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ホワイト&ブルー(10首)



見上げればあれが白木蓮なのか頷くようにみんなで揺れて

好きな歌手の好きな歌い方まねしない できない 雪は春でも降るが

手に馴染む古いスマホに残されたまま薄れゆく去年の日記

諦めたことを右目に映しだす横顔 海はまだ満ちている

猫も人も夜はひとりだ 身体といのちは別のところで生まれる

冷えきったファスナーぎゅっと上げるとき月もわたしも他人のようだ

春の夜は青い 今でも初恋の呪いに溺れつづけるように

夢のなかで夢のからだをつくりだす骨のかたちにひらく冠

触れるたび波紋広がる 記憶から夜に逃げ出す雪の花びら

前髪の分け目がいつも変だから花を見るなら夜に行きたい

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