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不屈。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第188回】

今週はフィービー・ブリジャーズが来年2月に来日公演を行うことが決定しました。前回の初来日公演が行われたのは代官山UNITで、2019年2月のことだったので、あれから4年ぶりに来日公演が実現することになります。自分としてはもっと昔のことのように感じていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大以降、どうしても規模の大きな来日公演のほうが優先される状況というのがあって、オルタナティヴなアーティストの来日というのが難しくなっているところがあったので、こうした最前線のアーティストが日本に来てくれるというのは非常に嬉しくなります。

前回の来日時に京都を訪れたことで、名作『パニッシャー』からのシングル“Kyoto”が生まれたのは有名な話です。“Kyoto”については日本がずっと行きたかった場所で、自分の曲を聴きたいと思っている人に向けて演奏するというのに、自分が別の人間になってしまった感じがして、いいことが起こった時でも自分が乖離してしまっているように感じるという心境から生まれたとフィービー・ブリジャーズは説明しています。だから、京都について彼女がどんな感情を抱いているのか心配するところもあったのですが、来年の来日公演では京都公演も発表されており、しかもキャパシティ350人の京都MUSEが会場ということですから、貴重な体験になることは間違いないでしょう。

今週はウィルコ・ジョンソンの訃報も届きました。2012年に膵臓ガンと診断されて化学療法は受けないと宣言して、2013年、2014年と立て続けに来日を果たした後に、その年に手術を成功させて、2015年のフジロックフェスティバルや2017年の朝霧JAM、2018年の単独公演など、まさに不滅と言えるアティテュードで活動を続けていました。先月もロンドンのシェパーズ・ブッシュ・エンパイアのステージに立っていたというのですから、感服の思いです。御冥福をお祈りします。

あとは目下、開催中のワールドカップですが、イギリスをはじめヨーロッパでは開催国カタールの人権問題に関する議論が盛んで、音楽界からもそこへの発言が多いのですが、自分としては洋楽を巡る状況も含めて世界における日本のプレゼンスというものが小さくなってきている中でサッカーの日本代表の境遇というのはそれと重なるところもあり、今大会での活躍を願っています。

Pic by Paul Mescal

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