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転生。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第286回】

今週はディズニープラスで配信されているエルトン・ジョンのドキュメンタリー『Never Too Late』を観ることができました。本作はパートナーのデヴィッド・ファーニッシュとR・J・カトラーが監督したもので、歴史的なパフォーマンス映像、プライベートな日記からの抜粋、家庭での様子を映したホームビデオ映像などを織り交ぜながら、無名時代から世界で最も愛されるエンターテイナーの一人となるまでのエルトンの歩みを辿るものと説明されています。

実際、幼少期にピアノを始めた経緯やデビューのきっかけ、生涯の相棒となる作詞家のバーニー・トーピンとの出会いなど、エルトン・ジョンが名声を獲得することになる前の物語から、1960年代後半にキャリアに乗り出して1970年代の全盛期に駆け上がっていくところまでが描かれるのですが、それと並行する形で描かれるのが、フェアウェル・ツアーにおいて北米最後の公演となったドジャーズ・スタジアム公演です。公式の概要には次のように記されています。「エルトン・ジョンは北米での最後の公演となるドジャーズ・スタジアムでの公演を準備するなかで、過去に遡って初期の桁外れの絶頂時や悲痛などん底を振り返り、彼がいかにして逆境、虐待、依存症を乗り越えて、今日のアイコンになったかを描いたものになります」

つまり、キャリアの最初期と最終盤が描かれるのが『Never Too Late』というドキュメンタリーで、どのような形になるのか、そこに関心があったのですが、見事だったのは編集です。こうしたキャリアの長い大御所アーティストのドキュメンタリーの場合、今の姿は老人であり、若い頃の話は昔話になってしまうという側面があると思うのですが、現在と過去を緻密に交錯させることによって、いつの間にか時代から解き放たれた物語になるという、そんな編集のスタンスが取られています。それは世代を超えていくというポップカルチャーが今直面している命題にリーチするものでもあると思います。

今週はオアシスのシングル“Whatever”のリリースから30周年を記念してリマスターされたミュージック・ビデオも公開されています。白ホリのスタジオで撮影された、演出らしい演出がほとんどないミュージック・ビデオですが、その楽曲と佇まいだけで、こちらも世代を超えるミュージック・ビデオになっています。

Pic by Greg Gorman

『RADIO NME JAPAN~NEW MUSICAL EXPRESS JAPAN~』放送中
下記以外の27局 日曜日午前4時~
Kiss FM KOBE 日曜日22時~
FM宮崎 月曜日午前1時~
FM新潟 土曜日午前11時~
※放送局によって時間は変更になる可能性があります。

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