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Veganuary(1月ヴィーガン活動)を通して〜植物性食品は正義か?〜

ドキュメンタリーみたいなタイトルになってしまいました(?)が、1月はイギリス発祥のキャンペーン”Veganuary”にのっとって、食生活において大体ヴィーガンな暮らしをしていました。


Veganuary = Vegan + January の造語で、ざっくり言えば「1月だけヴィーガンになろう(動物性食品をやめよう)」というキャンペーンのこと。


わたしが大体、と書いたのは、もともとわたしの生活ベースが今そんな感じ(肉&魚はナシ、卵は基本買わないし食べない)なのと、そもそもサインアップしていないので、めっちゃ真剣にやったわけではないです。念の為。


それでも、今月は乳製品(時々チーズとサワークリームを食べていた)を控えたり、おやつもスーパーのディスカウントされた賞味期限当日のシナモンロールとかを買って冷凍したり(これはフードロスの観点から実行)していたのですが、それも極力やめました。

直接キャンペーンに参加しなくても、日々の意識のきっかけをもらえるのって、いいよね。


このキャンペーン、イギリスではまあそれなりに盛り上がっているのか、著名人が参加を呼びかけていたり、企業がこぞってヴィーガン向け製品を発表したりと、大きく動いていたようです。

リトアニアの大手オーガニック食品企業のaugaも、SNSでVeganuaryのハッシュタグを使用していたので、おそらく欧州では広く認知されていたんじゃないかしら。


で、今回はこのVeganuaryを通してどうなったかというと、前々から思っていたわたしの葛藤が浮き彫りとなる結果になりました。


それは大きくわけて「栄養面」と「地産地消」についてです。


とはいえ、ネガティブな感じではなく「あ、やっぱりそうだよね~。じゃあもっといい方向に実践できる!」という、むしろかなりポジティブな感情が芽生えました。

なので、ほらやっぱり菜食は難しいじゃないか!とは思わないでほしいです。


今回は「Veganuaryをやってみてどうだったか」に加え、「Veganuary期間中に感じた・気が付いたこと」と「これから」について、ざっくりまとめます。

あくまでも個人の経験・意見ではありますが、ヴィーガンや菜食についてちょっと気になっている方や、すでに菜食生活をしている方に、ぜひ読んでもらえるとうれしいです。


Veganuaryをやってみて

冒頭で述べた通り、現在の暮らしがほとんどベジというかヴィーガンに近いので、今さら「ヴィーガン生活ってどうよ?」とは思っていなかったのです。

が、こちらリトアニアは乳製品が豊富なのもあり、ついつい手を出しがちだったチーズやサワークリーム、そして随分前に「コクのあるものが食べたい」と購入したギー(バターをさらに過熱した、アーユルヴェーダとかでよく見るやつ)の使用だけでも控えてみよう!と思い立ってはじめました。


そこで思うのは、やっぱり菜食はとにかく、身体が軽い。そして全体的に調子がよいです。

実は、Veganuaryということを忘れて2,3度ほど卵&チーズ入りのラビオリを食べてしまいましたが、食べた後に身体がずっしり重くなり、消化器系のどれかがキリキリ痛む感覚がわかりました。

さらに、仕事中の集中力が切れやすくなったり、口内炎ができたりして、ちょっとしか食べていないのに変化の差にびっくり。やっぱり、食べたものは血肉になるもんだし、身体と心は繋がっているのだなあ。しみじみ。


さらにさらに、これは本当に大失態なのですが、1度だけひき肉入りのジャガイモパンケーキを購入してしまいまして。

普段から「おもてなしなどの理由で肉が目の前に出てきたら、命に感謝していただく」のがポリシーのわたしは、この期間中にもかかわらず意を決して食べました(気になりすぎて先延ばしに出来なかった)。

翌日、ここ数年で経験したことのない腹痛に襲われ、見事にダウン。この部屋に引越してきて、初めて日中ベッドに横たわる始末でした。


お肉に関しては、もう数年ほとんど口にしていないのもあり、いよいよ体に合わなくなったのだなと思いましたが、日本では時々口にしていた卵でも変化を感じるほど敏感になったんだな~と、今回改めて思いました。


おそらく、ヴィーガンを始めるのを躊躇している方の中には「料理レパートリー」とか「選択肢の幅が狭まるのでは?」という意見もあるのかもしれません。


この点に関しては、個人的には全くそんなことないと思っています。

お肉や魚に加え、卵や乳製品もNGとなると、お菓子とかおかずとかどうするの?って思われるかもですが、これはか~な~り代替品があります。


詳しくは調べてみてほしいのですが、日本の食材を中心にできるものもめっちゃある(大豆製品&海藻類が豊富な日本は最強!とすら思います)し、満腹感や栄養面もカバーできます。

選択肢の幅についても、あれもこれも使えない~!とネガティブになるというよりは、代わりに出来ることを探すことでむしろ選択肢が増える!とポジティブにとらえるとよいのかも。実際、かなり料理上手になれる予感。

