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老人ホームで死ぬほどモテたい

「おとなりさんへ、はいどーぞ」

その掛け声は妙に覚えている。
幼稚園の頃、輪になって本を隣のお友達へ渡して行く時の決めゼリフ。
「いただきます」とかそんな感じの。

それがやけに懐かしくて、友達と本を交換することにした。
たまたま2人とも最近買って読み終わったらしい短歌の本。分類が同じなら読みやすいし、比較できて面白いかもと個人的な好奇心。

ということで、今回交換して読んだ本は↓↓↓

「老人ホームで死ぬほどモテたい」

また名前勝ちの本きたよ。
作者の表現は、斜め後ろぐらいから突き刺さってくるような新しい衝撃的な本だった。

まず短歌で物語が進んでいく、前後に繋がりがある短歌たちがすごくおもしろかった。

比喩?とはまた違う。その言葉にたどり着くまでの事実、をまんま書いたというか、、、
要素、辞書で言う意味の部分を細分化した表現に近い。
皮肉めいているとも感じるが、ド直球とも感じる。

頭がぐるぐるする。

固有名詞、その時の流行がふつーに描かれているのも好きだった。曖昧ではなくどーんとそのワードが出ているのは珍しくて、遠回りしない言葉はすごく誰かの脳内を刺激するのではないか。

圧倒的に取り合わせが奇抜で刺激的な本だった。ふたつの事実は、どこかで結びついているのだが、こんなふうに作者の中では繋がるのかと。すごく独自性だった。自分の脳内では確実に繋がらないことが多かった。

ハロハロの冷たさ夜の陽の長さ君のしょっぱさすべが七月

本の中より

なんだろう。好きなんだよねこれ。つかまれた気がして、もう1回読んだら分からなくなって、つかみきれていないことに気づいて。ド直球だけどそうじゃない気がして。俳句より多い文字数が短歌の情報量の多さで、七月が全てであぁ、八月でもないって確実ななにかがあって、。

「おとなりさんへはいどーぞ」
また誰かとしたいと思う。




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