#16. 3C分析における8W3H
『初めてマーケティングを学ぶキミに伝える マーケティングフレームワーク活用講座』もいよいよ知識習得段階が終了し、実際にフレームワークを使って、調査/分析→評価→戦略→実行案に移る段階です。
本の知識だけで実行しようと思うと、たいてい上手く行かないと思います。
理由はいくつかあると思うのですが、
・教科書的知識トランスファーに終始している
・大手有名企業の例しか書かれていない
・大金注ぎ込んで実施する方法をベースに書かれている
・B2Cしか意識していない
・B2Bマーケティングと書かれているが、結局経験論しか語られていない
こんな感じかと。ボクが若い時に、期待して購入した本を読んでは、期待はずれであった本に対する感想です。
ひとことでいうと、読んだ書籍をそのまま真似しようと思っても再現性がないのです。フレームワークなので再現できるはずなんですけどね。。。
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本noteは、ポートフォリオワーカー*になった、外資系IT企業マーケティングマネジャーによる、『初めてマーケティングを学ぶキミに伝える マーケティングフレームワーク活用講座』の連載企画です。
*「ポートフォリオワーカーって何?」は、こちらを参照下さい。自己紹介とともに説明しています。
前回はこちら、最初から読まれる場合はこちらからどうぞ。
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3Cを教科書どおりにやると。。。
3Cの教科書定義です。
3C とは、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の観点から市場環境を分析し、経営戦略上の課題を導く分析ツールSource:Wikipedia
Customer:顧客
市場規模、成長性、顧客ニーズ、消費行動・購買行動、PEST(政治、経済、社会、技術)
Competitor:競合
競合のシェア、特徴、強みと弱み(営業人数、生産能力)
Company:自社
理念やビジョン、現有リソース、資本力
でしたね。
では、この切り口で、どうやって3Cを実施すればいいでしょうか?
PESTが無難そうですね。では、PESTから行きましょうか?
ですが、
Customer分析でPESTを仰々しく語り始めた分析データがあったら、ボクは神経疑います。初心者に多いアプローチです。
「コロナ禍の現在、先行き不安から消費者心理は安全志向へとシフトし、より財布の紐は固くなると予想される。そのため、より低価格な製品が好まれる傾向にある」
なんて、Customer分析のPESTのEconomy(経済)からスタートされたら、すぐにちゃちゃを入れたくなります。
「そうなのかな~? それってどこの分析? XX総研のデータかもしれないけど、逆の分析もあるんじゃない? 抑圧された消費者心理から、嗜好品の消費は伸びるんじゃない? YY総研のデータで読んだ記憶があるよ」
と、いった具合です。経済アナリストでもない素人がPESTを語るのは愚かです。
IT業界に勤務するボクにとって、PESTのSocietyとTechnologyとして、「これからはサブスクとクラウドは意識しないといけない」と言われたところで、
「それって分析って言わないし、もう常識だし、もう暗黙の前提だよね」ぐらいの薄いリアクションをしてしまいます。
これが5年前、せめて3年前であれば、「そうだよね。真剣にサブスク考えないとダメだよね」と思ったはずです。しかし、今、分析に入れる内容ではありません。
PESTのコメント、調査を行うなら、分析実施を行う現在において、3C分析を実施する上でどうしても外してはならないポイントを入れるだけでいいと思います。それも、とても身近で、影響があるものだけでいいと思います。
例えば、不動産賃貸業であれば、「XX線とYY線の相互乗り入れの開始予定がある」とかです。
終点駅が変更になる可能性もあるし、XX線のターミナル駅勤務者の住居としての貸し出し目論見が変わる可能性もあります。入居者ターゲットの行動がかわかるもしれません。
賃貸業にとっては対策を検討する必要があるかもしれません。
「今まではターミナル駅での賃貸募集をメインに行なっていたが、終点駅になるZZ駅で行う」とかです。
PESTをやるなら、一連のマーケティングフレームワーク・フローで検討項目として、STPや4Pに影響を与える可能性があるポイントを意識しなければなりません。
ただこのような内容がPESTかは不明ですが。。。
#15で説明した「仮説(思考)」にもつながります。
すべてのフレームワークは、フローとして、論理的であり、首尾一貫性が求められるのも、このためです。
#9でPESTは「広すぎるし、逆に狭すぎる」と言ったのは、こういった理由からです。
3Cのスタンス
✔この製品/サービスを売るとしたら?
