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#フィクション
ベスト謝罪賞 #32
今年も「ベスト謝罪賞」が発表された。
ベスト謝罪賞は
近年、社会的な地位のある
個人や団体などが起こした
社会的信用を失いかねない出来事に対して
説明責任を果たさない、時を過ぎるのを待つ、
間違いを認めないなどの
対応が散見されるようになり、
これが世間一般にまで影響が及ぶのを危惧した
社団法人・日本謝罪協議会が
謝罪意識の向上を目的に設立された。
この賞は、謝罪までの
「スピード感・文言
食事処「実家」 #31
近年フードデリバリーの発達や冷凍食品の進化により
いわゆる「おふくろの味」を持たない世代が増えた。
そんな中、「おふくろの味」を経験したことのない
若者世代を中心に「なぜか実家を思い出す懐かしさ」を
感じさせてくれると話題になっている飲食店がある。
そこでは全国の「おふくろの味」が堪能できるだけでなく、
自分の好みに合った「母」(事前に要予約)が出迎えてくれ、
まるで実家に帰ってきたような感覚
失恋焼きそば #29
失恋したら焼きそばを食べる。
そんな習慣がY市民の中で、
じわりじわりと広がりを見せている。
はるか昔、顔のタイプを
ソース顔、しょうゆ顔などと
調味料に例えるというようなことが
流行ったという。
(カランコロンカラン)
今日も失恋焼きそばを提供しているお店に
うつむきながら入ってくる人がいた。
「焼きそば…ください」
「お味は、ソース、しょうゆ、塩など
他にも色々あるんですが、どれ
京の悪霊ハンター #28
梅雨が明けるころ、
蝉が夏の始まりを告げ、
京の都には、コンチキチンの鉦の音が響きわたる。
疫病退散を祈願したのが始まりとされ
千年以上つづく祇園祭は、
医療技術の進歩により、疫病退散の役割は終えたが、
それでもなお、祇園祭が行わなければならない理由がある。
それは、悪霊の捕獲だ。
悪霊は、はるか昔から絶えず人に憑き悪行を積み重ね続けてきた。
ついには世界最大のスポーツ大会までもが狙われ、
ドッキリ屋 #27
「ドッキリ屋」という職業がある。
ドッキリといえば、テレビのバラエティ番組企画のひとつ。
仕掛け人がターゲットとなる人物にイタズラを騙し反応を楽しむと言うものだ。
それが今、世間一般にも
オーダーメイド・ドッキリ企画サービスとして
「見て楽しむドッキリ」から「仕掛けて楽しむドッキリ」へと
利用の広がりを見せている。
了
最後のロボット #26
多種多様な生命体が姿を消してから数千年、
かつて人間から地球と呼ばれていた惑星では
ヒューマノイドが君臨していた。
しかしそんなヒューマノイドたちも
新たなる生命体の出現により
種の存続の危機を迎えていた。
その新・生命体は、突如として現れ
姿形も捉えられないほどの速さで
次々とヒューマノイドを襲い続け
ついには、最後1体のみとなった。
残されたヒューマノイドは、
何とかして危機から逃れよう
ギャラリー・アタリマエ #25
「ギャラリー・・・あたりまえ?」
街を歩いていると不思議な名前のアートギャラリーを見つけた。
気になり建物の中へ入ってみると、沢山の作品が並んでいた。
「良かったら見ていってください」
玄関付近で立ち止まって眺めていると
この店のオーナーが声をかけてきた。
一歩一歩歩みを進めながら絵を眺め、作品タイトルを見ていく。
「時間」「生きる」「息をする」「太陽が昇る」
「友人と会う」「挨拶」「家事
バナナネコ #24
頭からバナナが生えているネコ。
そのミスマッチなビジュアルと愛くるしさで
今、注目を浴びている動物だ。
頭に生えているバナナはネコ自身は食べない
飼い主や懐いた人だけが味わうことのできる代物だ。
間違っても無理矢理取って食べてはいけない。
食べると全身が痺れはじめ、次第に呼吸困難に陥り
死に至ってしまうのだ。
そのことを食いしん坊だった友人が教えてくれた。
了
いちおくえんの道 #22
1億円を使って作られた道というわけではなく、
1億円分の1円を敷きつめて作られた道。
ダジャレ好きの町長の発案で
町のPRのため町費と交付金を使い作られた。
しかし、財政状況が悪くなり
資金を補填するため1億円の道を回収するハメになった。
了
バーチャル社長 #21
バーチャル社長とは、ネット上のビッグデータを活用することで
社員、ステークホルダーとのコミュニケーションや経営を行う
人工知能が搭載された社長のこと。
以前の社長は、常に眉間にシワを寄せながら仕事をしていた。
そのため話しかけづらいオーラが醸し出され、
社員との距離感を遠くさせていた。
それが、コロナ禍も相まって
じわりじわりと業績にも影響が出てきていた。
そこで社長は、
緊急事態宣言下にでき
スベりアレルギー #20
スベりアレルギーとは、
ギャグや冗談が全くウケないと眼の痒みや鼻水くしゃみといった
アレルギー反応が引き起こされる状態のこと。
無論、ウケつづければ症状は出ないが、
緊張感のある場面や大舞台でスベると
最悪、取り返しのつかないことになる。
これは誰にでも発症するが、そもそも普通の人はウケを狙う機会が少ないので
大半は発症したことに気づかずに日常生活を過ごしている。
(出囃子)
「はい、どう