ちなみに、わたしの高校時代(料理部)のあだ名、ダイソンだったんですけど(今考えると相当怖い)、それほど食欲旺盛な人でもヴィーガン生活を楽しくできるくらいなので、あんまり心配しなくて大丈夫。


とはいえ、人によって体質は違うと思いますので、絶対にヴィーガンがおすすめ!ということではないのですが、わたしには合っているみたいです。


気が付いたこと その1:市販の植物性食品だけを摂取しても補えない栄養がある(オーガニックでも)

Veganuaryを通して、というか、今までも思っていたけれど、改めて気が付いたこと。まずは主に栄養面の話。


わたしはプロじゃないのでここでは説明しませんが、気になる方はぜひ「ヴィーガン 栄養」とかで検索してみてね。


さて、今回のVeganuaryをやりながら、Podcastを中心にかなり色々な情報を漁ってみました。

今まではシェアハウスだったりで、自分ひとりだけでヴィーガン食をやる機会って、意外となかった。だからこれを機にしっかり調べてみよう!となったのです。


その結果わかったのは、どんな食生活でも栄養を(多少は)意識するべきだし、もはや現代の食べものからじゃ摂れない栄養素もある、ということでしょうか。


わたしはずっと、できるだけすべての必要な栄養素を食品だけで補えたらいいな~と思ってきたけれど、どうしても食品だけでは難しい栄養素があるってことを、改めて認識しました。

実はヴィーガンだけの話ではなくて、お肉や魚を食べていても当てはまること。なのだけど、ヴィーガン生活では特に意識する必要がある、といったところでしょうか。


ベジ・ヴィーガンの人が意識して接種すべき栄養素がいくつかある中で、今回のわたしにはとりわけビタミンD3とB12が当てはまりました。オメガ3やタンパク質は、ちゃんと考えれば案外大丈夫だったりするので。


まずビタミンD3ですが、北欧諸国のくら~い冬で必需品のため、11月半ばくらいから1日1粒サプリを飲んでいます。

本当は「サプリかあ・・」と躊躇していましたが、前回のノルウェー生活ではTrann(タラの肝臓油)を飲んでいて、そういえばあれがないと結構きつかったな、と思い出して探し始めることに。

ひと口にサプリといっても、ほんとうに色々な種類が売っています。が、今回のは大好きなLichen(地衣類。コケみたいなやつね)からできているというVegan仕様のサプリを選択。おかげで大きな不調なくやっています。


もうひとつのビタミンB12については、人の体内では作れず、かつ現代のやせた土壌では栄養源の生成が難しい栄養素とのこと。

植物・動物ともに土壌経由でビタミンB12を摂る→それを人間が摂取という流れらしいのですが、食生活のスタイルに関わらず、サプリでの摂取をしたほうがいいものなんだとか。そうなんだ・・


日本の田舎で暮らしていたときは、自然栽培の作物が中心の食事で、つまり土壌が超健康だったため、おそらく勝手に土壌内で微生物たちがつくってくれたビタミンB12を摂取できていたんじゃないかと推測しています。

でも、いまはそんな貴重な畑が身近になく、頼りにしているのはスーパーや市場の食品たち。自然からビタミンB12を摂れているとは思えない。


この話を知ったのがかなり最近だったので、今回はサプリを摂取しなかった。し、今までもしてこなかった。

ですが、やっと重い腰を上げて探し始めています。

本当はD3のと同じメーカーがいいけど、オンラインストアでは品切れ中のご様子。そっか。プラじゃなくてガラス瓶ってところもプラスなので、もうちょっと待ってみようと思います。


気が付いたこと その2:ヴィーガン製品の原材料が、必ずしも健康&環境にいいとは限らない?

マクロビオティックの考え方に「身土不二」というのがあります。

これは、かなりざっくりいうと地産地消と旬に相当する考え方で、その地の豊かな自然で育った旬の食材を食べるのが、結局生き物の身体にはいちばんよい、ということ。


今回のVeganuaryでは、特に乳製品の代替品をはじめ、野菜やナッツ・フルーツ類を選ぶときに、いつもよりじっくりラベルを確認したりしてみました。


以前から、日本では特に精製砂糖を避けるようにしたり(理由はぜひ検索してね!)、国産の有機・無農薬製品を中心に購入するようにしていたけれど、今回Veganuaryを通して改めて思ったのは、いわゆるヴィーガンって、意識しないとかなり外国産の食材に頼ってしまうんだな~、ということ。


たとえば、チーズ。

こちらリトアニアでは酪農が盛んなので、チーズがそれなりに多いです。特に、コッテージチーズみたいなのがメイン。


対して、今わたしが食べているヴィーガンチーズの原料は、主にココナッツオイル。


それがどこからきているのか?って話で、どう考えてもヨーロッパ内で生産できない食品をメインに使用している。

ちなみに、ヴィーガンバターとかスイーツとか、ココナッツに頼っているヴィーガン製品は多い。ナッツとかも、種類によっては南のあたたかい国から来ているものも、ある。


それって、環境面から考えると、かなりエネルギーを消費していることになるので、たとえ動物製品を避けるためであっても、ちょっとどうなのかな?と考えさせられることがしばしばありました。

