まひる野2023.12月号掲載作品
先週の花火のにおいがするような芝にさんざん雨降りつづく
ときどきは裸足の指をさらけ出し彼女は夜へギターを鳴らす
歌声にゆだねてみればシャボン玉みたいに丸く揺れたい身体
一言もしゃべらないまま帰るから身体のなかを響く音楽
二十年生きた昼寝を終えたあと少し鏡を長く見つめる
湯を沸かし湯気ぐらぐらと伸びあがる夢に実家の犬は生きてる
音楽を鼻から聞いているように牛は楽器に顔近づける
いくつかのやつれた服を手放して鏡のなかのからだを解く
前半は9月にライブに行ってきたと