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2024年8月に観た映画

8月に観た劇場公開映画の記録。 デッドプール&ウルヴァリン R-18の過激なヒーロー、デッドプールがついにマーベルと合流。 独特な面白さはそのままに、20世紀FOXからマーベルに至る様々なメタギャグも連発している。 自分はX-MENシリーズを全く観ていないが、それでも十分に楽しむことができた。一応、知らない人でもなんとなーく把握できるよう親切に作られてはいる。デッドプールはメタ発言が許されるキャラなので、それが逆に良い説明役にもなっている。 「こんな(過激な)ことまでや

    • 2024年6~7月に観た映画

      6月&7月に映画館で観た新作映画の感想。 多少ネタバレ注意。 蛇の道(2024) 監督 黒沢清が1998年に発表した『蛇の道』(以下、オリジナル版と表記)をセルフリメイクした作品。オリジナル版では哀川翔が演じた謎の男にあたる役を今作では柴咲コウが演じ、さらに舞台が日本からフランスへと移ったことでオリジナル版とはまた違った雰囲気を醸し出している。 オリジナル版でも印象に残る、緑が茂る中を二人が寝袋を引きずって運ぶシーンは今回も健在。『蛇の道』のアイコンとも言えるようなシー

      • 2024年4月に観た映画

        2024年の4月に映画館で観た映画。多少ネタバレあり。 『劇場版名探偵コナン 100万ドルの五稜星』は単体の別記事で書きました。 オッペンハイマー まず、紆余曲折あったものの無事に日本での劇場公開が決まって良かった。 クリストファー・ノーランの新作という超大物で、最初にビターズ・エンドの配給ロゴが流れるという不思議な感じ。 あとキリアン・マーフィーがこの役を演じてくれてよかった。 特に初見は、彼の顔と佇まいで今がどの時代のシーンなのかを察する必要があるところもあった気がす

        • バランスを崩してはならない 『悪は存在しない』(ネタバレ)

          悪は存在しない 映画が始まり、画面に映るのは森の木々。 この木々を見上げるようなショットが長く続く。これは時折挿入され、ラストもこのショットでこの物語は幕を閉じる。 そして何より、今作が制作されるきっかけにもなった石橋英子の音楽が印象的に響く。 テンポよくEVIL DOES NOT EXISTのタイトルが表示されるが、ここの文字の出し方、青と赤の使い方はジャン=リュック・ゴダール風。 今作は青と赤が象徴的な色となっている。 おもに青が水挽町の人々(=自然側)で、巧や花の服

        2024年8月に観た映画

          ただそばに居てほしいだけよわかる? 『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』(ネタバレ)

          名探偵コナン 100万ドルの五稜星毎年の恒例行事であり、特にここ数年は日本映画にとって特大コンテンツとなりつつある劇場版名探偵コナン。 コナン映画は毎回オリジナル脚本の物語で、基本的に原作で描かれていること以上は物語を進めない、というのがルールになっているものの、この「基本的に」のラインがだんだん曖昧になってきている気がする。 コナン好きで原作追ってて、劇場版を観ない人なんていないよね?という作り手のファンへの信頼と自信の大きさも分かる。 今年は公式が「怪盗キッドの真実が明

          ただそばに居てほしいだけよわかる? 『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』(ネタバレ)

          2024年3月に観た映画

          3月に映画館で観た映画の記録。 テルマ&ルイーズ 4K 学生の頃だったか、初めて今作を観たときはラストに衝撃を受け「なんでこんな悲しい話作ったんだろ」と思っていたが、これは女性版のアメリカン・ニューシネマがやりたかったんだなと今なら腑に落ちる。 ○○&○○って人名タイトルとか言わずもがなの終わり方とか、凄くニューシネマ。 開始早々、アメリカの広大な大地の映像とともに流れるのはハンス・ジマーが手掛ける西部劇風の音楽。 どこか「男の物語」とされてきたニューシネマ、西部劇を女性

          2024年3月に観た映画

          2024年2月に観た映画

          いつも通り、内容・展開についての記載があるので注意。 ボーはおそれている アリ・アスターはいつも「すべては最初から運命で決まっていた。仕組まれていた。どう抗ってもあがいても無駄だ」ということを描いてきたが、今作でもそれは同様。 そして、母親からの呪縛という部分はミュンヒハウゼン症候群の短編も思い出したり(最悪なトイ・ストーリー3)。 Jewish motherという言葉があるくらいで、あの母親の過保護・過干渉っぷりはユダヤ人あるある? ボーが暮らしているのは、まるで世

          2024年2月に観た映画

          2024年1月に観た映画

          1月に劇場鑑賞した作品。 内容に踏み込んで書いてある部分もあるので、ネタバレ注意。 PERFECT DAYS あらすじだけ読んだ時は、低賃金で働く清掃員を天使のように描いて「貧しいけれど、これはこれで幸せ。これが私の生きる道」っていう映画だとしたらちょっと都合が良すぎるファンタジーじゃありませんかねと思ったものの(どうもTOTOが絡んでるっぽいし)、実際に観てみるとそう単純な物語でもなく。 劇中で滅多に話さない無口な主人公・平山。 彼が、自分が思っていることを口に出さな