をブレークダウンして考える
✔仮説→検証→仮説→検証・・・の繰り返し
✔3C以降のステップ(SWOT, STP,4P)のための
調査フェーズではあるが、それを意識する
✔この製品/サービスを売るとしたら? をブレークダウンして考える
3C分析を行う目的は、製品やサービスを販売するためだと思います。
・外資系IT企業であれば、海外本社で開発された製品やサービス
・転職であれば、商品としての自分
・不動産賃貸業であれば、買付をいれようとしている土地(あるいは物件)
・意中の人を得たい場合であれば、やはり商品としての自分
等々です。
該当しないのは、これから商品開発するとかの場合でしょうか。
とはいえ、その場合でも、自社(自分)の独自アセットやコアコンピタンスを持って、開発を行おうとしているわけで、漠然とした”売り物”はあるはずです。
つまり、ほとんどのケースにおいて、”売り物”は決まっており、そこが起点となります。その”売り物”を売るとしたら?が、3Cのスタンスです。
売るとしたら、誰が買ってくれる?
売るとしたら、誰が競合となる?
売るとしたら、なぜ買ってくれる?
売るとしたら、何を買ってくれる?
売るとしたら、いつ売れる?
売るとしたら、どこで買ってくれる?
売るとしたら、どうやって買ってくれる?
売るとしたら、いくらで買ってくれる?
売るとしたら、どのくらい買ってくれる?
はい、見てすぐピントきたと思いますが、5W3Hですね。
Competitor(競合)のwith Whomが入っているので、6W3Hになってますw
さらに、日本語が変ですが、7W1Hをベースに、
売るとしたら、なぜ買ってくれない?(Why Not)
売るとしたら、もしXXしたら?(What If?)
を加えてもいいです。
8W3Hです。そう、ボクお得のカスタマイズです。
売るという行為をできる限りブレークダウンして考えます。
この際にも、やはりフレームワークは有効です。
フレームワークはそのフレームワーク(問い)以上にアイデアが拡がらないという意見もあります。
ですが、それに対して、ボクは「カスタマイズ」で拡げます。
アイデアがなかなか出ない人間に対して、フレームワークで、クローズドクエッションで答えを出させ、それに派生する問いをオープンクエッションで考えさせる(カスタマイズさせる)。
このアプローチが有効であると思います。
✔仮説→検証→仮説→検証・・・の繰り返し
これは、#15、番外編で、仮説→検証→仮説→検証の重要性は書いたので、是非そちらをお読み下さい。
仮説がないと、無駄なアプローチも多くなり、答え合わせができないので、分析のための分析になりかねません。
3C分析においても、”売り物をXXにより売るとしたら”という仮説をもって臨む必要があります。
✔3C以降のステップ(SWOT, STP,4P)のための調査フェーズではあるが、それを意識する
何度でも出します。
3Cは3Cだけのためのフレームワークではありません。一連のフレームワーク・フローの調査・分析を行うためのフレームワークです。
この一連のフローを意識して実行しなければなりません。
このフローをつなぐのが、「仮説(思考)」です。
雑感
実は、このnoteのベースとなる3C分析のPowerPointは9ページあります。今日の内容は、その0.5ページです。。。
いったい、いつかき終わるのでしょう・・・
とはいえ、アラフィフの現在、自分がやってきたこと、得た知識を、丁寧にアウトプットすることは、残り50年を生きる上で有益と思うので気長に続けていこうと思います。
夏までには終わり、一冊のKindle書籍として出せることでしょう!
そういえば、当初は不動産投資マーケティングとして、不動産投資のおける実際のマーケティング手法を書くための、前段のマーケティングの基礎を書こうと思って書き出したのを思い出しました。
不動産投資のおける実際のマーケティング手法は、おそらく10-20日で書けると思うので、書き終わるのは秋ですかねw
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