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広報という言葉を考える。 「BK PR MTG 2020 Vol.2 ー 伝わる広報が未来を変える」開催報告

2020年11月8日に、「BK PR MTG 2020 Vol.2 -伝わる広報が未来を変える」をオンラインで開催しました。今回は東京都杉並区広報専門監、静岡県知事戦略局広報アドバイザーを務める谷浩明氏をゲストスピーカーに迎え、デザインとコミュニケーションの視点から「伝わる広報」を探りました。

住民に“伝わるコミュニケーション”をデザインしよう ~これからの行政広報に必要なキーワード~ | 谷浩明氏(杉並区広報専門監)

「広報ってなんだろう?」という参加者への問いかけから始まった本講演。広報の役割は多様だが、中でも重要なのは「人が行動する新しいことを始めるきっかけ」になることと話した。

広報におけるコミュニケーションを重視する谷氏は、まず「コミュニケーションとは何か」について語った。役所が住民に情報を発信し、それを受け取った住民が反応し、何らかの行動を起こす。それが繰り返されることで両者の関係が深まっていく。これを実現するために勧めるのは「『共通ワード』を送り手と受け手の間に乗せて、メッセ―ジとして発信する」こと。そのために必要になるのは広聴で、受け手である住民が欲しい情報を聞いておけば、その「共通ワード」を見つけやすくなる。
「ものを作る全体の工程におよび、制作にとどまらず調査や分析、設計も含めた計画そのものから課題解決するまで」こそ、コミュニケーションをデザインすることのキーポイントになると話す。その前には、「情報発信の手順」と「その情報をどこで知ってもらうのか」の2点を確認すること。その際に効いてくるのが広聴で集めた住民(ターゲット)の情報であり、ターゲットの生活スタイルなどを基に、最も効果的な計画をデザインするのだと。

ターゲットへのコミュニケーション方法次第で、成果は大きく変わる。情報を発信する目的をあらためて考え、ターゲットはどんな人たちなのかということを具体的に思い描くことこそ、受け手からのリアクションも期待できる「伝わる広報」になる。谷氏はそうターゲティングの重要性を挙げ、まとめとした。

メディア同士の連携によるリニューアル戦略 | 永井伸英(文化工房広報メディア局チームリーダー)

コロナ禍により「広報すぎなみ」のリニューアル事例(2017年度)を基に話しました。杉並区からの要望に対し、❶オールカラーにしてデザインを一新、❷月2回発行に減らしたうえで特集面を充実、❸情報の視認性・検索性の向上の3点をポイントにした誌面リニューアルで応えただけでなく、広報誌以外の媒体も連携させることを提案。

2019年度からは広報誌の特集連動動画を自社制作し、YouTubeで公開しています。従来のメディア以外にも動画やSNS、WEB広報誌という様々なツールを活用して行政広報の入り口を増やすことは、これまで自治体との接触機会が少なかった層に新たなチャネルを開くことになります。広報誌のリニューアルの際には誌面デザインだけでなく、住民の情報受信環境の多様化に対応した新たなメディア連携も視野に入れた、多角的な“伝わる広報”展開を実例を交えて講演しました。

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トークセッション「伝わる広報が未来を変える」 | 谷氏、永井

杉並区の広報誌連動動画「すぎなみビトMOVIE」から始まったトークセッション。連動動画の良さについて、「広報誌を読む方には「お得感」を感じてほしいので、動画はいいですね。動画じゃないと分からない臨場感は、誌面じゃ難しいですから。杉並区の行政広報を見てもらう層が広がったのではないかと思っています。アーカイブ機能としても使えるので、シティセールス的にも使えると思いますね。」と話す谷氏。

その後は、事前質問をまとめた「広報を行う上での意識や心構えは?」「制作する上での悩み」「読みやすさと伝えたいこと」というテーマのほか、当日はチャットでの質問に、谷氏は丁寧に答えてくださいました。「さまざまな広報戦略」では、「媒体が変わっても受け手のことを考えた情報発信というのが基本だと思いますので、そこは変わりませんね。」と、最後に本セミナーを締め括りました。

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今回は「受け手のことを考えたコミュニケーション」が大きなテーマになり、複合的な広報戦略の必要性の高まりを実感されたことと思います。

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