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大家のとある一日、築古4Pの話

ポートフォリオワーカーであるボクの2つ目のお仕事、大家の一日について書いてみたいと思います。賃貸に住んでいる方は、大家ってこんなことしているんだ~を知っていただけると思います。

やっと空室に申し込みが入った!

23区JR駅徒歩9分にある築30年超のアパート。いつもは、前入居者が退去した後、クリーニング、原状回復、ステージングをし、内見可能にすると、だいたい1-2週間で入居が決まってました。

ところが、コロナ禍のせいで、2ヶ月経っても決まりません。焦ってきた所、やっと入居が決まったとの報告が管理会社から来ました。ほっとしました。

今日はこのステージング撤去にこれから行ってきます。

ちなみに、ステージングとは、入居後の生活イメージを持っていただくために、部屋のインテリアをすること、モデルルーム風にすることです。写真のように、ちょっとオシャレに家具とともに飾り付けをします。

このアパートは、11m2と狭いのですが、ロフトも付いており、家は”寝るだけ”という方には、お安く借りれていいのではないかと思ってます。

不人気な三点ユニットバスも、ラージミラーとダークウッドのアクセントシートでホテルライクな雰囲気にしています。部材費用は5000円ぐらいなのですが、業者に頼むと5万円ぐらいします。なので、サラリーマン大家のボクは、がんばってDIYです。3-4時間でここまでに仕上げます。

ミラーの中にミラーが写っていますが、ユニットバスの扉を開けた前には全身鏡を付けています。

狭いですが、狭いながらも、入居者の方に快適な空間を過ごしていただければと思っています。

ちょっとマーケティングぽい視点

この物件は、築30年超と古いのですが、先程書いたように、いつもなら内見可能になってから、1-2週間でお申し込みを頂けてます。その理由はいくつかあると思うのですが、意図している差別化ポイントが功を奏しているのではないかと思ってます。

そんな大家のマーケティング戦略を公開したいと思います。

「この駅で、駅徒歩10分以内、家賃安い部屋はないかな?*1」

まずは、ここがスタートです。
SuumoやHomesで、”駅”を選択し、”駅徒歩10分以内”を“安い順”に検索すると思います。この検索で引っかかってからが勝負です。当然安い順に部屋が表示されます。その上位10位ぐらいまで、1ページ目にヒットするように家賃を設定します。

ちなみに、”部屋の広さ””築年数”の検索では、当然、ボクのアパートはヒットしません。この条件を重要と考える人はターゲットではありません。

「おっ、綺麗な部屋ある、見てみよ!
 げっ、マジ、11m2、狭いんですけど。。。」

普通の反応ですw
11m2といったら、チョー狭いと感じますよね。事実なので仕方がありません。ボクの物件をスルーして、検索を続けて下さい。

すると、どうでしょう、
しばらくすると、ボクのアパートに戻ってきます。

築30年超かもしれませんが、いいことに、
駅徒歩10分以内で、ここまでキレイで、お安いアパートはこの駅にはないのです。

もっと広いアパートはたくさんあります。でも、賃料高いんです。
もっと安いアパートもちょっとはあります。でも、見るからに昭和なんです。

そこで、この人は自分を説得にかかります。

<<入居候補者の脳内ディスカッション>>
狭いけど、ロフトがあるから、なんとか生活できるかな*2
古いけど、まー汚くないし、いい方だよね*3
三点ユニットバスだけど、貧乏くさくないから、いいかな*4

おそらく、こんなやりとりが、この入居候補者の脳内で行われます。そして、仲介会社に連絡し、内見。晴れてご契約です!