食事の話に限らず、特にファッション分野にもなると、ヴィーガンの代替品には時として「それってプラスチックですよね?」というものがあったり、ウールのような、長く使うことでむしろエネルギー削減・環境保全につながることまで「動物虐待」の一言で選択肢を消してしまう人もいるので、なんか残念だなあと思うことがあります。あ、ヴィーガンの方が全員そうってわけじゃないよ、念のため。


さらに、マクロビの考え方によると、食べ物のでき方・地域によって「陰」「陽」のエネルギーに分かれます。

トロピカルなフルーツやコーヒーなど、暑いところで採れるものは、体を冷やす傾向にあります。

その地に適応した暮らしをしている人なら問題ないってかむしろその方がいいだろうけど、北欧みたいな寒い地では、この季節に身体を冷やしちゃうのは困る。

だから、自分の暮らす地域にできるだけ近い場所で栽培された、旬の食べものを選ぶようにしたいな、と改めて思いました。


もともとわたしは、欧米のヴィーガンレシピを見るたびに「冷たそうなものばっかりやな~」と思っており、だからいわゆる欧米の「ヴィーガン」には手を出してこなかったのですが、実際それっぽい暮らしをしてみて、心なしか身体は冷えやすくなったような気がする。


さらに、ヴィーガン生活だから野菜やフルーツをいっぱい採らなきゃ!と思うのは分かりますが、だからといってこの季節に暖かい国(ここだとスペインとかイタリア製が多い)から届いた野菜やフルーツを選ぶのも、どうなんだろう?って思ったり。

植物にはすべて「旬」の季節があって、わたしたち人間は、旬の植物に含まれる大きなエネルギー・栄養を糧に生きてきたはず。

実際、オーガニックかどうか?も大切ですが、それと同じくらいに国産かつ旬であることも大事だと思います。


わたしは幸運なことに、主に千葉の田舎生活のおかげで旬の恵みをいただく大切さを学んでいたため、Veganuary期間中は特に意識するようにしました。

いま、北欧の寒い冬で採れるものはかなり限られているけれど、輸入野菜はほどほどにして、あたたかく火を入れて調理した根菜を中心にいただくようにしています。おいしい。


そもそもヴィーガンの理念のひとつって、動物を出来るだけ傷つけない、というところがあるはずなので、遠くの国や地域の食べものを選択することで自然やエネルギーの無駄遣いにつながる可能性があるかも?ということも、改めてきちんと考えられるべきなんじゃないかな、と思いました。

もちろん、ヴィーガンじゃない人も、現代の工業的な農業・畜産業の仕組みに目を向けてみてほしいな、とも。

地域の中で小さく回していく、というのも、長い目で見て大切なことなんじゃないかな〜と思ったりね。


これから:菜食は正義になれる!無理のない範囲で、楽しく続けたい

もともと、ノルウェー滞在時からすこ~しずつ肉をやめはじめ、国内外のファームやエコヴィレッジでの暮らしを通してほぼヴィーガン食を実践していたこともあるので、今回のVeganuaryはむしろ楽しく、まったく苦なくできました。

その半面で、これを機に試してみよう~と手を出したものに対して「あれ?これって本当に環境にやさしいっていえるのかな?」とか、結局既製品のお菓子とかを買うことで若干添加物が入っていたりとか(日本ほどではないが)で、改めて”菜食は正義か?”と考えるきっかけにもなりました。いっぱい勉強したしね。


でも、わたしとしては、やり方さえ間違わなければ、菜食は正義になり得ると思うし、自分に合ったやり方で楽しく・健康な暮らしを簡単に実践できるいい選択肢だと思います。本当に。


ときどき「旬が~」とか「素材が~」とか、若干ややこしいことも触れましたが、完全に払拭することは難しいので、たまの楽しみってことでそういうのも取り入れつつ、無理のない範囲で続けることが重要なんじゃないかな、と思っています。

その中で、できるだけ国産(地元に近い場所)で作られた野菜やフルーツ・穀物を選択することが、自分の健康によく、地域の支援に繋がり、ひいては地球にやさしくあれる行動でもある、ということ。


今のところ、わたしは結局ヴィーガンではないのですが、たとえば甘いモノならリトアニア産の蜂蜜やベルギー産(欧州でもわりと近い方)のスペルトシロップを選んだり、ファッションではリネンやウールを選んだりしています。

これをどう思うかは人それぞれだと思いますが、わたしは出来るだけ自分から近い距離の範囲で生産を続ける作り手さんを応援したい気持ちもあるし、自分の健康・地球の健康のためにも、ヴィーガン製品に限らずバランスよく取り入れたいなと思っています。でも、食事の95パーセントくらいは植物ベースで。


そんな感じですが、これからもゆるりと、楽しく(ほぼ)ヴィーガン生活を続けていきたいと思います。

この先、ヴィーガンや菜食、地球にやさしい暮らし方を考える方にとって、何かのお役に立ちますように。



(2021/02/14 追記)

このVeganuary期間でめっちゃ悩んだ思考と、前から耳にしていた「アグロフォレストリー」についての記事を書きました。よかったらご覧ください。


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