          2024年1月に観た映画

          2023年に観た映画&ベスト映画

          まず、2023年の映画ベスト10。 ベスト10と言いつつベストワンは確定で、あとは順不同で好きな作品。 新作・旧作は関係なしで、映画館で観た映画から選んでいます。 2023年のベストワン カード・カウンター 観終わったとき「今年のベストワンはこれで決まりだろうな」と思ってそのまま変わらなかった作品。 傷を負ったひとりの男の深い部分に触れる、とてもポール・シュレイダーらしい作品。 俳優の演技、音楽、撮影すべてが好みだった。 主演のオスカー・アイザックは今もっとも好きな俳優

          2023年に観た映画&ベスト映画

          2023年11月に観た映画

          11月に観た映画の感想。ネタバレ有。 ゴジラ -1.0 山崎貴監督が、ゴジラという巨大なフォーマットを使いながらも自らの集大成的作品に仕上げた力作。 自分は『ALWAYS 三丁目の夕日』とか『永遠の0』とか映画としてそんな好きじゃないけど、決してネタにされていい作家ではないと思うので(ネタにされていい人なんていないが)、この完成度でゴジラ作品を作り上げたことで、また評価が変わってくると思う。 半笑いにされてるのはおもにドラクエのせいだと思うけど…(未見だからなんとも言えな

          2023年11月に観た映画

          2023年10月に観た映画

          ※全体的にネタバレ注意 不安は魂を食いつくす 37年という短い生涯ながら、計40本以上の作品を残したドイツの映画監督ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー。 新作『PERFECT DAYS』の公開が控えるヴィム・ヴェンダースやヴェルナー・ヘルツォークらと並び<ニュー・ジャーマン・シネマ>の代表格と称される彼の作品を映画館で観る機会ができたのは嬉しい。 ロマンチックな話だが、2人の前にはいくつもの壁が立ちはだかる。 近所の目、家族の無理解…ただ、この作品は彼女たちをただ「可哀

          2023年10月に観た映画

          2023年9月に観た映画

          アル中女の肖像 「ウルリケ・オッティンガー ベルリン三部作」特集上映にて鑑賞。 ここまでひたすら登場人物が酒を飲み続ける映画も珍しい。 主人公は歌うことはあっても、ほとんど言葉を発することもない。 酒を飲む。グラスを割る。荷物をぶちまける。鏡を濡らす。 彼女はなぜこんな状態なのか?彼女の行動原理は? 観客はつい考えたくなるものの、特に意味や理由はないのかもしれない。 男同士がひたすら飲み交わし(でもそれがマッチョの方向へはいかない)、「酒はよくないからやめよう」という

          2023年9月に観た映画

          2023年8月に観た映画

          8月に映画館で観た作品の一部。 ネタバレ注意。 バービー 字幕版で鑑賞。 個人的にバービー人形には縁がなく、家にはなぜかCOMME CA DU MODEの15周年記念で作られたリカちゃん(コムサの制服・黒ニットとチェックスカート、小さい男の子(誰?)が入ったやつ)があって、貴重なものだから下手に遊ぶなよというプレッシャーをかけられていたことを思い出した。 バービーが自らの存在意義について問う、ピンクで可愛い!だけではない哲学的な作品。 でも基本的には笑える。 常にKが強

          2023年8月に観た映画

          2023年7月に観た映画

          7月に映画館で観た新作映画。 映画の具体的な内容について記載する部分もあるので、ネタバレ注意。 岸辺露伴 ルーヴルへ行く 原作はだいぶ前に読んでいて、かなりうろ覚え。 どこまでが原作に忠実で、どこまでが映画オリジナルの要素なのかも忘れていたが、やはり本物のルーヴル美術館を映画館の大画面で見ることができたのは嬉しい。 日本映画、劇場版になって張り切って海外ロケしたら残念な感じになる問題が時々ある気がするのだが、今回は映像がちゃんとリッチで観光映画としても楽しい。 美波のよう

          2023年7月に観た映画

          2023年6月に観た映画・演劇

          それなりに内容について触れて書くと思うので、一応ネタバレ注意。 aftersun/アフターサン記憶・思い出をめぐる物語。 多くを語ることのない作品だが、ひとつひとつの描写が心に深く染み込んでいき、人によっては、または鑑賞のタイミングによってはかなり引きずってしまうだろう。 最初に書いておかなければならないのは、淡いフィルム調の画の中で男性と女の子が笑っている優しいポスターのこの作品だが、精神的に不安定になっている時、今自分ちょっと弱ってるなという時の鑑賞は避けた方がいいかも

          2023年6月に観た映画・演劇

          言葉にできないものこそ 『怪物』(ネタバレ)

          『そして父になる』『海街diary』『万引き家族』の是枝裕和が監督を、『東京ラブストーリー』『大豆田とわ子と三人の元夫』『花束みたいな恋をした』の坂元祐二が脚本を、そして今年の3月に他界した坂本龍一が音楽を手掛けたヒューマンドラマ。 本作は三幕構成となっており、それぞれの人物の視点から同じ出来事が描かれる。 ①息子・湊が担任教師から虐待を受けているのではないかと疑問を抱くシングルマザーの麦野早織 ②生徒たちと真摯に向き合おうとするがクラスで起こる問題に巻き込まれていく新任教

          言葉にできないものこそ 『怪物』(ネタバレ)