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予兆。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第223回】

先週はソニックマニア2023、サマーソニック2023にうかがってきました。ライヴの内容については、フジロックフェスティバルと同様に「NME Japanが選ぶベストアクト」という記事を掲載しようと思っているので、そちらを参考にしてもらえればと思いますが、ここではそれ以外の部分について触れていきたいと思います。昨年は全体的な感想として「来場者の目的意識がはっきりとしていて」「様々なカルチャーの集積地としてのフェス」という形になっていたということを書いたのですが、その傾向は今年はより一層強くなっていました。NewJeansやYOASOBIといった象徴的なアーティスト名を挙げるまでもないかもしれないですが、強固なコアファンとグレーゾーンをも巻き込む勢いを持つこうしたアーティストが出演したことで、より多様な観客が集まる場になっていたのは想像に難くないのではないでしょうか。

その一方で、今年は2日間両日ともに早々に売り切れたこともあって、サマーソニックというブランドがより一回り大きくなったようにも感じた年でした。海外のグラストンベリー・フェスティバルやコーチェラ・フェスティバルのように、ラインナップを発表する前にチケットが売り切れるというのがフェスにとっては一つの理想ですが、サマーソニックも海外アーティストのステージも観られる夏の風物詩として、そうしたポジションにより近づいているのではないかと感じたのが今年でした。猛暑だったこともあって、一般メディアによるいろんな報道もありますが、その注目度は裏を返せば、日本が世界に誇れるフェスティバルとして独自の地位を築いてきている証左でもあると思います。実際、海外からのお客さんの数は非常に多いものでした。

あと今週はザ・ローリング・ストーンズがついに動き出す予兆を見せています。ロンドンの地元紙2紙に、とあるガラス修理・交換業者の広告が掲載されたのですが、そこにはあのベロのマークが描かれ、ザ・ローリング・ストーンズの曲名からのフレーズが引用され、1978年発表のアルバム『女たち』のフォントも使われているとのことで、ガラス修理・交換業者の社名「ハックニー・ダイアモンズ」が次のアルバムのタイトルになるんじゃないかという見方も出ています。後日、新聞側はこれがザ・ローリング・ストーンズの広告であることを認めており、広告主がユニバーサル・ミュージックであることも明らかにしています。

ポール・マッカートニーが参加し、亡きチャーリー・ワッツの音源も使われているという新作がどんなものになるのかは現時点では想像の域を出ませんが、オリジナル・アルバムとしては2005年発表の『ア・ビガー・バン』以来18年ぶりとなります。2023年の大きな楽しみとして期待したいと思います。

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