覚が、
そのひとときだけで終わることで、
何度も今だけの気持ちだと思うだけなのです。


泡になって浅く積もった 
ふとしたら猛烈に駆けた眠り、
月の満ち欠け 朝 延々に混ざりあって、

泡になって浅く積もった 
ふとしたら猛烈に駆けた眠り、
月の満ち欠け 朝 延々に混ざりあって、


1ヶ月ぶりになります。詩集 第7弾です!

以前の2作は"春"をテーマにまとめてみたため、
今回は"夏"をコンセプトにして、
夏へと向かっていく様な
そんな詩集になっています。

気に入っていただければうれしいです^ ^


夜の魚


あなたのこと、街のなかで、ひと際きらめいてみえる。
辺りはマリンブルーの造形で
そこに入り込む魚になったの。

月夜のしずく、それを餌にして、なにもかも枯れ果てるまで
どこまでも延々と、
泳ぎだす真似、夜の魚だよ


現実的な夢想と、夢想的な現実の間を
漕ぎだした自分たち
夜景の向うを目指して

めくるめくオールを漕いで、
無口な渦を抜けたその先に
何が待ち受けているのだろう。


もうすぐ朝と隣り合わせ
月夜は微細に水面を照らす。

もうすこし旅を続けたい
あなたは言う、26時頃

帆をひろげて、風に沸いた
若々しさを言葉にしてみたい

夜の向うも僕は変わらず
あなたもきっと変わらないのだろう。


あなたは春雷


熱気溢れる夜の心象
哀愁を噛む季節
背伸びして大人になった真似ごとをしてたい

それも春がどうにも光りに光って
笑った顔の風を吹かすから


熱気溢れる夜のホール
思わせながら踊る人達が右往左往
背伸びして缶コーヒー飲んでいる自分が居た

それも外のサクラがどうにも
帰り際に寂しく見えてくるからです。


聴きたかったな、聴こえてくる
聴こえてくる様で聴こえてこない
あなたは春雷、そして属さない孤高の遠雷


聴きたかったな、聴こえてくる
聴こえてくる様で聴こえてほしかっただけ
僕は風来、どこからともなく風舞う蒙昧もうまい




山並みが欠伸した猫の背みたいに うねるから
この際、何でもないこと 諦めてしまおうか

人波にとけこむ 肯定的な
そういう気楽が 膨らんでいけば

なんて思ったのです 後を濁さぬ鳥みたいな
その誠実さを 見習いたくては

ガラ空きになった その隣に
代わるものは よく分からなくて


戻ってくる 返ってくる 
その距離感から外れてしまえば
季節だって、風景だって、
造花みたいだって

戻ってくる 返ってくる
その距離感から外れてしまえば
自分だって、他人だって、
あの頃の画質の侭


主観のない波際を漂ってしまうだけだって
意味もなく春の花をふと買ったの

右往左往に酔いそうな街で
花弁揺らして 眠ってしまうの



月とユリーカ


やるせない星になれたら、そこから何を言うのだろう。
宇宙漂う雲たちに「月の欠片がほしい」と言うのかな。
月の方角を見ると地球の空気感じるよ。

話してみたいどうしても、夜に秘めた僕の言葉
光の瞬く流星か、26時の雨になって、
家の方角を見ながら夜の風をあびている。


思い出の水分を
夜な夜な月が吸い込むから
月のひと欠片ごとに
なつかしい気持ちになってしまうのだろう。

ひとり言も、夢の話も、
夜な夜な月が吸い込むから
月のひと欠片ごとに
なつかしい気持ちになってしまうのだろう。


やるせない星になれたら、なんて言ってみた物の
そこまで今が充実していないわけじゃないのに

思い出だけじゃなく僕でさえも
月に吸い込まれそうになるから

話してみたいどうしても、夜に秘めた僕の言葉
光の瞬く流星か、26時の雨になって、



月の睫毛


金箔纏い、芳醇な海を掻き分けた今日を
嘘ということにして
明日が零れるのを待とう

陸地のない想像が回る水面に戻って、
微々な文を餌にして、
続きがかかるのを待とう


そうすれば気が付けば、眠りのなかなので
漠然とした夢で途端、空を見上げて

月から睫毛みたいな垂れ幕が下りたとき、
夢のなかでさえずりの聞こえる扉を
コンコンとノックするのです。



塔と夢散


真珠色の砂漠、一つだけの寂れた塔
微粒と化した夢が右往左往、散らばっていく日

揺れる丸い水槽から微かに見えるキャラバン
浪漫の溢れた夢も右往左往、散らばっていく日


浅い眠りもいつの日か、
なつかしく思える時が来るのだろう。
二進法のオーロラの明るい方へ  


朝の方角に向かう夜
春雷の河を下る
星に手を振って、雲が照らし出す方へ、


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