勝手に金メダルをあげてみた
「趣味は、AIだな」。10年以上の付き合いがある先輩がいきなり話し始めた。「今さら先輩の趣味を教えられてもリアクションできないです」僕がこたえる。「お前のリアクションもツッコミもいらない。ただ事実を伝えたいだけ」。普段、静かに人の話を聞く先輩が珍しく主張している。おそらく4年振りくらいだろう。先輩の主張はオリンピックと同じ周期でやってくる。面白い話だったらメダルをあげよう。2人で話しているから、銀メダルは確定だ。
「俺、仕事でソースコードを大量に書くじゃん。でも最近はAIに指示を出せば書いてくれる。曖昧なコードは別のAIに指示を出せば調査もしてくれるんだ」。よくある話だし、趣味ではない。『自分の仕事が奪われそう』がオチだったら銀メダル確定。
「AIのおかげで、時短が叶ってお前とこんな早い時間から飲めている。プライベートも充実だ」。
先輩、それは審判の僕が嬉しいので金メダルです。