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再訪。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第141回】

今週も先週に引き続き、ディズニープラスで配信されている希代のドキュメンタリー『ザ・ビートルズ:ゲット・バック』について触れさせてもらいたいと思います。50年以上前にアルバム『レット・イット・ビー』のレコーディングで撮影された60時間に及ぶ映像を最新技術でピーター・ジャクソン監督が修復した本作ですが、先週も御紹介した通り、レヴューはこちらに書かせていただきました(https://nme-jp.com/reviews/109776/)。ただ、書いた後に知ったこともあったので、それについて補足したいところがあるのです。

私は本作について「とりとめのなさ」をポイントとして挙げました。作曲がうまく進まない、ジョージ・ハリスンが離脱する、レコーディングもうまくいかない、ザ・ビートルズ最後のライヴもなし崩しになる、本作ではそうした様子がリアルに捉えられています。そこには冗長に感じられる部分もあるのですが、敢えてそうした理由をピーター・ジャクソン監督が的確に語っている発言がありました。それを読んで、自分としては深く納得させられるところがありました。その発言を紹介します。

「重要だと思ったものは何一つ省いていないと言いたいね。それがこの長さになってしまった理由なんだけどね。自分がザ・ビートルズのファンである部分が入ってきてしまって、もし今回入らなかったら、また50年間、日の目を見ない可能性があると思ってね。この素晴らしい時間を観たり聴いたりしてきて思ったんだよ。『これはみんなが観なければならない。素晴らしいんだ。これは観てもらわないと』ってね」

何度か観直していますが、本作はザ・ビートルズであることを考えると、確かに「なかったことにはできない」貴重な発言やテイクの宝庫となっています。フィフティーズ以前の曲を演奏しているシーンも多くて、末期のザ・ビートルズの姿を撮影した映像でありながら、前身バンドであるザ・クオリーメンの姿を夢想することもできてしまう作りになっています。観る度にある発見や去来する感情をしばらくの間は何度も楽しみたいと思います。

Pic by Disney

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