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好演。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第280回】

今週はサム・ヘンショウの来日公演に足を運ぶことができました。両親がナイジェリア出身でイギリスはロンドンで生まれ育ったサム・ヘンショウですが、子どもの頃からポップ・ミュージックと共にゴスペルに慣れ親しんでいたこともあって、クラシックなソウル・ミュージックに通ずる味のあるテクスチャーにアクセスできてしまうことが魅力で、2022年にはファースト・アルバム『アンタイディ・ソウル』をリリースしています。その声でもって歌う姿をずっと観たいと思っていたのですが、本日11月8日に恵比寿ガーデンホールで来日公演が行われて、自分としてはやっと生で観られる機会を得ることができました。

ライヴは“Intro”を経て、最新EPとなる『フォー・サムワン・ワムウェア・フー・イズント・アス』に収録の“Undergod”が続くという形でスタートしたのですが、序盤はちょっとサウンド面で不安なところはあったものの、“Chicken Wings”と“The World Is Mine”をやったあたりで大分落ち着いてきて、中盤では「一緒に歌って」という日本語でシンガロングを巻き起こしていました。高らかに歌い上げるヴォーカリゼーションが見事だった“Only Wanna Be with You”を含むエレクトリック・ピアノのパートも素晴らしかったのですが、やっぱり大きな盛り上がりを見せたのは終盤で“Broke”、“Joy”、“Church”という鉄板の楽曲で大団円を描いていました。

サム・ヘンショウが日本でもこうして受け入れられているのはCMに起用されたのはもちろんのこと、ソウル・ミュージックの普遍的な楽しさみたいなものがそのサウンドで具現化されているからで、そのあたりが現代のブラック・ミュージックの趨勢とは少し違うこともあって、来日する度に着実にキャパシティを拡大してきました。本人からも日本への愛というのは伝わってきて、ライヴの最後では「来年も来るから、すぐに会おう」と言っていたのですが、次はどんな形で来てくれるのでしょうか?

今週は言わずもがなアメリカの大統領選挙も行われました。ミュージシャンをはじめとするセレブリティの支持が逆風を招いたのではないかという分析があるのは知る人も多いと思うのですが、アーティストたちがそうした声をどう受け止めていくのかに目を向けていきたいと思います。

『RADIO NME JAPAN~NEW MUSICAL EXPRESS JAPAN~』放送中
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