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流転。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第245回】

今週はクイーン+アダム・ランバートとテイラー・スウィフトの来日公演にうかがうことができました。いずれもドーム公演となっていて、ブルーノ・マーズ、ビリー・ジョエル、エド・シーランなど、大規模な公演が続いていますが、日本ではストリーミング・サービスで洋楽が聴かれなくなったと言われりする一方で、こうしたドーム公演ではそんな雰囲気をあんまり感じない光景が広がっていたりもします。特にクイーン+アダム・ランバートでうかがったのは名古屋公演で、名古屋でもしっかりとドームが埋まっている事実に感慨を覚えました。

クイーン+アダム・ランバートは盤石のヒット曲があるアーティストなので、パフォーマンスも安定感のあるものだったのですが、クイーンというのはヨーロッパとアメリカ、日本で人気の曲が異なっており、それをヴィヴィッドにセットリストに反映させているのが印象的でした。昨年、行っていたアメリカ・ツアーでは“A Kind of Magic”、“Killer Queen”、“Don't Stop Me Now”、“Somebody to Love”というセクションがライヴの前半で演奏されていたのですが、来日公演ではかなり後半で演奏されていて、見事にクライマックスを描き出していました。

テイラー・スウィフトはグラミー賞直後ということもあって、すごい熱気だったのですが、個人的には今後のライヴ・エンタテインメントを変える可能性を持った公演だと思いました。というのも、今回の公演を観ると、もうステージもいらないかもしれないと思ったのです。今回のツアーは大規模な花道を使った舞台セットになっていたのですが、パフォーマンスの8割近くがその花道で展開され、ステージは圧巻の巨大なスクリーンと生演奏のバンドが存在する場所というのが主な役割となっていました。それを考えると、スピーカーとスクリーンさえ設置できれば、スタジアム公演でも今までのようなステージを組む必要性というのは希薄になってきます。ただ、こうした舞台セットが可能なのも、スタジアムの視線を一手に集めることのできるテイラー・スウィフトのスター性があるからとも言え、そうした意味でも今回のエラズ・スターは画期的なものだと思います。

第66回グラミー賞授賞式もありましたが、個人的に最も印象深かったのはジョニ・ミッチェルのパフォーマンスでした。グラミー賞は1年の間にリリースされた優れた作品を称えるイベントですが、同時に過去を解釈し直す場でもあります。ジョニ・ミッチェルのパフォーマンス、そしてテイラー・スウィフト、ビリー・アイリッシュ、マイリー・サイラスの主要部門受賞というのは地続きのもので、強いメッセージ性を湛えていたと思います。

Pic by TAS Rights Management

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