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八谷 耕平/TROPICAL FIELD モリ之ナカ

法人名/農園名:TROPICAL FIELD モリ之ナカ
農園所在地:沖縄県名護市
就農年数:4年
生産品目:マンゴー(アーウィン、キーツ、キンコウ、ギョクブン)と、廃棄寸前のマンゴーを使ったピューレ
HP:https://goldenmango-farm.com/

no.18

スマート化が難しいマンゴーだから、大規模農家にはできない挑戦を

■プロフィール

 大学を卒業後、海外留学や食品メーカー、塗料メーカーの勤務を経て、現在は国際的な農薬メーカーで関西〜九州・沖縄地方を担当。

 国内のマンゴー生産量のシェア50%以上を占める沖縄で、観光客の減少でマンゴー価格が暴落して、廃業する農家が増えている現状を見て、妻の実家のマンゴー園の経営に携わり、サラリーマンとの二足の草鞋を両立させている。

 販路拡大を目指し、6つのECサイトを立ち上げるとともに、東村、名護の32棟、2,400坪の農園を経営。現職で取得した「緑の安全管理士」「IPMアドバイザー」の資格を活用し、近隣の農園やJAに対して農薬の効果的な使い方やIPMについての指導も行う。

   2024年1月末、沖縄県東村と名護市の2カ所で経営していた「沖縄ゴールデンマンゴーファーム」のうち、東村の事業を完全譲渡。名護市の園地を観光農園にするため「TROPICAL FIELD モリ之ナカ」という屋号でリブラディングを図る。

■農業を職業にした理由

 妻の実家がある沖縄県は、国内の生産量のシェア約50%を占めているにもかかわらず、「マンゴーといえば宮崎」というイメージが定着している現状に危機感を覚えていた。

 2020年以降、コロナ禍で観光客が減り、台風の影響もあって、行き場のないマンゴーが大量に廃棄され、価格が暴落する現状を目の当たりにして、「このままでは沖縄のマンゴー産業は衰退してしまう」と農園経営を決意。

 2021年4月に義父のマンゴー園の経営に携わり、ECサイトを立ち上げるなどして販売部門を強化。同時に高齢化で継続が難しくなった東村のマンゴー園を拡大し、二拠点体制でマンゴー生産を行なっている。

 2024年1月末に、東村の事業を屋号ごと売却。残った名護市の農園は、沖縄県北部にオープン予定のテーマパークの開園に合わせて、「TROPICAL FIELD モリ之ナカ」として名称を変更し再スタートしたばかりだ。

■農業の魅力とは

 マンゴーはデジタル化や、スマート化が難しく、人の手を使わないと成り立たない作物です。

 コロナ禍で観光客が減った沖縄ではマンゴーが売れず、さらに2021年は台風の影響で本州へ空輸する手段が1週間にわたってストップしたことから、沖縄全体でマンゴーが余剰し、キロ単価も大きく暴落しました。

 廃業するマンゴー農園が農地を売りに出すケースも増えています。そこで、自分たちで販路を拡大していこうと、2021年には6つのECサイトを立ち上げました。

 北部のマンゴー農家は高齢の方が多いので、自分でホームページを作ることができない農家の販売にも協力しています。大企業の参入が難しいニッチな市場なので、工夫次第ではチャンスを広げる可能性が十分にあります。

 マンゴーの栽培法は確立されてから日が浅く、マイナー作物だからこそ新しい品種やブランドの開発も可能です。

 詳しい内容は言えませんが、すでに研究機関や民間企業と一緒に新しい栽培方法の研究開発を進めていて、将来的に沖縄北部の名産品にしたいと夢見ています。

■今後の展望

 沖縄のマンゴーをめぐる状況が厳しければ厳しいほどビジネスチャンスはあります。前述した新しいブランドの開発が成功すれば、大手百貨店とも取引できる新しいビジネスチャンスが生まれることになるでしょう。

 2021年は台風で1週間飛行機が飛ばず、沖縄のマンゴーが大暴落しましたが、ピューレに加工するアイディアも生まれました。

 今後は加工品の開発にも力を入れていく計画です。また、大都市圏でのBtoB、BtoCの販路を増やし、フルーツパーラーやケータリング会社にもアプローチをかけています。

 東京・渋谷区の「ビヤンネートル」をはじめとする店舗や、多くのパティシエさんに当園のマンゴーの美味しさを知ってもらえるように働きかけています。

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