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Love Song for a villain

頭の中には様々な物語が浮かんでは消える。

その物語を描き出そうとする時、真っ白な紙に暗い色を乗せていく。

現実から物事を取り出して物語を作るには明暗が必要だ。

白い紙である必要はない。

黒い紙に明るい色を乗せていく方法もある。

明暗がある事で物事は浮かびあがる。

明るいことは良いことで、暗いということは悪いことでは決してない。

そんなお話。

ヴィランズ(悪役)

勧善懲悪や正義の味方が活躍する物語の中で、明るく魅力的な主人公を引き立てるためにはその主人公に見合った影の部分である悪役の登場が不可欠だ。より奥行のある物語のためには、正義のヒーローと同じくらいには、魅力的な悪役がかかせない。

小学生の頃、友人に好きなディズニーのキャラクターは何かを尋ねられてスカー(ライオンキング)と答えてドン引きされていた事と比べると、現代では悪役の魅力を大っぴらに皆で楽しめるようになって良かったなあとつくづく思う。
ダークヒーローやヴィランズという言葉を聞くことが増えてきたが、影にも魅力があり、悪役主人公としての魅力的な物語が沢山ある。
影の存在にも魅力的な物語や愛がある。

私の中で悪役主人公がでてくる魅力的な最高の物語といえば、フランシス・フォード・コッポラ監督の描く「ドラキュラ」だろう。ブラムストーカー原作のドラキュラを映像化した物語である。

ブラムストーカーの原作を読んだのは今から20年位前の事なので薄ぼんやりとした記憶になっているが、登場人物たちの日記を読むことで、吸血鬼という恐ろしい闇の獣浮かび上がらせてくる傑作だ。

この物語を最初に見た時は、中学生の頃だった。エンディングロールに一度だけ流れる名前も知らない曲が忘れられず、10年後にDVDを買った。
その10年後の今再度、そのDVDを久しぶりに再生しその楽曲がアニー・レノックスの音楽だということを知る。
その歌詞の一部を翻訳してみた。

Love Song for a vampire

Come into these arm again
And lay your body down...

Once I had the rarest rose That ever deigned to bloom
花開いてくれた 私の大切な薔薇
Cruel winter chilled the bud
だけど、無慈悲にも冬が蕾を凍えさせ
And stole my flower too soon
あまりにも早く 私から薔薇を奪ってしまった

Oh, loneliness, Oh, hopelessness
ああ、孤独、なんという絶望
To search the ends of time
この気持ちを終わらせようと
For these is in all the world
世界中を彷徨ったが
No gather love than mine
この愛に勝るものはなかった

Love-o,...
Love still falls the rain
愛はまだ雨と共に降り注ぐ
Love still fall the night
愛はまだ夜の帳に下りる
Love be mine forever
愛は私の中に永遠に

Let me be the only one To keep you from the cold  
凍える寒さから君を遠ざけさせる唯一の人にさせてよ
Now the floor of heaven is laid With stars of brightest gold
金色に輝く星たちと共に 今 やすらぎの地で

They shine for you, 
星は君の為に瞬いている
They burn for all to see 
星が燃え全てが見える
Come into those arms again
もう一度この腕の中に来て
And set this spirit free
そしてこの魂を解放してくれ

愛のあるヴィランズ

テーマ曲はその映画を代表する物語の核を表現する重要な楽曲だが、
この「ドラキュラ」とういうモンスターを描いた映画のテーマ曲は、
ラブソングなのである。
フランシス・コッポラ監督は、モンスターを主人公としドラキュラ伯爵に深い愛の物語を与えた。

映画「ドラキュラ」の一押しポイント

オススメポイントをまとめよう。
主人公のドラキュラ伯爵は、ゲイリー・オールドマン。悪役の王様と言っても良い。「レオン」「フィフス・エレメント」「ロスト・イン・スペース」などなど。宇宙一の素敵な悪役になる。

立ち向かう正義の味方、キアヌ・リーヴス。
「ビルとテッド」シリーズから大好きな役者さん。

ドラキュラの宿敵、ヴァン・ヘルシング教授はアンソニー・ホフキンズ。
知的で探求心が抜きんでているために変わり者。それは、「羊たちの沈黙」にも共通する。

衣装は石岡瑛子。北京オリンピックの衣装も彼女の作品だ。彼女はどんな壮大な物語も誰よりも豊かにそのイメージを助ける衣装をデザインできた。
私は、ターセム監督「ザ・セル」「落下の王国」の衣装も好きだ。

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