見出し画像

邂逅。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第227回】

今週はブリンク182がトム・デロング復帰後初となるアルバム『ワン・モア・タイム』を10月20日にリリースすることを正式発表して、2曲の新曲“One More Time”と“More Than You Know”の音源を公開しました。トム・デロングが復帰することを発表して、シングル“Edging”をリリースしたのが昨年10月だったので、そこから考えると1年近くが経ってしまったわけですが、約束していた通り、ワールド・ツアーだけでなく、きちんとアルバムもリリースされることが決定する形となりました。

ブリンク182というバンドがどれだけ日本で市民権を得ているのかは分かりませんが、大ヒット作『エニマ・オブ・アメリカ』がリリースされたのが1999年ですから、そこから約25年が経った今でも、これだけ世界が待ち望むバンドになると想像した人はあまり多くのではないのでしょうか? “ What's My Age Again?”のミュージック・ビデオがなにより象徴的ですが、ロサンゼルスの街並みをフルチンで疾走する3人組がこんなにも息の長いキャリアを築くバンドになるなんて、当時は想像し難い状況でした。じゃあ、それは偶然だったのかというと、そんなことはまったくないからポップ・ミュージックというのは面白いんだと思います。

ブリンク182というバンドの最大の特色はマーク・ホッパスとトム・デロングという2人のソングライター/ヴォーカリストが一つのバンドに揃っていたことだと思います。3ピースのパンク・バンドがこういう形になるのは極めて珍しいことで、そして2人の実力が拮抗していたからこそ、ブリンク182というバンドは大きな成長を遂げていくことになります。一方で、ドラムのトラヴィス・バーカーはポップ・パンク界屈指のドラマーとして自らのスタイルを確立して独自の地位を築くことになりました。しかし、2015年にトム・デロングは音楽以外の活動に時間を費やすとして二度目の脱退をすることになり、そこから理想形のブリンク182としての時間は止まってしまったわけですが、今回3人が再び顔を揃えてのアルバムが12年ぶりにリリースされることになりました。現時点で公開されている3曲からはまだまだ分かりませんが、非常に楽しみにしています。

あと今週はイギリスの音楽制作者評議会によって音楽AIの開発にあたって5つの主要方針が発表されました。これで議論がまとまることはないでしょうが、オリジナルの声やサウンドを持つミュージシャンを守りながら、AI技術をどうか活用していくかという点において議論の叩き台にはなるかもしれません。議論の行方を注目していきたいと思います。

#NMEJapan編集長がちょっと思っていること #NME #NMEJapan #エッセイ #音楽 #バンド #ロック #音楽レビュー #洋楽 #音楽コラム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?