大家の仕掛け

実は、ボクは購入時に、このように思ってもらえると想定して、このアパートを購入しました。なので当然ですがスペックにもこだわりました。

スペック(ハード)
✔徒歩10分以内
 →徒歩10分以上を排除できます
✔ロフト付
 →この駅には、ロフト付アパートはほとんどありません

これらは、購入後には変えられない4PのProductのハード部分です。ロフトは家具なので後付もできますが、設置しようと思うと、1室30万程度するので現実的には後付はないと考えられます。

Competitorがこのスペックを持っていなければ、SWOTの絶対的Strength(強み)になりえます。*1と*2を実現する要素です。

見せ方(ソフト)
検索で戻ってきてくれた、入居候補者に脳内ディスカッションをさせるための仕掛けが必要です。この脳内ディスカッションの内容(*2-4)は、このアパートの4P ProductのWeakness(弱さ)を打ち消してくれていることに気づかれたでしょうか? 

Productの弱さをPromotionでカバーしています。
そのように仕掛けています。

狭いけど、ロフトがあるから、なんとか生活できるかな*2
ロフトがあるだけでは、実は弱いんです。ロフトにより余分なスペースがあることは認識してもらえますが、ロフトは如何せん動線がよろしくありません。そのためには、「11m2でも生活できそう」と思ってもらう必要があります。

そのために、ステージングを行います。
ステージングではテーブルを置きます。部屋には普通、テーブルはあるので当然といえば当然です。

実は、ボクのアパートでは、このテーブルが重要なアイテムとなります。
テーブルに座ってもらいます。

すると、目線が下がり、下から上へ部屋を眺めることになります。部屋を広く感じてもらえるのです!

部屋の広さは依然11m2のままです。でも、明らかに「広さ」を感じてもらえるのです。

テーブルがない状態で、「ちょっと座ってみて下さい」と入居候補者に依頼するのはちょっと不自然です。テーブルがあると、スムーズに「ちょっと座ってみて下さい」と提案できます。

生活をイメージしようと思う入居候補者はちゃんと座ってくれます。ロフトベッド付のこの部屋は、通常より天井高があり、広く感じてくれるのです。

古いけど、まー汚くないし、いい方だよね*3
普通にキレイにしますw

地主系の大家の方だと、入居者が決まってからクリーニングをすることもあるそうです。機会損失になることに、ずっと気づかずにいてくれることを祈ります!

あとはステージングです。
ステージングにより、部屋の色味が良くなります。

単調なイメージになりがちなホワイトクロス(白い壁紙)に、アートパネルを置くことで、メリハリがでます。明るいブルーなので、部屋も清潔に感じてもらえるはずです。

フェイクグリーンを多く置くことで、色味もよくなります。また、同時に、安心感や落ち着きなど、プラスのイメージを感じてもらえます。

グリーンを見て、悪いイメージを持つ人は、まず、いないと思います。たくさん置いて、いいイメージを持ってもらいましょう!

三点ユニットバスだけど、貧乏くさくないから、いいかな*4
これはハード面の改善に近いかもしれませんね。とはいえ、費用が5000円+3-4時間の労働なので、Promotion扱いさせてもらいます。

ホテルライク化により、三点ユニットバスの弱さを、少しはカバーできると思います。

競合である同家賃帯のどのアパートもネガティブに思われがちな三点ユニットのままです。複数の部屋を内見した人は、当然、ボクのアパートのこの三点ユニットの方がいいと思うはずです。

実際、数名の友人大家の部屋でこの「三点ユニットバスのホテルライク」のやり方を教えてあげました。すると、全然埋まらなかった部屋にすぐに申し込みが入ったそうです。効果はあるのではないでしょうか。

ステージング撤収

そんなこだわりのステージングですが、入居が決まると撤去しないといけません。今日はこれから撤去作業に行ってきます。

入居、退去が繰り返されるのが大家業。
それを見越して、コンパクトなステージングセットにしてます。

テーブルとラグは仕方ないにしても、その他のステージング備品は、紙袋と小さなダンボールに収まります。タイトルサムネイル画像に使用したクッションもこのダンボールに収まります!

これから行ってきます!

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