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転変。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第268回】

先週はエアロスミスがツアーから引退することが日本の大手メディアでも報じられることとなりました。経緯を確認しておくと、エアロスミスは昨年9月から「ピース・アウト」と題したフェアウェル・ツアーを開始していたのですが、わずか3公演をやったところで、ヴォーカリストのスティーヴン・タイラーが声帯の損傷を抱えており、必要な咽頭の骨折があることから、公演を延期することを発表していました。このツアーは今年9月から再開される予定だったのですが、再開の日が近づくなかで、今回バンドとして正式にツアーからは引退することを発表しています。

引退の声明には次のように記されています。「御存知の通り、スティーヴンの声は他の誰とも違う楽器だ。彼は痛める前の状態に自分の声を戻そうと何ヶ月もたゆまぬ努力をしてきた。彼には最高の医療チームがいたにもかかわらず、苦しんでいた。そして、悲しいことに彼の声の損傷は全快できないことが明らかになった。私たちはバンドの仲間として困難で胸の痛む、でも必要な決断をすることにした。ツアーからは引退することにしたのです」

今回の引退発表について海外は比較的平熱というか、他のアーティストと同じ温度で扱うメディアが多かった印象があるのですが、それに対して日本はかなり高くて、これを書いている時点でグーグルのニュース検索をしてみても、共同通信や産経新聞、TBSといった普段であれば、あまり海外のポップ・ミュージックについて触れないメディアも報じているようです。もちろん、エアロスミスは偉大なバンドであり、共にしのぎを削ったクイーンのブライアン・メイやサミー・ヘイガーが語る通り、今回の引退は大きな出来事なのですが、この局所的な温度の高さは、いわゆる日本における洋楽の黄金時代やそこからのアップデートがなかなかされにくい状況とも関係があるのかもしれません。

今週はグリーン・デイの『アメリカン・イディオット』の20周年スーパーデラックス・ボックスセットが10月25日にリリースされることも発表しています。海外で報じられているトラックリストを見てみると、2005年3月の幕張メッセ公演のライヴ音源も収録される予定で、新たなドキュメンタリー『20イヤーズ・オブ・アメリカン・イディオット』もBlu-rayに収録されるとのことです。不朽の名作ということで、どんな内容になるかが楽しみです。

『RADIO NME JAPAN~NEW MUSICAL EXPRESS JAPAN~』放送中
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