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佐藤 潤一/farm-next

法人名/農園名:farm-next
農園所在地:栃木県大田原市
就農年数:13年
生産品目:アスパラガス(ウェルカム、ゼンユウガリバー)、ニラ
HP:https://farm-next.jp/

no32

国内最大のアスパラガス農家。若者世代を応援したい!

■プロフィール

 曽祖父から3代目にあたる農家の家に生まれる。子供の頃から祖父のアスパラガス栽培を手伝って育ったが、将来はずっと続けてきた柔道を活かして、警察官か刑務官になるつもりだった。

 作新学院高校を卒業後は、柔道推薦を受けた大東文化大学に入学予定だったが、大学で何をやりたいかを考えた結果、推薦を辞退して18歳で就農を決意。当時、70代の祖父から、ハウス5棟50アールを引き継いで、アスパラガス栽培をスタートした。

 当時は、補助金制度についても知識がなく、ハウス増設や資材費など、自己資金でまかない、就農から7年間は赤字続きだったが、積極的に先輩農家を訪問するなどして、経営や農業技術を独学。

 作業ごとにパートやアルバイトを雇用するやり方を改めて、正社員雇用に注力するとともに、2019年からは農福連携もスタート。大学生の研修を受け入れたり、子供のアグリキャンプを企画するなど、従業員と共に、地域に開かれた新しい農業の形を模索している。

■農業を職業にした理由

 高校卒業後は、柔道推薦で大学進学が決まっていたが、練習風景を見学して、大学で本当に自分がやりたいことが実現できるのかと深く考えるようになった。

 子供の頃から人に指示されるより、自分一人で黙々と作業する方が向いていたこともあって、進学を止めて祖父のあとを継ぎ、ハウス5棟を引き継ぐ。就農から7年間は、病気や雑草との戦いが続いて、黒字化できなかったが、先輩農家を訪ねたり、専門書を読んだりして独学で経営に関する知識を身につける。

 従業員を年間雇用するために、アスパラガスとニラの栽培を進め、経営が黒字化した25歳以降は、収入は全てハウスや資材費など設備投資に注いで、毎年のように規模を拡大。2022年11月現在の生産面積は、アスパラガスが国内最大の3ヘクタール、ニラは1.8ヘクタールに広がった。

 2020年からは土づくりに乳酸菌資材を取り入れたことで、病気の発生が減って、肥料や農薬の使用回数が減った結果、収穫量が1.5倍増、収穫できる期間が年間で10日間増えるなど、生産効率、品質と共に大きく向上した。

■農業の魅力とは

 以前は収穫や選別などそれぞれの作業ごとに、高齢のパート従業員を雇用していましたが、スポット作業の場合、作物への思い入れが育たず、細かな異変にも気づきにくいことから、現在は作業の質を高めるために、20代や30代の若手を正規雇用しています。

 彼らにはできるだけ長く働いてもらいたいし、仕事に対するモチベーションを維持してもらいたいから、一人で2時間かかる作業は二人で取り組み、1時間で終わらせるようにしています。

 忙しくなったら一人あたりの仕事量を増やすのではなく、新たな仲間を迎え入れるのが私の考え。作物を育てて出荷するだけでは飽きますから、変化を取り入れることで、仕事への刺激になるよう、大学生の農業体験や、小学生を招いて雑草取りをしてもらうアグリキャンプを企画したり、サウナとワーケーションを組み合わせた農業など、社会の変化に適応した新しい農業の形を追求するようにしています。

 こういった考えは、稲盛和夫さんの著書や経営哲学などの本から学びました。自分だけが成功するのではなく、まわりの人や社会に貢献できなければ良い経営はできません。そのためにも仲間とはヴィジョンを共有し、ウチで働いた若者が独立・就農しようと思ったら、支援する体制を整えています。

■今後の展望

 祖父から引き継いだ時に50アールだった農地は、この13年間でアスパラガスが3ヘクタールと国内最大に拡大しました。最近力を入れているニラの1.8ヘクタールと合わせると、就農時に比べて生産面積が10倍近くに広がっています。

 今後もまだまだ拡大していきたいのですが、大田原市は昔から農業が盛んな土地ですから、近所に余っている土地は減っています。そこで、今後は他県にも生産拠点を広げていくことも視野に入れています。

 また、私は祖父から引き継いだ農地や施設がありましたが、これから新規就農しようと考えている若者たちは初期費用もかかりますし、農業界に参入するには、さまざまな障壁が待ち受けています。

 そこで、将来的にウチから独立したい従業員がいたら、できるだけ苦労せずに営農できるよう、販路を紹介するなど支援体制を整えたいと思っています。成功する仲間が増えることで、農業界全体が活性化できる仕組みを作ることに貢献したいのです。

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